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祈りの旅 その1 アルザス [教会]

 今週は、キリストの受難と復活という、キリスト教徒にとっては大きな意味を持つ一週間でした。

 

 そこで、今日から三回に渡って、フランスの巡礼地を紹介します。

 

 第一回目は、アルザス地方のモン・サン=トディール修道院(正式にはabbaye de Hohenbourg)を訪ねます(下記地図の青印)。

Paris_MontStOdile.jpg

より大きな地図で 祈りの旅 を表示
 

 下記ウィンドウのをクリックして番組をご覧下さい。(フランスのTV局TF1で2012年4月4日に放送)(▸をクリックしても該当の映像が出てこない場合や、直接TF1のサイトでご覧になりたい方は→こちら

 


 修道院は、標高764メートルの山モン・サン=トディールの頂上にあります。

 

 建設されたのは西暦680年頃。

 

 祈りを捧げていたのは熱心な信者さんたち。一年に一度、一週間ここに滞在して毎日2〜3回ほどこうして祈ります。

 

 祭壇に祭られているのは、この修道院を作った聖オディール。アルザス地方の守護聖人(女性)です。

 

 伝説によれば、聖オディールは、アルザス公爵の娘として生まれますが、盲目で生まれた娘を恥じ、また男子の誕生を望んでいた父親に命を奪われそうになります。

 

 しかし、母親が秘密裏に乳母に我が子を託し、12才になった頃、修道院へ入れられます。そして、洗礼を受けた瞬間、目が見えるようになります。

 

 この時、「光の子」という意味を持つオディールという名前が付けられました。

 

 このことを初めて知った父親は一度は怒りを爆発させますが、その後、後悔し、娘に城を与えます。そして、この城が修道院になったと言われています。

 

 ここは信者が祈りを捧げる場ですが、一大観光地でもあります。

 

 眼下にはアルザス地方の風景が一望でき、美しい朝日を見ることもできます。このロケーションならツーリストが集まるのもうなずけます。

 

 というわけで、ここには食事の出る宿泊施設もあります。

 

 パトリックさんはこの施設の総責任者。

 

 「一つの企業として、企業の原理に従い運営し収益を上げるようにしなければなりません。と同時に、聖職者の大きな責任としてミサも行います」

 

 どうやらこの方、司祭であり、会社の社長さんであり、レストラン及びホテル経営者でもあるというマルチな役割を担っていらっしゃるようです。

 

 この高台には、毎年、10万人ほどが訪れると言います。たいていは歩いてここまで上って来るそうですが、最近はサイクリストも多いとか。

 

 「ここに来るたびに素晴らしい眺めを楽しむことができます。もちろん、自転車でここまで来るのは大変ですよ。でも、ここまで来ると心地いいんです」とサイクリスト。

 

 「雰囲気がいいですね。それに、ここにはパワーがあります」ともう一人のサイクリスト。

 

 お祈りを目的に来る人も入れば、充電するためにやってくる人もいます。

 

 「静かで穏やかで、自分自身を受け入れることができます」と女性。

 

 ミサの時間になると責任者のパトリックさんは僧侶の服装に着替えます。

 

 ミサには信者もいれば単なる観光客もいます。

 

 「聖オディールはいつもここにいて皆のことを見守っていますよ」とパトリックさん。

 

 次回は、ヴェズレーです。 

 

 

******** フランス人のつぶやき *******

 

 

「今日、もう20歳になったんだから、復活祭のお祝いに庭でチョコレート探しをするのはやめて、お金をくれと母に言ったら、今度は庭で小銭探しになってしまった」

 

VDM (Vie de merde)より



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コメント 4

yuzuhane

暗い堂内にはろうそくの炎が揺らめいて、お話される方も静かに心をこめた感じで厳かな感じがしました。本当に眺めの良い高いところにありますね。自転車で登るのは、大変でしょう。最後のミサは観光客も参加していたんですね。より天上近いこの場所は祈りの場所にはふさわしいですね。聖オディールのいわれは悲しい部分もありますが・・・。
by yuzuhane (2012-04-08 09:39) 

t-toshi

聖地になっているところは、何がしかの奇跡やエピーソードが秘められていますね。ここには人間のサガの哀しさと、クリスト的な奇跡が混在した佳境なんですね。ありがとうございました。

by t-toshi (2012-04-08 11:16) 

carotte

yuzuhaneさん
ここはどうもスピリチュアルな場所のようです。冒頭に登場した熱心な信者の中に、夜中になると聖オディールと話をすることができると言っている方がいました。こういうのは私のようなものにはよく分かりませんが、全体の雰囲気からして、なにか特別な感じがするんじゃないでしょうか。現代の言い方をすれば「パワースポット」。なんとなくそれに導かれて観光客もやってきているような......。
by carotte (2012-04-08 22:19) 

carotte

t-toshiさん
そうですね。こういう伝説というのはいかにもキリスト教的ですね。奇跡と言えば、ここには、目が見えるようになる水が湧き出ているという場所もあるそうです。
by carotte (2012-04-08 22:24) 

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