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こんなお菓子がありました [フランスのお菓子]

 フランスには、こんな素朴なお菓子がありました。


エショデ

(Échaudé)

echaude.jpg

 どんなお菓子かと言えば、小麦粉、塩、アニスシード(香草)、水を混ぜ合わせ、小さくちぎって三角に成形し、お湯で湯がいた後、オーブンで焼いたもの。


 このお菓子、中世の頃にはすでに存在していたそうです。


 映像は→こちら


 ジャムのようなものをつけて食べている人もいました。


 実は、この作り方はタルヌ県(下記地図のピンクの部分)のもの。エショデは地域によって少しずつ材料や形が違っているのです。たとえば、タルン県の隣のアヴェロン県(下記地図のグリーンの部分)では、アニスシードではなく、ビターオレンジの香りのする液体(eau de fleur d'oranger)を使い、砂糖や、場合によって卵も入れるそうです。そして形はドーナツ型。また、少し発展させて、最後にグラニュー糖をまぶしたりすることもあるそうです。
Paris_TarnAve2.jpg
 焼く前に湯がくと、グルテンに含まれる澱粉の粒が砕けて消化しやすくなり、また長持ちするので、船乗りや長旅をする人に人気だそうです。

 

 映像に出て来たタルヌ県のエショデは、別名プティ・ジャノ(Petits Jeannots)とも呼ばれるそうです。これには逸話があり、フランス王ルイ9世がアルビに滞在中、パン屋のジャノが生地にアニスを入れて作ったエショデを王様に献上したことからこう呼ばれるようになったそうです。

 この地域には、19世紀末まではエショデを作る工房があちこちにあったそうですが、今では映像に登場した工房Deymierだけになってなってしまいました。


 エショデはそのまま食べてもOKですが、二つに割り、ロクフォールチーズや、茄子のキャビア(茄子、玉ねぎ、オリーブ油、トマト、パセリ、にんにく、塩・こしょうでつくったペースト状のもの)、タプナード(オリーブの実、オリーブ油、ケイパー、アンチョビをすりつぶしてペースト状にしたもの)を塗って、食前酒のおつまみにするといいそうです。

caviardau.jpgtapenade.jpg

茄子のキャヴィア                    タプナード

(キャヴィアは入ってません)           (tapenade)         


 また、甘めのワイン(できればガイヤック産(Gaillac))に浸し膨らませて食べるのもいいそうです。



******** フランス人のつぶやき *******

「今日、お腹が空いたのでビスケットの箱をあけると……空っぽだった。中におかしな走り書きがあった。『ハッハッハッハッハ… ^o^ 

ルパン参上

』明らかに父の字だった。父は今年で50歳」

VDM (Vie de merde)より


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コメント 10

島酔潜人

これ、甘くないんですよね?
アニスシードの香り、けっこう好きなので食べてみたい。
by 島酔潜人 (2010-10-11 23:22) 

carotte

島酔潜人さん
はい、これはお砂糖が入っていないので甘くないです。
シンプルなのでいろんな方法で食べられそうです。
by carotte (2010-10-12 08:54) 

orange

まずは”お父さんルパン”にniceを1つ。
動画これから拝見しますね^^。
美味しそうなパンですね。
湯がいてから焼く…各国に類似した調理法があるようですね。
甘みがなければ色々なものとの愛称が良さそうですね。
by orange (2010-10-12 23:39) 

carotte

orangeさん
二度火を通すので日持ちしやすいようですが、やや固い食べ物のようです。これ、自分で作れないかなあ〜などと思ったりしてます。茄子のキャビアとタプナードを塗ったおつまみに心引かれます。^^
by carotte (2010-10-13 21:07) 

wattana

carotteさん、‘中世’の頃からあるというお菓子エショデには興味があります。日持ちするという点よりも、パン屋のジャノのルイ9世に献上したという逸話に興味を持ちました。ルイ9世に献上したお菓子ということで、一般市民へ広がっていった(人気がでた)のでしょうか?
by wattana (2010-10-14 07:25) 

carotte

wattanaさん
その辺ははっきりとは書いてないんです。
1202年の文献にエショデのことが書かれてあるそうです。すでにこの食べ物が存在していて、一般に食べられていることをうかがわせる内容です。で、ルイ9世が王位についたのが1226年。となるとパン屋のジャノが王様に献上するより前からあったということになります(この王様に献上という話も逸話なので真実がどうかははっきりしません)。一方、エショデは、パン生地がベースで、各自が好きな物を加えて作っていたようなのです。よって、パン屋のジャノが初めてアニスを入れたのかどうか定かではありませんが、この話がその後のエショデの商業的な展開に一役買ったことは間違いなさそうです。
by carotte (2010-10-14 10:06) 

wattana

carotteさん、こんばんは。「お菓子の歴史」(マグロンヌ・トゥーサン=サマ著)にエショデに関する記載がありました。
 ~一説によると、アルビの旅回りの「菓子職人」でカビルスという者が、十三世紀の初めにエショデを考案したと言われる。…略…1202年の勅許状には、「エショと呼ばれるパン」と書かれているが、アルビではむしろ、別の職人にちらんで「プティ・ジャノ」と呼ばれていた。~
by wattana (2010-10-15 21:47) 

carotte

wattanaさん
ジャノというパン屋さんがいて、エショデを売っていたことだけは確実みたいですね。なにしろ今から800年以上も前のことになると、確証となる資料がなかなかないですね。
カビルスという菓子職人の話は知りませんでした。TF1のナレーションによると古代からあったという人もいるそうです。
by carotte (2010-10-16 00:30) 

wattana

carotteさん、おはようございます。「お菓子の歴史」には次の記載もあります。

~青銅器時代から数千年後、中世の人々はワッフルとウヴリ以外にもささやかな菓子をたくさん味わっていた。そのうち「エショデ」という菓子は、おそらく上記の先史時代のクレープが復活したものであろう。これはあまりにもありふれた食べ物なので、『メナジエ』や『ヴィヤンディエ』など、こんにちまで伝わる中世の料理書にもレシピはのっていない。~

お菓子(フランス菓子、和菓子とも)を食べるのが好きですが、歴史にも興味がでてきました。
by wattana (2010-10-16 04:28) 

carotte

wattanaさん
人から人へと伝わった食べ物なんでしょうね。もっとも、シンプルなのでわざわざレシピを作る必要もないですね。
今回の映像でもう一つ映像に残っているのは、お菓子屋さんがエショデを紙袋に入れて量り売りしていたことです。量り売り、最近みかけなくなりました。
by carotte (2010-10-16 10:25) 

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