サン=テミリオン ボルドー近郊 [アキテーヌ地方]
今日はシリーズものを少し休んで、フランスの村を紹介します。
サン=テミリオンと言えばワインですが、ここがユネスコの世界遺産にもなっていることをご存知の方は少ないかもしれません。
サン=テミリオン
(Saint-Émilion)

パリ→サン=テミリオン(列車で約3時間半)

世界遺産に登録されているのはこの村だけではなく、他の6つのコミューンを合わせた地域全体です。歴史的建造物はもとより、この地域の景観もこの中に含まれています。
サン=テミリオンは城壁のある村です。現在の人口は約2,200人。
中世の面影を色濃く残すこの村をあちこち散策したら、189段の階段を上がって教会の鐘楼に登ってみましょう。中世の建築と、それを取り囲む広大なぶどう園が一望できます。
その後は、ぶどう園とワイン蔵の見学。もちろん試飲もできます。
映像は→こちら
映像に出て来たのはChâteau Ripeauというドメーヌです。映像で見ると、かなり近代的な施設で作られるワインのようです。ランクはグラン・クリュですから第1級ワイン。因にサン=テミリオンの格付けにはもう一つ上があるようです(特別1級AとB)。
村ができたのは、8世紀にエミリオンと呼ばれる僧侶がここで福音を始めたのがきっかけでした。エミリオンが17年かけて福音に励んだ間、その教えに従う僧侶がここに集まるようになり、一つの集落が出来上がっていったのです。エミリオンの死後、その名前が村の名前になりました。村は中世に確立され、城壁は13世紀初頭に建設されました。
この地域でのワイン用のぶどう栽培は、ガロロマン時代(B.C.120年〜A.D.5世紀末)にすでに始まっていたようです。そして、12世紀末、イングランド王ジョンがここにジュラッドと呼ばれる自治組織を設置し、サン=テミリオンのワインを独占していました(自身の権力を土地の有力者や役人に委任する代わりにワインを独占)。この体制の中でぶどうを栽培する土地は拡大していきましたが、ジュラッドの影響力は1789年の革命のころにはすっかり失われていました。
しかし、1948年、ぶどう栽培者の組合によって息を吹き返します。この新しいジュラッドは、confrérieという組織(「協会」のような組織)に生まれ変わり、ワインの質を管理したりワインを世界に広く普及させる役割を担い、この地域のappellation(アペラシオン)(銘柄)の名声を確固たるものにしているそうです。
因に、英国ではボルドーワインを総称してclaretと言うそうです。良質のボルドーワインは英国に輸出され、ロンドンの有名なクラブではワイン蔵に自慢のclaretを貯蔵し、会員に出すそうです。
コメント 0