パリ近郊の小さな村 その3 〜 水路の村 〜 [イル=ドゥ=フランス地方]
シリーズの三回目は、ブリー地方のヴェニスとも言われるクレシー=ラ=シャペル村を訪ねます。
下記地図の緑の印のあるところです。
村の人口は4,000人ほど。7世紀頃、礼拝堂の向かいに数軒の家が立ち集落を作っていた村は、ほどなくして城壁に囲まれた要塞都市になります。当時は塔が40本もあり、そのうちいくつかは現在も残っているそうです。
また、グラン・モラン川の岸辺にあった村は、森の入り口に位置していたため、切り出された木を運ぶための拠点となり、商業的にも栄えていました。また村の中には何本もの水路(brasset)が掘られました。
百年戦争以降は領主が何度も変わり、一時、カトリーヌ・ド・メディチが領主だったこともあります。
1760年頃、最後の領主によって、通りの拡張、広場の整備、水路の修正、歩道の設置などが行われました。
ブリーのヴェニスと言われるくらい水路の発達したこの村は、小さなカヌーを操りながら散策するのがいいそうです。下記写真をクリックして番組をご覧下さい。(2011年5月18日放送)
緑の木々の間を縫って進めば、水路沿いに小さな船着き場や洗濯場が今も残っています。上に目をやればあちこちに小さな橋が架けられています。石橋のアーチをくぐり抜けると、古い建物の並ぶ通りが見えてきます。
エレナさんは、昔の屋敷を修復して住んでいます。屋敷には7世紀に建てられた部分もあるとか。庭はル・ノートルがデザインしたものかもしれないと言っていました。
19世紀には、多くのアーティストがこの村にやってきます。番組にはコローが住んでいた家が登場しました。
また、かつての城壁の跡も一部残っています。塔は当初の40本から99本にまで増えていたそうです。
絵になる風景にあふれているこの村は、映画やドラマの撮影にも使われました。日本でも放映されたジェラール・ドパルデュー主演の「モンテ・クリスト伯」の一部もここで撮影されたそうです。
グラン・モラン川沿いに東へ数キロ行ったところにノートルダム=ドゥ=ラソンプシオン参事会管理聖堂(Collégiale Notre-Dame-de-l'Assomption)があります。
この教会は13世紀に建てられました。ゴシック様式の内陣はみごとです。外観でひときわ目を引くのは、控え壁から飛び出したガーゴイル。その口からは溜まった雨水が吐き出されます。このような作りは、パリのノートルダム大聖堂と同じだそうです。
また、ここには広大な庭もあり、一般の見学者に開放されています。
クレシー=ラ=シャペルまでは、パリからRERのA線とバスを乗り継いで1時間半足らずで行けそうです。
******** フランス人のつぶやき *******
「今日、お年寄りのために50ユーロで庭の手入れをすることにした。午後2時から初めて5時に終了。様子を見に来たおじいさんが言った。『おお、きれいになったな。しかし、そっちは隣の庭で、わしのはこっちじゃ』」
VDM (Vie de merde)より
運河の水の映像が心地よいですね。
視線の低い映像で、一緒にカヌーに乗っているような気分ですね。
石造りの家は夏涼しいですね。羨ましい。
by orange (2011-05-24 22:18)
orangeさん
航空写真で見るとだいぶ規模が小さいみたいですが、きれいなところのようです。水路を作る利点があったんでしょうね。わりに栄えた村で、あのようなお屋敷がたくさんあるみたいです。
by carotte (2011-05-25 09:58)
教会内部とガーゴイル、見事でした。あれだけスケールの大きな教会を造り、ノートルダムと同じ装飾(ガーゴイル)ができたということは、それだけこの地域に富が蓄積していたということなのでしょうね。
by opas10 (2011-05-29 13:40)
opas10さん
かなりの地位の人がここの領主だったようで、やっぱりお金持ちの村だったようです。裕福な集落には、りっぱな教会ができるものですね。
by carotte (2011-05-29 17:47)