コート・ダジュールの城塞 その３ 〜城塞から宮殿へ〜

　シリーズの三回目は、地中海沿いの町の丘に建つお城です。

グリマルディ城

(Château Grimaldi)

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　町の名はカーニュ＝シュル＝メール。人口は約50,000人。

　この町の丘の上にあるのが、1304年、当時のフランス国王フィリップ四世から海軍司令官に任命されたレニエ・グリマルディが、1310年に建てた城塞です。彼は、司令官当時、フランドル市民軍との戦いで窮地にあったフランス海軍を救った褒美として、カーニュの領地を与えられます。領主となった彼は、防衛の要所としてこの城塞を建設しました。

　レニエ・グリマルディは、その後、モナコ公国の初代大公となりますが（レニエ一世）、これがグリマルディ大公家の始まりです。

　さて、城は丘の上から町を見守るように立っています。17世紀になると、この城塞は領主の住まいに改築されますが、この地域の石で作られた建物には、出し狭間や銃眼が備えられ、中世の特徴が随所に残されています。下記写真をクリックして番組をご覧ください。

　主塔から屋上に出ると、360度視界を遮るものはなく、ここもまた防衛のため、見張り台としての役割を担っていたことが分かります。

　この城のもう一つの特徴は、中庭が三角形をしていること。17世紀の改修によって、かつてここが軍事施設だったとは思えないくらいエレガントな建物へと変身したことが、この中庭部分に、はっきりと表れています。

　また、大広間には、イタリアの画家に描かせた天井画があります。だまし絵の手法を用い、ルネッサンスの豊かな芸術をうかがわせる大作です。ここまでになると城塞ではなく宮殿と言った方がふさわしいかもしれません。

　城の地下には、大規模な地下室があります。牢獄や貯蔵庫として使われていたのが、徐々に規模を増し、戦時中は空襲を逃れて市民がここに避難したそうです。

　20世紀には、ルノワール、モディリアーニ、スーチンなど有名な画家たちが町にやってきます。町の色彩がフォビズムの誕生に大きな影響を与えたと言う人もいます。

　グリマルディ城は、現在では美術館を備えた城“La Château Musée Grimaldi”として知られています。

 

 

＊＊＊＊＊＊＊＊　フランス人のつぶやき　＊＊＊＊＊＊＊

「今日、毎年なのだが、独身者だけでガレット・デ・ロワを食べた。王様になった人は王女にキスすることになっている。今年は幸運なことに僕が王様で、ずっと気になってた彼女が王女だった。ところが彼女は、僕が王様になったのを見て、泣きながら気分が悪いと言い出した」

VDM (Vie de merde)より

タグ：フランス カーニュ＝シュル＝メール 丘 塔 城塞 宮殿

コメント 6

街全体の建物が小さな石を一つひとつ積み上げて、重ね合わせて
創られたものだと思うと、すごいエネルギーを感じますね。
屋根の色が素敵です。石造りの建物はほんとうに年月を経る毎に
深みを増して行きますね。
by orange (2011-01-07 23:49) 

orangeさん
階段状に家が建ってますね。屋根には筒を半分に切ったような形の素焼きの瓦が並んでます。
外見と中庭のコントラストが面白いです。過去の建物を改修して使うとこのようなことが起きるんでしょうね。
by carotte (2011-01-08 08:55) 

本当に素敵な街が残っていますね。
海も望めて、山も見えて...
by 島酔潜人 (2011-01-08 10:50) 

こうした古い建物のを案内してくれるのは、だいたいが古い人（笑）なのに、珍しくうら若き女性なのでビックリしました。インテリアを見ていると、たしかに要塞でなく宮殿！ですね。特に騙し絵風の天井画が素晴らしいです。
by opas10 (2011-01-08 12:26) 

島酔潜人さん
コート・ダジュールには岩山がたくさんあって、海からの侵入者に備え、あちこち城塞を作ってるみたいです。今となっては、眺めはいいし、見た目も美しいし、観光にはもってこいですね。
by carotte (2011-01-08 20:42) 

opas10さん
案内人は「ギャル」でしたね ^^;
しかも、アニメの声優さんみたいな声。
ルネッサンスあたりから、城は要塞化というより、宮殿化していったように思われます。
by carotte (2011-01-08 20:46)