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由緒あるお店 その2 〜ロンドンの靴屋〜 [イギリス]

 シリーズの二回目は、オーダーメイドの靴屋さん。
 小さな靴屋さんですが、ロンドンでも老舗の一つです。


UK_London.jpg


パディントン通り4番地

 靴屋ジェイムス・テイラー&サン(James Taylor & Son)の歴史は1857年に始まります。折しもクリミア戦争でのナイチンゲールの活躍で、イギリスの保健制度に改革がもたらされた時期のことでした。日本では、黒船来航から4年後、坂本龍馬が千葉道場で二度目の剣術修行に励んでいる最中のことです。


 店の創業者であるジェイムス・テイラーは、イギリス東部にある故郷ノーフォークからロンドンへとやってきます。そして、ウェスト・エンドにある、当時ファッションの中心だったグレート・ポートランド通りで靴屋を始めます。世紀末になると、彼の作る伝統的な靴は、見た目に美しいだけなく、はき心地が良いと評判になります。顧客には、オクスフォード通りに新しくできた百貨店の社長たちや、ヨーロッパ各国の王室などがいたそうです。


 1950年までは、ジェイムス・テイラーの息子や孫によって経営されていましたが、その後は別の会社に吸収され、1954年に現在のパディントン通りに引っ越してきました。新しい会社の経営者も5世代に渡ってハンドメイドの靴屋でした。


 映像は→こちら


 お店のある建物は1790年に作られたもので、当時からオーダーメイドの靴屋でした。


 靴作りは分業で行われます。各自がそれぞれのパートのスペシャリストです。そして、最初の仕事は顧客の正確な足形を作ること。あまり大きくないお店ですが、数百にも及ぶ足形がすでに保管されています。顧客が亡くならない限り、ずっとここで保存され使用されます。


 ちょうど足形を取っていた男性のお客さんは、4年前に事故に遭って以来、足の具合がよくないので、ここで靴を作ってもらうことにしたのだそうです。


 材料の選び方と道具の使い方に独特の伝統があります。また、奥の棚には女性靴専用の超軽量ヒールもあります。


 注文は国境を越えてやってきます。最後に見せてくれたブーツは、ふくらはぎが普通よりだいぶ大きいアメリカの軍人のために作られた乗馬用ブーツです。


 靴の製作には数ヶ月かかり、その間、何回か試着する必要があるそうです。しかし、ここで作られた靴は少なくとも30年は持つそうです。



feuille.jpg本日のクリスマス・イルミネーションcadeau.jpg


☆ ロンドン ☆

夕方から少しずつ輝きを増して行くイルミネーションをお楽しみください。


* 少しの間、フランス人のつぶやきはお休みします




nice!(19)  コメント(4) 

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コメント 4

orange

昨夜はコメント"送信”!と押したら…丁度メンテナンスの時間に。

やはり紳士の国ですね。木型の数が凄いですね。
日本でもやっとシューフィッターの居る店舗が増えつつありますが。
私も左右の脚の大きさが違うのでオーダーしてみたいです。
30年も使えるなら…
by orange (2010-12-14 09:20) 

carotte

orangeさん
私も、メンテナンスのことすっかり忘れていました。^^;
近頃、メンテナンスなしでもおかしなことが起きますけど.....。
靴は大事ですが、自分の足にぴったりというのはなかなか巡り会えませんね。オーダーメイドの靴屋さん、最近日本でも見かけるようになりました。
by carotte (2010-12-14 13:57) 

opas10

究極のOne to one Marketingですね。あれだけの職人さんやストックを抱えていてもこのご時世でビジネスが成り立つということはそれだけオーダーがあるんですね。
by opas10 (2010-12-19 13:58) 

carotte

opas10さん
普通の靴は履けないという人が、わりに大勢いるんじゃないでしょうか。それに、履き心地が良くて長持ちするとなれば、少々時間や費用がかかっても、と思う人もそれなりの数いるのかもしれません。
by carotte (2010-12-19 19:12) 

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