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2つのモナリザ [フランスのお宝]

 本題に入る前に、フランスの大統領選の話を少々。

 

 立候補者は16人から10人に絞られてきました。

 

 この数週間、各立候補者が500人の推薦者の署名を集められるか?というのがずっと話題になっていました。

 

 いったいなんだろうと思って調べてみると、各候補者は、第一回目の投票日から六つ前の金曜日までに、この推薦者500人以上の署名をConseil constitutionnel(憲法院)に提出しなくてはならない決まりになっているそうです。

 

 今年はそれが先週の金曜日3月16日でした。

 

 推薦者は一般市民ではなく代議士や市町村長が対象です。

 

 極右としてあまり評判のよくないFront National党(略してFN)の党首で候補者のマリーヌ・ル・ペンは、500人の署名を取り付けるのにだいぶ苦労していたようです。

 

 一般の支持率調査では、サルコジやオランドの次に支持率の高いル・ペンですが、匿名でなら集められる署名が、記名となると難しいらしい。

 

 ということは、国家レベルであれ地方レベルであれ、政治家がFN支持の意向を公に知られてしまうと某かのリスクがあると感じていることになりそうです。

 

 ともあれ、ル・ペンはこの500人のハードルをクリアして本選に進むことになったようです。

 

 正式には本日19日に憲法院が立候補者リストを発表します。そして、それぞれの推薦者リストも公開されます。

 

 さて、お待たせしました。本日の話題へとまいりましょう。

 

 あのモナリザに、もう一つのモナリザがあったことをご存知でしょうか?

 

 もう一つのモナリザはスペインのプラド美術館にひっそりと展示されていました。

Spain_Madrid02.jpg

 

 下記ウィンドウのをクリックして番組をご覧下さい。(フランスのTV局TF1で2012年3月18日に放送)(▸をクリックしても該当の映像が出てこない場合や、直接TF1のサイトでご覧になりたい方は→こちら


 

 19世紀頃からプラド美術館の片隅で微笑んでいたモナリザ。いくつもある複製画の一つと考えられていました。

 

 ところが、今年、単なる複製画ではないことが分かったのです。

 

 「赤外線やレントゲン撮影によって、謎が明らかになりました」と16世紀の美術に詳しい専門家。

 

 発見のきっかけは修復作業でした。

 

 少しずつ汚れを落とす作業を始めたところ、真っ黒だった背景にオリジナルとそっくりの風景が浮かび上がって来たのです。

 

Copy of La Gioconda - Leonardo da Vinci's apprentice

 修復前

 

 それだけではなく、専門家によれば、オリジナルとそっくりの修正箇所もあるとか。

 

 「つまり、これは後世に描かれた複製画ではなく、オリジナルと同時に描かれたものだということです。おそらく、ダビンチの弟子の一人が描いたものでしょう」とさきほどの専門家。

 

 この弟子とは、SalaiかMelziと考えられているそうです。

 

 この発見以来、美術館の片隅から表舞台へと移動させられたモナリザは、見学者の注目を集めています。

 

 そして、来週26日からは、ルーブル美術館では史上初めて、二つのモナリザが同じ部屋に展示されることになっているそうです。

 

Mona Lisa, by Leonardo da Vinci, from C2RMF retouched Gioconda (copia del Museo del Prado restaurada)

    オリジナル        プラド美術館所蔵(修復後)

 

 

 

******** フランス人のつぶやき *******

 

「今日、叔父が、私の双子の妹のために、誕生日のサプライズパーティを開くのを手伝って欲しいと言う。どうも叔父は『双子』の意味が分かっていないようだ」

 

VDM (Vie de merde)より



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コメント 8

島酔潜人

プラドにこんな絵があったなんて... プラドの図録を見てみましたが紹介されていなかったので、あまり注目されていない絵だったんですね。
この発見の話は、ワクワクしますね。
解析技術の進歩で、まだまだこういった新しい発見がありそうですね。
by 島酔潜人 (2012-03-19 21:31) 

carotte

島酔潜人さん
私も知りませんでした。同時に描かれたとなると、ダヴィンチが描いているそばで、弟子がリアルタイムでその複製を描いていたことになりますねえ。その場面を思わず想像してしまいます。
by carotte (2012-03-20 08:41) 

t-toshi

フランス大統領選の仕組み、分かりました。モナリザがマドリードにあったんですね。世の中不思議に満ちています。情報ありがとうございました。
by t-toshi (2012-03-20 09:38) 

orange

表情としては2つめの方がなにやら親しみを覚えるのは個人的な好みでしょうか?

by orange (2012-03-20 09:51) 

carotte

t-toshiさん
今まであまり大統領選の仕組みについて考えたことがなかったのですが、最近になってこんな風になっていたのが分かって、ちょっと面白いなと思ってしまいました。
そうなんですよ、モナリザがスペインにあったようなのですよ。500年もたってから気がつくなんて不思議ですね。
by carotte (2012-03-20 21:38) 

carotte

orangeさん
いや、私も2つ目の方が親しみを覚えます。オリジナルは後光がさしているというか、カリスマ性があって、ちょっと近寄り難いですね。その分、微笑みも謎に満ち満ちていますけど。
by carotte (2012-03-20 21:41) 

opas10

お~これはまた関心をそそられるお話!美術史のミステリーですね!!比べてみると、オリジナルの方がややソフトフォーカスかかっていて、謎めいた感じが出ていますね~。

by opas10 (2012-03-25 17:13) 

carotte

opas10さん
それぞれの写真はwikipediaから借用してきたものですが、同じ500年の時を経て来た作品とは思えないくらい、彩度が違ってますね。本物もこんなに違ってるのかどうか.....。
by carotte (2012-03-25 23:33) 

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