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ペルシュ地方 その4 〜 名産品 〜 [ペルシュ地方]

 シリーズの四回目は、オルヌ県の町モルターニュ=オ=ペルシュの名産「モルターニュの黒ブダン」。豚の血を使ったソーセージです。

Paris_Perche.jpg

 

下記地図のyellow-dot.pngがモルターニュ=オ=ペルシュ。 


より大きな地図で ペルシュ地方 を表示

boudinmTV.jpg

 

 すぐに黒ブダンのお話をと思ったのですが、その前に番組に登場するのが、食事には欠かせないパンの話です。

 

 モルターニュ=オ=ペルシュから南へ25キロほど下ったところにある町ラ・ペリエール(地図中のpurple-dot.png)(ここは次回詳しく紹介する予定です)には、少し変わったパン屋さんがあります。

 

 麦の栽培から製粉、パンの製造まで全部自分でやってしまいます。音楽業界で言えば、シンガーソングライターみたいなもんですね。

 

 パン屋のご主人ティエリー・エルムリヌさんはブルターニュのパン屋で働いていましたが、自分で栽培した麦でパンを作りたくなり、この地にやってきました。

 

 1999年、廃墟と化しながらもパン焼き窯の残る古い農場を手に入れ改築し、2001年頃からパンを作って売り始めたそうです。

 

 麦はすべて有機栽培。製粉するのはパン生地を作る数時間前。パンの種類は20種類ほど。本物のパンを求めて数十キロ車を走らせてやって来るお客さんもいます。

 

 味の違いはもとより、15日間という長期の保存も問題ないそうです。上記写真をクリックして番組をご覧下さい。

 

 さて本題の黒ブダンは後半に登場です。材料は、玉ねぎ、豚の脂身、豚の血、豚の腸、塩・こしょう。刻んだ玉ねぎと脂身を火にかけ、2時間ほどかけて混ぜ合わせます。最後に豚の血をまぜ腸詰めにします。

 

 ここの黒ブダンの味の秘密は、中に生クリームが入っていること。

 

 できあがった黒ブダンを賞味するのは、伝統の味を守るために、50年ほど前に創立された黒ブダン味聞き騎士団(Confrérie des Chevaliers du Goûte-Boudin)の皆さん。

 

 この黒ブダンの歴史は今から2000年以上も昔、ローマ支配時代にまでさかのぼります。当時、ペルシュ地方にはたくさんの森があり、そこにはイノシシがいたそうです。そして、ローマ人の食卓には、ごちそうの一つとしてイノシシ料理が出ていたそうです。

 

 樫やブナの木の実をたらふく食べたイノシシの血で作られていたブダンは、今では玉ねぎや脂身が加わり、豚の血で作られるようになったそうです。

 

 黒ブダンは、食前酒のお供に、サラダやジャガイモのピュレ、カルヴァドスでフランベしたリンゴと一緒に食べるのがおいしいそうです。

 

 「鉄分がたっぷりなんだから、健康保険を適用して欲しいもんだ」とメンバーの一人がひと言。

 

 皆さんが飲んでいたのはシードルでした。

 

******** フランス人のつぶやき *******


「今日、僕たちの住むオルヌ県がなくなってしまうかもしれないと彼女に言ったら、『ええっ、それなら私たちはどこに住めば良いの?』と彼女が言った」


VDM (Vie de merde)より



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orange

ぐるぐるとうずたかく巻き上げられた黒ブダンを見て
圧倒されてしまいました。
う〜ん。少しだけなら味見してみたい気がします。
パン屋さんはいいですね。素材が明らかで。美味しそうです。
by orange (2011-02-18 10:55) 

carotte

orangeさん
あの渦巻き黒ブダンは、ちょっと驚きますよね。
形を間違えるとちょっとどうなのかな........って思たり。^^;
パン屋さんは文句なくよさそうです。昔使われていた麦の品種でパンを作ってみたいとも言ってました。
by carotte (2011-02-18 20:54) 

wattana

carotte さん、こんばんは。
ブーダンノワールの量、さすがフランスですね。よく利用するフランス料理店のシェフによると、ブーダンノワールは焼くのが難しい (焼いている途中に破裂することがある)そうです。渦巻き型のソーセージといえば、日本でも観光地などで売られることが多くなりました。串に刺した小型の渦巻きソーセージもあります。
by wattana (2011-02-18 21:32) 

wattana

carotte さん、おはようございます。
豚血の入手がむつかしい日本ではブーダンノワールを提供しているフランス料理店が少ないと以前に書きましたが、ブーダンノワールを提供したいと思っているシェフは多いようです。また、フランス料理を食べ慣れている方の中にブーダンノワールを食べてみたいという方がいるようです。
ただ、ちょっと残念なことなのですが、boudin noir は日本のフランス料理店で「ブーダンノワール」とカタカナ表記するのが一般的なのに対して、ブログ記事などを見ていると「ブータンノワール」と表記している方がかなりいらっしゃいます。豚の血だからブータン?
by wattana (2011-02-19 07:34) 

carotte

wattanaさん、おはようございます。
boudin noirはペリゴール地方の時にも登場しましたが、あの時は茹でてましたね。破裂しないように鍋の中でずっと動かしてました。あのキャンディのソーセージ版は近頃よく日本で見かけます。
「ブータン」はどこからやってきたんでしょ ^0^
日本語の発音ではタンのほうが自然なのかもしれません。それと似たのがパンの「バゲット」です。「バケット」と書いているパン屋さんをあちこちみかけます。
boudinのカタカナ表記はなやましいです。現地のを聞いていると「ブダーン」に聞こえてきたり......。
by carotte (2011-02-19 10:09) 

wattana

carotte さん、バケットはよく見ます。ベーカリーレストラン 「バケット BAQET」というレストランもあります。バゲットが正しいことを理解した上で、意図的に BAQET としているのかも知れませんが、間違えた発音が広まると思います。http://www.saint-marc-hd.com/baqet/
アボカド avocado がアボガドになるなど、日本人は濁音の聞き取りに弱いのでしょうか?
by wattana (2011-02-19 10:49) 

opas10

イメージとして、濃厚な肉料理のブダンにシードルってあまり合わないような気がしますが、はて実際はどうなのでしょうかね。コッテリしたブダンをいただくならやはり赤ワインかなあと思うのですが。
by opas10 (2011-02-19 14:19) 

carotte

opas10さん
どうなんでしょうね。
私がブダンを食べたのはパリでしたが、お供は赤ワインでした。シードルという発想はなかったです。でも、カルバドスでフランベしたリンゴと一緒に食べると美味しいという説明を聞くと、ひょっとしてシードルでも美味しいのかもしれませんよ。
by carotte (2011-02-19 19:04) 

carotte

wattanaさん
バゲットは、昔はフランスパンと言ってたと思うのですが、その原語をカタカナで言うようになったあたりから「バケット」が登場したような気がします。baqetは英語でもないしフランス語でもないから造語???この手の造語は日本中にあふれてますね。
avocadoも綴りを見ればアボガドにはならないと思うのですが、どうも発音が馴染まないのかもしれません。言語学者の方で研究した人はいないんでしょうかね?
by carotte (2011-02-20 09:47) 

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