由緒あるお店 その1 〜イタリアの薬局〜 [イタリア]
フランスは各地で予想以上の積雪に見舞われています。TF1の番組もそのニュースが大半を占め、年末のごちそうの話題もお休み状態。そこで、過去の映像の中から新しいシリーズを紹介することにしました。今年の一月に放送されたものです。
今回はフランスを離れて、イタリア、イギリス、スペイン、ベルギー、ロシアを順に回って行きます。
第一回目は、フィレンツェにあるサンタ・マリア・ノヴェッラ薬局。
Photo from Wikipedia
サンタ・マリア・ノヴェッラ薬局(Farmaceutica di Santa Maria Novella)は、ドメニコ会の僧侶によって1221年に作られました。今から約800年ほど前のことです。
僧侶たちは、修道院の庭で育てた薬草を用い、香油、軟膏、ポマードなどを作り、修道院の中にある養護室(診療所?)で使っていたそうです。
当時のトスカーナ大公から王家御用達の名を授与された後、1612年、一般市民も利用できる薬局として営業を始めます。そして18世紀になると、薬剤師となった僧侶たちが開発した製品の評判は、ロシア、インド、中国にまで及んだそうです。
映像は→こちら
薬局はかつて修道院だった場所にあります。現在は店舗の他に博物館が併設されており、当時の機械や設備、さらには陶器やグラスなどを見学することができます。また、当時の技術や方法は今も製品作りに生かされています。現在の室内装飾は、1848年に、ここが国家のものとなった時のものです。
映像の中で、白いペースト状のものを機械でこねているシーンが出てきましたが、これは皮膚を白くする漂白剤のようなものだそうです。昔の男性は皮膚が白いのをよしとしていたので、このようなものを使っていたようですが、現在でもこの製品は作られ販売されています。今は女性向けでしょうか?
16世紀には、ここで作られた香水を、カトリーヌ・ドゥ・メディチがフランス王家に嫁いだ際に持参し、これがオーデコロンの原形になったそうです。
オーデコロンと言えば、ドイツのケルンに移住したイタリア人が作った香水で、「ケルンの水」という意味のフランス語ですが、最近は、オードトワレ、オードパルファン、単なるパルファンと、様々なものが登場し複雑になってきました。一体何が違うのかと言えば、液体物に含まれる香りのエキスの量に違いがあるようです。調べたところ、それぞれ下記のような含有率でした。
オーデコロン 4~5%
オードトワレ 7~12%
オードパルファン 12~20%
パルファン 20%以上(高価なものになると40%にも達する)
サンタ・マリア・ノヴェッラ薬局は、日本に代理店が2つあります。興味のある方はどうぞ。
A社→こちら
B社→こちら
なかなか素敵な店舗ですね。
阿部 謹也さんの"中世の街から"という著書に
こんな中世の修道院で病院や薬局機能を持った施設の
話がよく出ていました。ケルンの4711の香りは独特です。
ああ"ドイツの匂い”って思う時があります。
ご紹介のショップ、リンク辿って拝見しました。
今度行ってみますね。見るだけ…見るだけと言い聞かせて^^?
by orange (2010-12-13 00:55)
orangeさん、おはようございます。
実はうちにあるんですよ、4711。
パリで買いました。柑橘系のさっぱりとした香りですね。
この薬局の製品が日本であちこちお店に出ているみたいで、ちょっと驚きました。私もお店のぞいてみたくなりました。
by carotte (2010-12-13 10:15)
うれしいくらいゴシックな建物です。薬草が原料だと、ロマネスクのような「合理的」な建物よりもゴシックのような「自然崇拝」の建物で売っているほうが効用ありそうな気がします(笑)。
by opas10 (2010-12-19 13:48)
opas10さん
そうかもしれませんね。なんとなく効きそうな感じします。
この店の外観をストリートビューで見てみたいと思ったのですが、撮影時期が古かったのか、結局、はっきりと確認できませんでした。なにしろ、中の様子に比べて外観は「普通」みたいなんですよ。
by carotte (2010-12-19 19:17)