ちょっと変わったパリ その4 〜13区〜 [パリ]
13区と言えば、かろうじて国立図書館やイタリア広場を思いつくくらいで、あまり観光には馴染みのないところですが、今回は、この都会のビルに囲まれひっそりとたたずむ施設を紹介します。
メゾン・サン・トーギュスタン
(Maison Saint-Augustin)
航空写真でやっと場所を特定しました。Googleマップにも旅行ガイドブックにも載っていない、なかなか詳しい情報が手に入らない施設です。
庭付きで敷地はそれなりの規模。そして迫り来るビルに囲まれています。
正式な名称は、"les Dames Augustines du Sacré-Coeur-de-Marie"というようです。1836年から1840年の間に、キリスト教団体によって老人福祉施設として作られました。通りから門をくぐって中に入ると、美しい建物に目を奪われます。
現在も老人福祉施設ですが、宗教団体とはまったく別の組織として運営されています。
ここには神学校のような高等教育機関が併設されています。毎年約20人ほどの若者が入学し、1年間かけて宗教の基礎を学びます。聖職に就くか就かないかは本人しだい。中には、すでにエンジニアとしての学業を終えながらも、さらに宗教について学ぶべく、ここに入学したという若者もいます。
また、ここには300坪ほどの僧院があります。ここを守っている尼僧たちが、外の喧噪から隔離されたこの場所で、静かに祈りを捧げています。
映像は→こちら
庭に設置された礼拝堂も印象的ですね。
3ヘクタールの庭は、数年前までは半分が畑で、居住者の食糧を補うために野菜や果物を育てていたそうです。また蜂蜜も作っています。一年で約500キロの蜂蜜ができるそうです。
好立地のせいか、これまでにいくつかの不動産業者がアプローチしてきましたが、そのたびにきっぱり断って来たそうです。
住所:29 Rue de la Santé(パリ13区)
最寄駅:RER線Port-Royal駅
*rue de la Santéで思い出しましたが、近くに有名なサンテ刑務所があります。
******** フランス人のつぶやき *******
「今日、お天気がよかったのでパリを散歩しようと思ったら、親友から電話がかかってきた。3時間半後、やっと電話を切って外を見ると、雨が降っていた
」
VDM (Vie de merde)より
大きな敷地ですね。
都会の真ん中とは本当に思えません。
年をとったら静かにこんなところで過ごすのもいいですねぇ。
若者が通う神学校も併設されているのも興味深いです。
フランスでは独居老人のところで若い大学生がルームシェアする
システムがあると聞きましたが、政策なんでしょうか。
by orange (2010-09-27 00:57)
orangeさん
通りからは想像もできないような建物です。
独居老人と学生が同居するという話はよく聞きますが、国の政策でやっているという話は聞かないですねえ。
フランスは今、政府の年金改革問題で騒がしくなってます。だいたいこういう話になると労組やら一般市民やらが反応してデモをやるというのが普通なんですよねえ。
by carotte (2010-09-27 20:51)
キリスト教団の建物なのにギリシャ様式とは珍しい!!最後の礼拝堂内部はロマーナだったのでちょっと安心しました(笑)。
by opas10 (2010-10-02 11:49)
opas10さん
さすがお詳しいですね。
奇妙な建物だなとは思ったのですが.....。
by carotte (2010-10-02 19:06)