がんばるフランスの中小製造業 その1 〜カーラー(ロッド)〜 [メイド・イン・フランス]
少し変わったシリーズを紹介することにしました。
今やほとんどの日用品が主に中国で製造されていますが、まだまだフランスで作り続けている会社があります。そんな中小製造業を5回シリーズで紹介します。
第一回目の今日は、くるくるヘアーには欠かせないカーラー。
オート=ロワール県の村サン=フロンにある工場BIGOUDIS BOSCを訪ねます。
サン=フロンは人口500人ほどの小さな村。ここにフランスでカーラーを作る最後の工場があります。
クロディーとその娘ラシェルが、1960年創業の工場を買い取ったのは3年前のこと。フランスにはカーラーを作っている工場がないと聞いたからです。
今やプラスティックになってしまったカーラーですが、ここのは、昔よく見かけた、螺旋状のバネをナイロン製の網で包んだもの。上記写真をクリックして番組をご覧下さい。
ここでは毎日40,000個のカーラーを作っています。このカーラーの中にはブラシが入っているそうです。ブルーの一番細いのが一般に売られているもの、赤いのは美容院用、大きめのブルーは主に輸出用です。モロッコやアルジェリアなどの北西アフリカ、ベルギー、アメリカなどに輸出しているそうです。
ナイロン製の網は、サン=フロンから20キロほど北西へ行ったところにあるレース工場で作られます。これを工場に持ち帰ってバネにかぶせます。
赤いカーラーは、近くの農家の主婦が在宅の手作業で仕上げます。シャンタルさん、暖かくて居心地の良い自分の部屋で仕事ができ、副収入にもなるので満足だそうです。置き時計を買ったり、ベランダを作ったり、この収入のおかげだそうです。
ここのカーラーは中国製のに比べて2倍は長持ちするそうです。
「今日、ママが、バスローブにピンクの部屋履き、頭にはカーラーをつけたまま学校に迎えにやって来た。昨日、モノポリーで私に負けた仕返しらしい」
VDM (Vie de merde)より
ありました!昔、カーラーの中にブラシが入っているの。
母が使っていたような気がします。…とても昔の話です(汗)
こういった材料原価の割に手間のかかるもの、この頃では某国製が
増えていますね。でもやはり品質の面では負けませんね。
のどかな村の風景に似合わない産業のようですが、フランスの
華やかなファッション界を支える産業ですね。
by orange (2011-01-27 02:01)
orangeさん
私も母の鏡台にあったのを憶えています。^^
日本ではほとんどみかけなくなったカーラーを、フランスの田舎の小さな工場で作っているとは思いもしませんでした。しかも輸出までしてます。レース工場も内職の主婦も、このカーラー工場に支えられているみたいです。
by carotte (2011-01-27 09:56)
こうした消耗品に近いものは、コストだけが重視されがちなのでとある国の商品に対抗するのが難しい時代になっていますが、品質とかライフとかを考えると先進国の地道なものづくりでまだまだ対抗できるんですね。今日のフランス人のつぶやきも、「そうきたか!」(笑)です。
by opas10 (2011-01-29 15:07)
opas10さん
人件費の高く付く先進国では、この手の製品は難しい気がするのですが、輸出までしてるということですから、ちょっと驚きです。
結局、耐久性を考えると少々高めでも、最後は安い製品とコストでは変わらない場合もあるということですね。
by carotte (2011-01-29 18:01)