フランスの遺産を巡る その6 〜紋章〜 [フランスのお宝]
フランスの遺産を訪ねる旅も最終回となりました。




最後は、アルザス地方のあちこちにある“紋章”を見て回ります。“紋章”と言っても、今度のは王様や貴族のものではありません。


この地域には、中世の頃から盛んに商人や職人の家の破風に紋章が彫られるようになりました。


パン屋の紋章 石切職人の紋章
(上はプレッツェル、下は2つの丸いパン) (直角定規とつる嘴の組み合わせ)
言ってみれば、お店や会社の看板みたいなもの。上記のパン屋さんの紋章はわりに分かりやすいですが、石切職人の方は現代人からすればちょっとちんぷんかんぷん。ものによっては未だにどんな職業だったのか分からないものも残っています。
今回紹介する番組の中では、アルザス地方の2つの村にある様々な紋章が登場します。
* エギスアイム(Eguisheim)*
アルザス地方有数のワインの産地であり、フランスの最も美しい村の一つに登録されている村です。この村にはこのような紋章が100以上も残っているそうです。番組の中で詳しく説明してくれるのは下記の紋章。一体なに屋さんだったのでしょう?

ここに描かれているのは木槌やタガをはめるための道具。つまり、ワイン用の樽を作る樽職人のマークです。ちょっと面白いのは、横向きに剣が彫られていること。マイスターの資格があり、剣を携帯することが許されている印なのだそうです。1577年とありますから、今からざっと400年以上前、宗教戦争のまっただ中に作られたもの。日本では織田信長が天下を統一した頃のことです。
* ヴァセロンヌ(Wasselonne)*
ここでは下記の紋章が紹介されています。

蔦の絡まる壁の中から出てきた床屋さんのマーク。カミソリと砥石(?)が描かれています。
昔の床屋さんは、髪を切ったりヒゲを剃ったりするだけでなく、しゃ血をしたりイボを取ったり、さらには薬局も兼ねていたそうです。
他にもいろいろな紋章が登場しますので映像をご覧ください。
映像は→こちら
中世では、各職種ごとに組合のようなものが組織され、その代表者は、今でもストラスブールにある“Zuem Strissel”というレストランの二階で、定期的に会合を持っていたそうです。窓のステンドグラスがそれを物語っています。
ここには、組合の重要なものを保管しておく金庫が備えられていました。14世紀に作られたこの金庫、今でも残っています。お話をしてくれた男性が、このレストランの今のオーナーです。
現在、昔ながらの組合として残っているのは、ストラスブール大聖堂の石切職人だけだそうです。
******** フランス人のつぶやき *******
「私はボルドーに住んでいますが、今日、両親と一緒に車でアルザスにでかけました。あまり遅くなりたくなかったので、夜のうちに出発したのですが、途中、アイロンのスウィッチを切り忘れたことに気がつきました。両親の非難轟々の中、家に戻ってみると、なんのことはない、スウィッチは切れていたのです」
VDM (Vie de merde)より
今日の「フランス人のつぶやき」のようなこと
ありますね。
僕もなんどか、経験済みです。
by kazenotomo (2010-09-22 11:03)
kazenotomoさん
kazenotomoさんのようにご自宅とセカンドハウスを何度も往復されているようだとありそうですね ^^
私もあります。よくあるのが鍵を閉め忘れたと思って戻ると、実際は鍵がかかってたり......。
by carotte (2010-09-22 15:38)
さすが、石造り建築のフランスだけあって中世の名残が家々にちゃんと残っているのですね。職能別組合、いわいるギルドってやつですね。
by opas10 (2010-09-23 12:47)
さすがアルザス地方ですね。ブレーツェルはやはり食卓にのぼるのでしょうか?
by orange (2010-09-23 14:40)
opas10さん
そうです、ギルドです。
何しろ中世の頃に作られた紋章もあるので、きっと思いもよらないところに残ってたりするんじゃないかと思います。
by carotte (2010-09-23 18:29)
orangeさん
ストラスブールに行った時、パン屋さんで売ってるのを見ました。あきらかにあの地域はドイツの影響が色濃く残っていますね。
by carotte (2010-09-23 18:33)