SSブログ

ノルマンディー地方の料理 その3 〜カマンベールチーズのタルト〜 [フランスのグルメ]

 シリーズの三回目は、いよいよカマンベールチーズの登場です。


カマンベールチーズとヴィール産アンドゥイユのタルト

(Tarte au Camembert et à l'andouille de Vire)

tartecamanbert.jpg


 今回この料理を作ってくれるのが、オルヌ県フォントネ=シュル=オルヌにあるレストラン"La Table de Catherine"の女性シェフです。

Paris_Fontenai.jpg


 フォントネ=シュル=オルヌは人口約260人の小さな村。


 自然に恵まれ、広い高原の中で悠々と草を食む牛の姿。これが高品質の乳製品を生み出すノルマンディーの風景です。


 おいしい料理を作るために良い材料を手に入れるべく、今日のシェフもまず料理に使うチーズの生産者を訪ねます。

 レストランのあるフォントネ=シュル=オルヌから車で40分ほど北上したところに、カマンベールチーズが生まれた村カマンベールがあります。人口は200人強。


 ノルマンディーでは、カマンベールという名前のチーズがいくつか生産されていますが、AOCを取得しているのは“Camembert de Normandie”だけ。紛らわしい表記がいろいろあるので要注意です。美味しければAOCなしでもと思ったりしますが、やはり味が違うそうです。


 このカマンベールチーズは、1791年にカマンベール村の女性マリー・アレルが発明したとされています。19世紀中頃には鉄道の発達により徐々に各地に出荷されるようになり、19世紀後半には木の箱に入れられることで保存状態がよくなり、フランス全土へと広まりました。それ以来、カマンベールは木の箱に入れて出荷することが義務づけられています。


 さて、今日の料理ですが、材料は、カマンベールチーズ、アンドゥイユ、パイ生地、カラメルソース。


 まずはパイ生地を作ります。焼き上がったパイは型で丸く切り取ります。次に、アンドゥイユを薄切りにして、パイの上にのせます。その上に、スライスしたカマンベールチーズをのせ、オーブンに入れ、チーズがとろけるくらい軽く焼きます。その間に、砂糖をカラメル状にし、シードルを加えソースを作ります。さきほどのタルトの上からこのソースをかけて出来上がり。


 映像は→こちら


 チーズはたくさんのせれば良いというものではなさそうですね。お客さんは、パイ、カラメルソース、チーズ、アンドゥイユのすべてのバランスが絶妙でおいしいと言っています。


 アンドゥイユとは、豚の腸や胃袋を腸詰めにし薫製にしたソーセージのようなもの。ここで使われているアンドゥイユは、オルヌ県のお隣カルヴァドス県にある村ヴィール(Vire)特産のアンドゥイユです。


 忙しそうなキッチンでは、トリプ、プチグリ(かたつむり)、キノコのフリカッセなどが作られていました。また、ノルマンディー風ビーフもありました。


 デザートは、リ・オ・レ(お米とミルクで作った焼き菓子)、ミルクのジャムのマカロン、カルヴァドスでフランベしたリンゴのミルフィーユでした。


 お店のサイトはみつかりませんでしたが、住所等は下記のとおりです。


 La Table de CatherineD924

 61200 Fontenai-sur-Orne

 Tel 02 33 67 18 11

 定食は12.50〜35€

 

 

******** フランス人のつぶやき *******

「今日、ボーイフレンドがアジアに行って5ヶ月になる。彼は、すべて順調、でもフランスの食べ物が恋しいと何度も言った。ああ、私はカマンベールになりたい!」

VDM (Vie de merde)より


nice!(30)  コメント(26) 
共通テーマ:グルメ・料理

nice! 30

コメント 26

orange

お写真だけ拝見した時は??餃子??何で?と
思ってしまいました^^?
美味しそうですね。どれを見ても。
タルトにも色々あるのですね。
by orange (2010-11-24 23:56) 

kazenotomo

僕もカマンベールチーズが大好き!
ブランデーを飲みながら、チーズを食べるのが最高!です。
by kazenotomo (2010-11-25 02:33) 

carotte

orangeさん、おはようございます。
美味しそうに見えるでしょ。
ところが、私にとってこのアンドゥイユが謎の食べ物なのでして.....。まだ食べたことがないのですが、かつてアンドゥイエットという似たような腸詰めを食べた時のトラウマが残っていてちょっと怖い。^^;
話によるとヴィール産アンドゥイユはものすごい匂いがして、フランス人でも抵抗があるそうなんですよ。でも、映像に出て来た人たちは、美味しそうに食べていましたよね。味覚というのは人それぞれ。こればっかりは自分でも食べてみないといけません!
by carotte (2010-11-25 09:26) 

carotte

kazenotomoさん、おはようございます。
カマンベールチーズにブランデー......いいですねえ〜^^
とろりとした中身はもとより、皮も捨て難いものがあります。結局、まるごとぱくっと食べてしまいます。
今度、AOC付きとそうでないものとを食べ比べてみたいと思っています。
by carotte (2010-11-25 09:35) 

emuzu

なんか、、、牛のタタキにも見えますねv(^皿^♪)
by emuzu (2010-11-25 14:51) 

wattana

carotteさん、こんにちは。
乳牛といえば、ホルスタイン、ジャージーが一般的ですが、映像の最初に出てきた乳牛、初めて見る種類です。調べてみると、エアシャー (Ayrshire)種のようですが、どうでしょうか?
http://www.dairy.co.jp/rakunou_i/shurui.html
私は個人的には、カマンベールよりもcarotteさんの記事「ノルマンディー地方の料理 その2で登場したウォッシュタイプが好みです。特に、賞味期限を2週間以上過ぎ、匂いがさらにきつくなったウォッシュが好きです (‘いってる’チーズと呼んでいます)。
by wattana (2010-11-25 17:50) 

carotte

emuzuさん
元が豚ですから、牛のタタキに見えてもおかしくないですね。カラメルソースはお醤油に見えます?^^;

by carotte (2010-11-25 21:14) 

carotte

wattanaさん
ざっと調べてみましたが、vache Normande(ノルマンディーの雌牛)というだけで特別な名称が出てきません。19世紀頃、質のいい乳が出るようにと様々な種類をかけ合わせ、その結果生まれたのが、今のノルマンディーの牛なのだそうです。元の種は次の3つだと考えられているそうです:Cotentine、Augeronne、Cauchoise。
ウォッシュタイプの強いチーズがお好みですね。Livarotをフランスで買ってもって帰るときはビニールで何重にも包みます。チーズはただでさえ匂いますね。Livarotはさらにすごい匂いになるんですよ。
by carotte (2010-11-25 21:33) 

wattana

carotteさん、こんばんは。
映像に出てきた乳牛についての情報をありがとうございました。ノルマンド種という乳牛のようですね。ただ、乳肉兼用という情報もあるので、図書館で明日調べてみます。
昔はカマンベールでよかったのですが、チーズを食べ進むにつれて物足りなくなってきました。
by wattana (2010-11-26 20:51) 

carotte

wattanaさん
乳肉兼用の牛もいるんですか.....。
ウォッシュ系でもLivarotはまだ食べやすい方かもしれません。もっとすごいのがあるらしいですよ。
by carotte (2010-11-26 21:31) 

wattana

carotteさん、おはようございます。
考えてみると、‘乳肉兼用の牛’という言い方はちょっと適当ではないかもしれませんね。というのは、たとえば乳牛のホルスタイン種の場合、雌牛は搾乳対象となりますが、雄牛は対象外なので肉用として肥育されます (ただし、肉専用種に比べ肉質は劣ると言われています)。また、雌牛でも高齢になって 引退(言い方は悪いですが‘老廃牛’と称されています)後は、加工用の肉となります。
一方、肉専用種の場合、雌雄を問わず、肉用です (ただし、雄牛は去勢されます)。いずれにしても、Cotentine、Augeronne、Cauchoise 種を含め、世界家畜品種事典で調べてお知らせします。
by wattana (2010-11-27 06:42) 

carotte

wattanaさん、おはようございます。
牛肉の世界も奥が深いですね。
老廃牛はちょっと悲しい言い方ですが、もともと畜産という産業として行われていることを考えれば仕方ないですね。
by carotte (2010-11-27 10:28) 

wattana

carotteさん、こんにちは。
「世界家畜品種大事典」によると、ノルマン Normande は、
~フランス西北部ノルマンディ地方原産で、フランスの代表的な大型乳肉兼用種。1845~1860年にかけてノルマンディ地方在来牛にショートホーン、ジャージーを交配して改良を続け、1883年に成立した。被毛色は白地に濃褐色~黒褐色の斑または斑点が点在する。…略… 用途は乳肉生産で、乳用に傾斜。~
となっていました。Cotentine、Augeronne、Cauchoise が、ノルマンディ地方在来牛なのかもしれませんね。
せっかく図書館へ行ったので、チーズ関係の本を2冊借りてきました。
by wattana (2010-11-27 17:04) 

carotte

wattanaさん、こんにちは。
ということは、ノルマンディ地方独自の種ということなんですね。
また一つ勉強になりました。
それにしてもチーズといいバターといい、生産者ががんばった結果なんでしょうね。こうなると、地産地消で、ノルマンディーの人たちは、どちらもしっかり消費しないといけないです。
by carotte (2010-11-27 18:32) 

opas10

カマンベールと腸詰を焼き上げて甘いソースですか、自分の貧困な味覚想像力ではちょっと想像がつかず・・・。ノルマンディ風ビーフがすっごく美味しそうでした。
by opas10 (2010-11-28 14:12) 

carotte

opas10さん
私もこの料理はどんな味なのか見当もつきません。かなり個性的な味なんじゃないかと思うのですが......。
ノルマンディー風ビーフのソースは、例のクリームとバターとカルヴァドスあたりで作ったソースのようですね。
by carotte (2010-11-28 17:41) 

wattana

carotteさん、おはようございます。
Camembert de Normandieのことが気になったので、11月28日(日曜日)に名古屋へ出かけ、デパート、スーパー、食料品店で探しましたが、売っていませんでした。昨日、11月29日(月曜日)によく行くフランス料理店にあったので、食べました。
驚きました。カマンベールのイメージが変わりました。というよりも、今まで食べたカマンベールとCamembert de Normandieとは全く別物でした。
知っているつもり、食べたつもりでしたが、カマンベールは奥深いことがわかりました。いい勉強になりました。ありがとうございました。
by wattana (2010-11-30 04:23) 

carotte

wattanaさん、こんにちは。
やはり違っていましたか.......。
AOCは伊達に付いているわけじゃないんですね。
私も早く食べ比べてみることにします。
by carotte (2010-11-30 13:37) 

wattana

carotteさん、おはようございます。
昨日、11月30日(火曜日)に利用したフランス料理店にもCamembert de Normandieaがあったので、食べました。マイルドなウォッシュよりも匂いがあり風味もよかったです。もうこれは、自分で買って家でも食べるしかないと思い、Camembert de Normandieを探し、やっと見つかりました。
さっそく昨晩すこしだけ食べてみましたが、2つのフランス料理店で食べたものにくらべ、塩がチーズ本体と馴染んでいない感じがしました。個体差があるのかもしれません。いや、その後に食べたウォッシュが意外によかったので、それとの比較になったのかもしれません。
チーズも奥が深いですね。
by wattana (2010-12-01 07:05) 

carotte

wattanaさん、こんばんは。
チーズにはまってしまいそうですね。
それぞれ味が違うところが、フランスのAOCなのかもしれませんよね。ワインにしてもリンゴにしても、厳密に区画を決めて、それぞれ個性のある味を出すというセオリーが、チーズにもあるのかもしれません。
by carotte (2010-12-01 18:30) 

wattana

carotteさん、カマンベール・ド・ノルマンディに続き、シャウルス Chaource、 マンステル Munster、(いずれもAOC)を、ほぼ毎週月曜日のランチタイムに行くフランス料理店で食べました。フランスのチーズ、美味しい~ です。でも、残念ながら日中 (ランチ)なので、ワインは飲んでいません。
by wattana (2010-12-11 06:55) 

carotte

wattanaさん
う〜ん、ワインが飲めないのはちょっと残念ですね ^^;
拙宅の近所のお店にはAOC付きカマンベールは置いてないようなので、少し遠出しないとダメなようです。出たついでに、合いそうなワインも一緒に買って来ようと思っています。
by carotte (2010-12-11 10:16) 

wattana

carotteさん、こんばんは。
今日買った雑誌 「フィガロジャポン ヴォヤージュ vol.21」は、~北フランスの田舎町へ。~ を特集しています。ノルマンディー関連のページを見ると、カマンベール・ド・ノルマンディ (AOC)を名乗れる農家は5軒だけとなっています。
話題が変わりますが、先日買ったカマンベール・ド・ノルマンディに合わせようと、ノルマンディのシードルを探した結果、見つかりました。でも、2500円くらいだったので止めました。そんなに高いはずないと思ったからです。
http://www.madeinpaysdauge.com/fr/bo-cidre.html
by wattana (2010-12-11 19:28) 

carotte

wattanaさん
どうも地域が限定されているようです。その地域で作っている農家が5軒ということなんでしょうね。そうなると、やはりどこにでも売っているというものではなさそうです。
2,500円のシードルはちょっと高いですね。かなり上乗せしてますねぇ〜。
by carotte (2010-12-11 23:56) 

wattana

carotteさん、おはようございます。
ボジョレー・ヌーボーと同じ売り方ですね。そこで、高く設定しすぎているノルマンディー産はあきらめ、安いブルターニュ産のシードルをまとめ買いしました。でも、軽めのシードルと発酵がすすんだチーズでは合わないような気がしました。
カマンベールとカマンベール・ド・ノルマンディは別のチーズと考えた方がいいですね。
by wattana (2010-12-12 07:43) 

carotte

wattanaさん、おはようございます。
私もお料理実践編で使ったシードルはブルターニュ産だったと思います。どっちも同じだ!なんて思ってましたけど、フランスのことですから、ノルマンディー産とブルターニュ産ではまた味が違っているんでしょうね。
単なるカマンベールは、脂肪のかたまりを白カビで包んだみたいなのが多いですね。
by carotte (2010-12-12 09:47) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。