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運河を巡る旅 その2 〜ガロンヌ運河後編〜 [ミディ運河]

 運河の流れに逆らいながら自転車の旅は続きます。

 

 本日は、前回の終点アジャン(Agen)から40〜50キロ先にあるモワサック(Moissac)(下記地図の緑の点)から始まります。

 

 世界遺産に登録されているフランスのサンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路。

 

 モワサックはこの巡礼路に含まれています。

Paris_deuxcanal.jpg

より大きな地図で 運河を巡る旅 を表示
 

 下記ウィンドウのをクリックして番組をご覧下さい。(フランスのTV局TF1で2010年8月17日に放送)(▸をクリックしても該当の映像が出てこない場合や、直接TF1のサイトでご覧になりたい方は→こちら


 

 町の西北部にあるのがサン=ピエール修道院。修道院の建物と回廊が世界遺産です。

 

 建築が始まったのは7世紀、改築や増築などを含めてすべての建築が終わったのが15世紀。

 

 教会の入り口上部のタンパンは1110〜1130年に作られました。ヨハネの黙示録を元に彫刻が施されています。回廊は1100年に作られました。

 

 フランス革命で修道院としての役割に終止符が打たれ、国の財産として売却された後、1847年に文化財に指定されますが、時すでに遅し。

 

 ボルドーーセット間の鉄道が修道院の真ん中を走ることになってしまいました。

 

 航空写真でその様子がはっきりと分かります。

 

 この時、取り壊しを免れたのが現在残っている建物です。

 

 何十キロも自転車を走らせて来たサイクリストたちにとっては静かな休息の時間がすごせる貴重な場所です。

 

 「スポーツをしながら文化も学べてとても良いですよ」

 

 ユーリさんとフリッツさんはベルギー人。

 

 ボルドーを出発してすでに10日。これからさらに40キロを走る予定です。

 

 エアマットレス、寝袋、キャンプ用コンロなどを荷台に載せて出発して行きました。

 

 話は少し横道にそれますが、モワサックは食べるブドウの産地としても知られています。

 

 シャスラ=ドゥ=モワサック(Chasselas de Moissac)というラベルのAOC付きぶどうは、中世の頃にこの地で栽培が始まりました。

 

 さきほどのサン=ピエール修道院の修道士が敷地内で栽培し、王様も気に入るほどの評判になったのだそうです。

 

 アジャンでガロンヌ川にかかる橋を渡り、モワサックへと続いて来たガロンヌ運河は、今度はタルヌ川にかかる橋を渡ります。

 

 Point-canal du Cacorと呼ばれるこの橋は、1846年に架けられた、フランスで最も大きな運河の橋の一つです。

 

 トゥルーズ製のレンガとケルシー産の白い石。15個のアーチを持つその姿は絵になります。(美しい写真は→こちら

 

 運河沿いの道を走るサイクリストの楽しみ方は様々。

 

 自転車にまたがったまま釣りを楽しむ人もいますが、糸が枝に絡まってしまいました。

 

 車を気にせずのんびりペダルを漕いでいると、ペニッシュと呼ばれる細長いボートが、水門を使いながら前進して行く様子を見物することができます。

 

 モワサックから25キロほど進んだところで番組の初めに登場した二人のベルギー人に再会しました。

 

 なにやらモワサックにはおいしい料理を出してくれるお店があるらしい。

 

 れんが造りのストライプ模様の教会と鉄骨作りの見事な市場はグリゾール(Grisolles)村のもの(上記地図の黄色い家)村のお宝ですね。

 

 運河から1キロほど離れた所にキャンプ場があります。

 

 自転車の旅は、ガイドブックに書いてあるより厳しいらしい。

 

 あのベルギー人の二人もここで宿泊のようです。

 

 モワサックから64キロを走破すればフランス第6番目の都市トゥルーズに到着です。

 

 ここからはいよいよミディ運河が始まります。

 

 

 

******** フランス人のつぶやき *******

 

「今日、大事な書類をもらうために自転車で16キロを走り友人の家まで行った。友人と一杯やって、あれこれ話し合った後、また自転車で帰宅した。気がつくと書類をもらうのを忘れていた」

 

VDM (Vie de merde)より



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コメント 4

cycloo

carotteさん、
不思議なタイミングでした。再来年2014年にローヌ源流(スイス・フルカ峠)からローヌ河口→地中海→セト(瀬戸と覚えています)→canal du midi →ボルドーまでを走れないか、只今検討中のところでした(ローヌ河のフランス部分にサイクリング・ロードがなさそうなのが問題です)。
ご存じかもしれませんが、canal du midi は、「家なき子」のレミが、そうとは知らずに、「白鳥号」に乗って運河を旅する、実の母ミリガン婦人と弟に出会う場所です。たまたま最近それを知って、「家なき子」を今読んでいるところです。この物語は、ある意味で、「フランス運河の旅」とでもいうような話で、出てくるいろんな運河に感動しながら読んでいます。創元社の上下二冊が、素敵な地図がたくさん入っていてお勧めです。
「食べるブドウ」という表現が面白いですね。
「つぶやき」のように、私も今年ヌヴェールの聖女ベルナデットの遺体を見るためにその教会に入って、いろいろあった後、見るのを忘れてきました。
by cycloo (2012-03-03 17:59) 

carotte

cyclooさん、コメントありがとうございます。
canal du midiのプラタナスを全部切り倒すという信じられないニュースが入って来たので、切り倒される前に映像を紹介しておこうと思いこのシリーズを始めました。cyclooさんのブログにお邪魔して、すでにツーリングされているようだったらリンクできないかなと壮大(?)な計画を立てていたのですがまだでした。これからなんですね。大西洋と地中海をむすぶこのルートは魅力的ですね。行きたくなってしまいます
これがあの「家なき子」の舞台の一つ、しかもクライマックスの舞台だったとは気づきませんでした。小さい頃に読んだきりで記憶がおぼろげです。今読むとまた違った角度から楽しめそうですね。このTF1のシリーズは映像も内容も地味だなと思い、ブログに取り上げるのをやめていましたが、書いてるうちにすごく楽しくなって来てしまいました。。夏のバカンスの時期に走っている人があれくらいしかいないなのがまたいいです。
by carotte (2012-03-04 09:53) 

opas10

サン・ピエールの回廊、柱の意匠が素晴らしいです。自分がここに行ったらたぶん一日居ついてしまいそうです。そして、自転車に乗りながら釣りをしていた人、本当の木の枝に釣り糸を絡ませちゃってましたね、漫画みたいに(笑)
by opas10 (2012-03-04 16:58) 

carotte

opas10さん
あの回廊、鉄道会社に壊されなくて本当に良かったです。キレイですよね。癒しの空間でもあります。
自転車に乗ったまま釣りというのもちょっとどうなかって感じです。
by carotte (2012-03-04 21:49) 

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