知られざるパリ その3 [パリ]
シリーズの三回目は、モンパルナスにある袋小路を訪ねます。
1920年代、文化人や芸術家たちでにぎわったモンパルナスの記憶をとどめた場所です。(下記地図の水色印)
下記ウィンドウの▸をクリックして番組をご覧下さい。(フランスのTV局TF1で2012年4月5日に放送)(▸をクリックしても該当の映像が出てこない場合や、直接TF1のサイトでご覧になりたい方は→こちら)
近代的な駅舎にモンパルナスタワー。
ここから200メートルほどのところにChemin du Montparnasseという袋小路があり、芸術家たちのアトリエが集まっています。
18世紀には宿場だったこの場所は、1901年に芸術家のアトリエに作り替えられます。
1900年のパリ万博の資材をリユースして作られたそうです。
現在もここをアトリエとして使っているジョルジュ・ヴィスコンティさん(92才)。
「ここには芸術品を作る職人がいたんだ。皆、明るくて面白かったよ」
50年に渡ってここで制作を続けている画家はジョルジュさんが最後の一人になってしまいました。
「アトリエがあるというのは、自分の仕事ができるということです。多少出来が悪くても自分の自由にできる場所があるというのが大事です」とジョルジュさん。
1915年、第一次世界大戦中、ここにアトリエを構えていたロシアの女性画家マリー・ヴァシリエフ(Marie Vassilieff)は、兵隊や貧乏な画家たちのためにアトリエを食堂としてオープンしました。
モディリアーニ、ピカソ、ブラック、レジェ、マチス、コクトーなどがやってきたそうです。
芸術家のたまり場みたいになっていたんでしょうね。
「芸術家たちはここへやってきて、デッサンしたり、写真を撮ったり、歌ったり踊ったり、語り合ったりして楽しんでいました」とモンパルナス美術館の館長さん。
このアトリエの集まった建物の中に、この美術館があります。1998年に開館しました。ここへ来れば、20世紀初頭のこのあたりのことがよく分かるようです。
ジョルジュさんの話によると、パリ市はここに団地を作ろうと目論んでいたこともあったようです。
中の様子を見ると、なんとなく、高層マンションが遠くに見える佃島の路地裏を思い出してしまいました。
ここには29室のアトリエがあるそうです。
******** フランス人のつぶやき *******
「今日、パリの地下鉄にもパリジャンにも不慣れな私は、駅で乗降客の波に飲まれてしまいました。どなたか、モンパルナスの駅で赤いバレリーナシューズをみかけなかったでしょうか?サイズは41です」
VDM (Vie de merde)より
carotte さん、おはようございます。
モンパルナス駅から近いところに、こんな袋小路があるとは、文字通り 「知られざるパリ」ですね。ストリートビューを見ましたが、袋小路まで入りこんでいないですね。
by wattana (2012-04-15 08:01)
wattanaさん、おはようございます。
ここはストリートビューまではできないですね。ちょうど市の立つ場所から見たモンパルナスタワーの裏側にあるようです。
ジョルジュさんは92才です。隣のキーを叩いてしまったようです。修正しました。
by carotte (2012-04-15 09:00)
印象にすぎないかもしれませんが、フランスの景色はどこか江戸時代の日本の風景に共通点があるような気がします。そのため、このビデオの景色も見ていると、ほっとする空間があちこちにあります。
by アヨアン・イゴカー (2012-04-15 17:23)
ジョルジュさん、あれで92才なんですか!歩き方はシャキっとしてるし、身のこなしも軽快だし、恐るべしパリの芸術家。隙あらば再開発の美名のもとで袋小路を無くしてきた東京に比べると、欧州の方がこうした街ののりしろみたいな部分をちゃんと残してきていますよね。パリもここを残してほしいものです。
by opas10 (2012-04-15 21:42)
アヨアン・イゴカーさん
日本はその時代時代のいろんな事情で町の風景が変わって行きますが、むこうはわりにそのまま残っていることが多いような気がします。冷たい石の建物なのに、どことなく人間くささが残っていますね。
by carotte (2012-04-16 09:07)
opas10さん
あと8年で100才ですからお元気ですよねえ。パリ市があそこに団地を作ろうとしたという話をしているときは、自分の頭をさして「(パリ市は)頭がどうにかしてる!」と言いたげでした。ここはそれなりの歴史をもった建物のようですから、もう壊せないかもしれないですね。
by carotte (2012-04-16 09:13)
14区に娘がかつて住んでいたことがあるので、訪ねて行った際にモンパルナスの周辺は、ヴァヴァンの辻のカフェや、ロダンのお弟子さんの美術館とかヘミングウェーが通り抜けたパン屋に通じる道、ラスパイユの勝手にしやがれの最後の場面等結構歩き回ったのですが、ここは知らなかったです。団地にならなくてよかったと思える素敵な一角ですね。
by yuzuhane (2012-04-16 12:21)
yuzuhaneさん
私もかつて14区に住んでいましたが、ここは知りませんでした。ちょうど「勝手にしやがれ」の最後の場面の通りに住んでしたのですよ。でも映画に使われていたというのは後から知りました。あの辺りには藤田が住んでいた部屋もあったみたいです。確かに窓が大きく間アトリエらしきアパートがあちこちにありました。このChemin du Montparnasseは長屋風で面白いですね。
by carotte (2012-04-17 07:55)