ナイフ - 後編 - [フランスのモノ]
ラギオールナイフのルーツを求めてラギオール村へ。
鉄道では直接ラギオールにはいけないので、最寄りの駅まで行き、路線バスかタクシーかレンタカーを使うことになりますが、かなり時間がかかりそう。この際、レンタカーでクレルモン=フェランから高速75号線を南下し、ラギオールに行くことにしましょう。約3時間ほどのドライブです。
ラギオールのある地域はオーブラックと呼ばれ、オーヴェルニュ、ミディ=ピレネ、ラングドック=ルシヨンの3つの地域にまたがっています。
ラギオールナイフの原点は下記のサイトに出ています。
画面中央のいちばん上の写真が初期のナイフです。ブナの木を削って作った柄に刃を埋め込み、銅のリングで固定しただけのごく素朴はナイフ。これをCapuchadou(カピュシャドゥ)と呼び、仕事の道具として使っていたそうです。
このサイトにはラギオールナイフが生まれた経緯が、ざっとこんなふうに書かれてあります。
男たちはこのCapuchadouをベルトにはさみ、布のバッグに弁当を詰めて、冬がやってくる前に村を出ると、スペインへと出稼ぎに向かった。木材をノコ引きする職人を必要としていたスペインでは、屈強なオーブラックの男たちは重宝がられていたのだ。
1827年頃のある日、両親の経営する宿屋を手伝っていた青年ピエール=ジャン・カルメルは、これらの男たちがスペインから持ち帰ったNavaja(下記の写真)というナイフに魅了されてしまう。
*Navajaは刃を柄の中にしまい込める折りたたみナイフだった。
ピエール=ジャンはCapuchadouも同じように折りたためるようにしようと決心する。そして叔父に相談しながら何度も改良を加え、1829年についに完成させる。それがラギオールナイフである。(画面中央の複数のナイフが映っている写真)
現代のラギオールナイフはどんな風に作られているのでしょう?
下記をクリックして製作過程を見てみましょう。17分のちょっと長めのビデオです。(音が出ます)
高地で牧畜や酪農で生計を立てていたオーブラックの人たちにとって道具としてのナイフは必需品だったようです。下記のサイトには、その使い方が詳しく出ています。
1. 刃
- 旅などの移動の時に使う杖を作る
- 牛をつついて誘導するための棒を作る
- 牛が倒れた時、くびきの帯を切る
2. コルク栓抜き
オーブラックを出て、パリで石炭屋やレモネード売りになった者には欠かせない道具
3. 十字架
携帯用の礼拝堂のようなもので、これを地面に立てたりテーブルに置いたりして祈った
4. 目打ち
生の牧草を食べて膨れ上がった家畜の腹を突き刺し空気を抜く
父から息子へと贈られるナイフは、息子が一人前の男になった印。そしてラギオールナイフの形は多くの人に愛され、一つのスタイルとして定着していったようです。
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