味覚週間2011 その5 〜ポ=ト=フ〜 [フランスの郷土料理]
シリーズの最後は、ポ=ト=フ。
郷土料理というより、フランスを代表する料理の一つですが、今日は、このポ=ト=フを、フランス西部ヴァンデー県の小さな村シェフォワにあるオーベルジュLe Moulin Migné(又は→こちら)の女将イザベルさんが作ってくれます。シェフォワの人口は1,000人足らず。
このオーベルジュ、農場の中にあり、昔、水車の動力を使って毛織物ラシャを作っていた工房を改装したものだそうです。
下記ウィンドウの▶をクリックして番組をご覧下さい。(フランスのTV局TF1で2011年10月21日に放送)(▶をクリックしても該当の映像が出てこない場合や、直接TF1のサイトでご覧になりたい方は→こちら)
ここのポ=ト=フの特徴は、野菜からお肉まで全部自前だということ。
まずは菜園で、セロリ、カブ、ニンジン、ネギなど、ポ=ト=フに入れる野菜を入手。
大鍋に水を張り、ローリエ、玉ねぎ、クローブなど、香りの野菜とハーブを入れ、塩を加えます。
次に牛肉。胸肉、すね肉、肩肉、首回りの肉を糸でしばり、さきほどの大鍋に入れ、ことこと2時間かけて煮て行きます。
「サーロインやフィレ肉のように高級なお肉ではありません。お肉屋さんに行けば安く手に入る部位ばかりです。1キロあたり10ユーロくらいで手に入れられますよ」とイザベルさん。
自前のお肉は、オーベルジュの周りに広がる草原で育てられている牛。牧草とビーツで育てられています。牛の担当はご主人のローランさん。
「トウモロコシを食べさせるより、ミネラル分を含んだ霜降り肉になり、ずっと美味しいですよ」
さて、2時間煮込んだ鍋に、さきほど菜園で収穫してきた野菜を加えます。
新鮮な野菜なので火が通るのが早いとか。時々煮え具合を確かめないといけないそうです。
たくさんのお客さんが一つのテーブルを囲んでポ=ト=フを味わっていました。
「肉と野菜の組み合わせが絶妙の味を作り出していておいしいですね。それに、野菜が煮崩れしていないのもいいです」
ジャガイモだけは別のお皿で出てきます。煮崩れしないように先にお鍋から引き上げるのかもしれません。
******** フランス人のつぶやき *******
「今日、スーパーで、9才になる息子が蹴飛ばしたカートが野菜売り場に突っ込んでしまうという大惨事に。地方紙に掲載されたほどですからねえ......」
VDM (Vie de merde)より
タグ:ポトフ フランスを代表する料理
2011-10-28 20:00
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コメント(4)
crotte さん、おはようございます。
煮込み料理に使う牛肉は、テンダーロイン (フィレ)、ロース (サーロイン)などの高級部位ではなく、スネ、ネック、カタなどのスソモノ (低級部位)でいいというのは、牛肉を長年にわたり食べてきた経験の積み重ねがあるからですね。すなわち、牛1頭を余すところなく使い切るための知恵ですね。トウモロコシよりもビーツを給餌すると、ミネラル分を含んだ霜降り肉になるというのは、根菜であるビーツにミネラルが多く含まれているということでしょうね。
by wattana (2011-10-30 07:41)
wattanaさん、おはようございます。
低級部位の方が煮込みに合うんでしょうね。ポトフは庶民の料理ですし。牛もほとんど全部使ってしまいますね。あれだけ手間ひまかけて育てた牛ですから、それくらい使い切らないといけないかなとも思います。
ビーツを食べる牛は初めて見ました。おっしゃるとおり根菜なのでやはりミネラルが多いのかもしれません。
by carotte (2011-10-30 10:42)
料理の価値は材料の値段だけじゃない、というのがよ~くわかりました。むしろこれこそが最高の贅沢と思えるようなポトフ!ちなみに、煮込む際の玉ねぎに刺さっていたのは何なのでしょうか?
by opas10 (2011-10-30 12:23)
opas10さん
玉ねぎにささっていたのはクローブの実です。粉にしたものもありますが、こういう煮込みには乾燥させた実をよく使います。ポトフの場合、ネギ、玉ねぎ、クローブ、タイム、ローリエを入れておくと、それなりのおいしい味になります。
by carotte (2011-10-30 20:21)