フランス伝統のゲーム その5 〜文化財になったゲーム〜 [フランスのお宝]
シリーズの最終回は、アンジュ地方に伝わるゲームです。このゲームは、良く磨かれた床のある広いコートで行われます。
今回は、そのコートがあちこちにあるメーヌ=エ=ロワール県の町マゼを訪ねます。
ゲームの名前は「ブール・ドゥ・フォール(boule de fort)」。なんと文化財に指定されています。
コートの広さは地域によって様々ですが、縦18~20m、横5~6m。雨樋のように両サイドが少し上がっていて、平らな部分より30㎝から40㎝高くなっています。
試合に使用するのは、メートル(maître)と呼ばれる白い球(直径8~9㎝)と、プレーヤーが使うボールです。
このプレーヤーのボールは少々変わっています。固めの木またはプラスティック製の直径12~13㎝のボールで、両サイドをやや平たくし、球体に近いタイヤ型をしています。転がる部分には鋼鉄を巻き付けてあります。このボール、わざと不均衡に作られており、まっすぐ転がらないようになっています。そのため、投げ方しだいで、ひとりでにのろのろと転がっていきます。
ゲームは、コート上に置かれたメートルに、ボールをどれだけ近づけられるかでポイントが加算され勝敗が決まります。上記写真をクリックして番組をご覧下さい。
コートに入ったら、まず室内履きに履き替えなければなりません。
1チーム2人で、2チームから3チームで戦うのが一般的だそうです。手持ちのボールは一人2個ずつ。プレーヤーは、ゆっくりとボールを転がしメートルに近づける役と、邪魔をしている敵方のボールをはじくため、勢い良くボールを転がす役に分かれているそうです。
ルールはペタンクに準じ、10点または12点先取を目指して戦います。一試合の長さは1時間半~3時間ほど。
かつては一人1個のボールしか使わなかったため、次のゲームが始まるまでに30分ほどの待ち時間があり、その間にアンジュ地方のワインを飲んだそうです。そのため、勝ち負けにこだわる試合というより娯楽性の強いゲームになったようです。お酒を飲んで愉快になれば、勝ち負けなんかどうでもよくなりますよね。
この地方だけで300ほどのコートがあります。かつては男性だけに限られ、女性が男性を迎えに来てコートに入るだけでもペナルティが課せられたこともありました。現在では女性もゲームに参加することができます。
ゲームで1点の得点も出来なかった人が出ると鐘を鳴らします。そして、その人には罰ゲームが待っています。
壁のカーテンを開けると下着姿の女性の後ろ姿が.......。この女性のお尻にキスをしなくてはならないのです。
「今日、私の猫が革の椅子に爪をたてぼろぼろにした。以前、同じようなことをしたとき、罰として外に放り出したことがあった。それが大きな間違いだった。今度は、外に出たい時は必ず、椅子をぼろぼろにするようになってしまった」
VDM (Vie de merde)より
室内履き、日本のスリッパのようなものもありましたね。
ドイツにはあの種の室内履きはあまりありませんが。
簡単そうですが、難しそうですね。
by orange (2011-01-23 23:19)
orangeさん
フランスはあのぬくぬくの室内履きが多いですよ。
微妙な投球が要求されそうですね。
今回紹介した5つのうち、一番さかんに行われているゲームです。
by carotte (2011-01-24 09:26)