ミュージアムを巡る地方の旅 その1 〜マティスの故郷〜 [フランスのお宝]
今日から新しいシリーズを4回に渡って紹介します。
いつものフランスのTV局TF1が、今年2010年の5月に放送したものです。
第一回目は、アンリ・マティスの生まれ故郷カトー=カンブレジ(ノール県)を訪ねます。ここにはマティス美術館があります。
カトーの町 マティス美術館
いつものように映像をご覧いただく前に、少々説明を。
アンリ・マティスは、1869年12月31日に当地で生まれました。両親は、その翌年、カトー=カンブレジから南へ15キロほど下った隣町ボアン=アン=ヴェルマンドワ(Bohain-en-Vermandois)に穀物の種を売る店AUX GRAINES D'ELITEを開きます。(下記写真)
マティスは、芸術というより、足を地につけ堅実に生きて行く商人や職人の世界で育ったようです。その彼に影響を与えたのが、フランス全土にあった繊維工房だったそうです。これらの工房では、オートクチュールのために高級繊維製品を作っていました。その後、22歳で故郷を離れ、ここにはたまにしか戻ってこなかったようですが、晩年の1952年に80点もの作品を町に寄贈しました。
当時、マティスは画家として成功をおさめていましたが、本人だけの作品を収蔵する美術館はありませんでした。そこで、数人の町の人たちがマティスに提案したのです。当時の市長や町の名士が、小さな美術館を作りたいので作品の複製でいいから提供してくれないかと言ったところ、これに感銘を受けたマティスがオリジナルを提供してくれたのだそうです。この中には、かの有名な「Fenêtre à Tahiti(タヒチの窓)」や他では見られないようなデッサンのコレクションがあります。
映像は→こちら
映像の冒頭では、故郷の風景とともに、それを描いた初期の油絵が2枚登場しました。
緑色のファサッドに"AUX GRAINES D'ELITE"と書かれた、かつての両親の店の二階には商売に必要な様々な道具が置いてあります。
美術館の映像も登場し、収蔵作品もいくつか見ることができました。
マティスから作品を寄贈された美術館は、その後、他からの寄贈やノール県による作品の購入などでその規模をしだいに大きくし、国際的に知られる美術館になりました。
最後に登場したのは1955年創立の学校です。この学校の幼稚園には蜜蜂をモチーフにしたマティスのステンドグラスがあり、国の文化財の指定を受けています。
Musée départemental Matisse, Palais Fénelon
59360 Le Cateau-Cambrésis
Tel. 33 (0)3 27 84 64 50
Fax. 33 (0)3 27 84 64 54
Mail: museematisse@cg59.fr
サイトは→こちら
「今日、子供部屋用にカーペットを買った。モザイクのように自由に色を組み合わせることができたので、オレンジ、緑、青、黄色を選んだのだが、パソコンを立ち上げたとたん気がついた。カーペットがWindowsのマークになっていたのだ」
訪問有難う御座いました、
フランスに限らずヨーロッパは昔から芸術や文化を
大切にしてきたのですね、色々細かい説明が有り
嬉しいです (^_-)-☆
by タッチおじさん (2010-11-28 09:36)
タッチおじさんサン
こちらこそご訪問ありがとうございます。
特にフランスは「文化」に関してはどういうわけか敏感に反応しますね。
よかったらどうぞまたご訪問ください。
by carotte (2010-11-28 17:04)
小規模ながら充実したコレクションですね。
行ってみたくなりました。いつか…ですが。
マチスのステンドグラスのある小学校とは…素敵ですね。
自国文化を大切にする、そしてその財産を生きたかたちで、
さりげなく取り入れることの上手なフランスの人々を羨ましく
思います。
by orange (2010-11-28 21:00)
orangeさん
日本も独自の文化をもっと大事にしないといけないなと思ったりしますね。
マチスの作品がこれだけ映像になって放映されるのは珍しいような気がします。マチスというとなんとなくプロヴァンスを想像してしまいますが、生まれたのは北だったんですね。パリからはそれほど遠くないようなので日帰りできるかもしれません。
by carotte (2010-11-28 21:31)