ゲルニカは後期高齢者 [スペイン]
マドリードのソフィア王妃芸術センターに収蔵・展示されているピカソ作ゲルニカ。
今年、制作から75年目を迎えます。だいぶご高齢です。
そこで、この度、念入りな健康診断が行われています。

下記ウィンドウの▸をクリックして番組をご覧下さい。(フランスのTV局TF1で2012年4月24日に放送)(▸をクリックしても該当の映像が出てこない場合や、直接TF1のサイトでご覧になりたい方は→こちら)(番組の冒頭に別の話題の短い映像が入っています)
この日は火曜日の休館日。作品の前には特殊なカメラが設置されていました。
「まずは普通の映像を撮影します。その後、赤外線で撮影します」
ゲルニカの状態を細かく調べ上げるために特別に設置されたカメラには、Pavito(七面鳥)というニックネームがつけられています。
この巨大な作品を、なんと1平方センチ毎に撮影していくそうです。全部を撮影し終わるのには相当の時間がかかりそう。
とは言っても、これまでの撮影で、ある程度、実態が分かってきました。
割れ目や絵の具がはがれている部分が何カ所もあり、かなり深刻な状態だそうです。
内戦中のスペインで、1937年、バスク州にある町ゲルニカが空爆を受けたことを知ったピカソが、急きょ描いたのがこの作品でした。
あまりにも有名なこの作品、これまでに50回もの旅を経験しているそうです。
「輸送される際に、どうやら作品が裏表逆に巻かれたことがあるらしく、それが大きなダメージとなったようです」と修復の責任者の方。
作品は細部に至るまで調べるために3Dで撮影されました。
そのため、番組に登場したように作品を立体で再現するという、これまでにない映像の制作が可能になりました。
ピカソの頭の中には、こんなイメージがあったのかもしれませんね。
撮影は6月末に終了し、映像は80,000枚以上にも及ぶ予定だそうです。
80,000ピースのジグソーパズルみたいな感じですね。
尚、番組の冒頭に登場した幕もピカソの作品です。
1917年にセルゲイ・ディアギレフ率いるバレエ・リュスが、パリのシャトレ座でバレエ「パラード」を初演した時に使われたもので、フランス東北部の都市メッスのポンピドゥーセンターで5月26日から公開されます。
映像はその準備の様子でした。
幕に興味のあるかたは→こちらで全体が見られます。
******** フランス人のつぶやき *******
「今日、ルームメイトのスペイン人が帰国したのだが、アパートにあったトイレットペーパーを一つ残らず持ち帰ってしまった。スペインの経済危機はほんものらしい」
VDM (Vie de merde)より
子供の頃デパートのレストランに大きな『ゲルニカ』の複製画があり、ずっと印象に残っていたので、本物を見た時の感動は大きかったです。
幕の絵も描いていたんですね。一連のサーカスの絵と同じ時代なのかな?
by 島酔潜人 (2012-04-27 09:33)
技術の進歩で古い芸術作品の管理の仕方も変わりましたね。
そして新しい発見もあったりして…美術史の1ページが書き換えられてしまうこともありますから…
ゲルニカ。空爆された建物の様子が痛々しいです。
by orange (2012-04-27 11:48)
島酔潜人さん
私はどうしてゲルニカだけ白黒写真?と図録を見ながらずっと思っていました。幕はサーカスの絵の少し後の時代でしょうか?
by carotte (2012-04-28 09:32)
orangeさん
ゲルニカの立体映像はかなり大変だったんじゃないかなと思っています。なにしろ、異次元の画像が同時に存在するのがピカソの絵ですよね。キレイな立体は作れるものなのかなあ〜なんて思ってしまいました。絵の状態を調べるのにもこれだけの時間がかかるとなると、修復作業は手作業ですから、さらに時間がかかりそうです。
by carotte (2012-04-28 09:36)
カメラを少しづつ動かして撮影して、そのデータを組み合わせて・・・確かに気の遠くなるような作業です。でも、あの作業をもしアメリカがやったら、もう少し大きなブロックで撮影して、人工衛星からの写真を高解像度にする技術であっさり短時間でやっちゃいそうな気がします(笑)。でもその後の物理的な修復となるとやはりスペインの方が上手そうです(笑)。
by opas10 (2012-04-29 17:52)
opas10さん
この手の科学技術の先進国はアメリカなんでしょうけど、アメリカ人が絵画の修復って、なんとなく想像できませんね ^^
よくよく考えると、一枚の絵にこれだけの時間と労力を費やすというのはかなり異常な感じもしてきます。^^;
by carotte (2012-04-30 00:42)