知られざるエリゼ宮 [パリ]
昨日のパン屋さん、バゲットの納入は滞りなくすませたのでしょうか?
特別な人しか入れない場所に入るのは変な気分だと言っていましたが、そのエリゼ宮とはどのようなところなのでしょうか?
少しだけ中をのぞかせてもらいましょう。
下記ウィンドウの▸をクリックして番組をご覧下さい。(フランスのTV局TF1で2012年5月13日に放送)(▸をクリックしても該当の映像が出てこない場合や、直接TF1のサイトでご覧になりたい方は→こちら)
フォブール・サン=トノレ通り55番地。
衛兵の見守る中、鉄の門を開けてもらって中に入ると中庭が広がっています。
まっすぐ歩いて玄関ホールへ。
1804年に作られたと言う左手の赤いカーペットの階段を上がると、宮殿の心臓部とも言える大統領執務室があります。
歴代の大統領がここで重要な決断を下しました。別名金色の間(SALON DORÉ)。
「何度となくここに足を踏み入れましたが、そのたびに魔法にかけられたような感覚に襲われます。ここがどういうところなのかをひしひしと感じます」とシラク大統領時代に大統領府官房長官を務めていた方。
金色の間は官邸の二階にあります。これだけキラキラしていたら、平常心ではいられなさそう。
一階の左端にあるのがミュラの間(SALON MURAT)。ここでは、毎週、閣僚の会議が行われます。
そしてレセプション用の大ホール。
テーブルセッティングにメジャーを使うほどのこだわり。
この日は200人ほどの招待客を呼んでの夕食会があります。テーブルの長さは18メートルもあるとか。
ナイフやフォークなどの食器にはRF(Réblique française)(フランス共和国)の文字が彫ってあります。
「ここは、外からのお客さまをもてなし、フランスという国について良いイメージを与え、日々の執務も行えるように作られた建物なのです」と官邸の予算にくわしい社会党の代議士の方。
そして地下には、ジスカール・デスタンが作らせたと言う核兵器用の司令室PC Jupitorがあるそうです。1979年の映像でした。
さて、右側の建物の一番端にある銀の間(SALON D'ARGENT)では、前代未聞の出来事が起きていました。
1899年、当時の大統領フェリックス・フォール(Félix Faure)は、ここに愛人を呼び寄せた直後に、脳梗塞を起こし帰らぬ人となりました。
取り乱した愛人からの呼び鈴にかけつけた召使いが目にしたのは、ひん死の状態で長椅子に横たわる大統領の姿と、乱れたドレスを直していた愛人の姿だったそうです。
それ以来、愛人の腕の中で亡くなった大統領として知られることになってしまいました。
現在、この建物は大統領家族の住まいとして使われているそうです。
サルコジさんの奥様カルラさんが改装したという青の間(SALON BLEU)からは、直接、美しい中庭に出ることができます。
映像はTF1がカルラさんとの独占インタビューをした時のもの。
「素晴らしい宮殿ですから、ちょっとお客さまになったような気になる時もありますが、私たちは子供たちと一緒に気持ちよく暮らしていますよ」
エリゼ宮の庭は全部で2ヘクタールほど。噴水や樹齢100年というプラタナスがありますが、全体に派手な装飾はありません。
ここで働く人たちの数は900人ほど。維持費は年間11,000万ユーロ(110億円?)もかかるそうです。因にホワイトハウスの三倍。
******** フランス人のつぶやき *******
「今日、パーティにでかけようとしていると、母が言った。『夜中の12時までには帰ってくるのよ』私は叫んだ。『シンデレラみたい!』母は、私を頭の上からつまさきまで眺めると言った。『あんた、言い過ぎよ』」
VDM (Vie de merde)より
衛兵の方とともにエリゼ宮に吸い込まれて入った気分の始まりでした。中は豪華なものですね。とくにレセプション用ホールでのテーブルの支度の場面が興味深かったです。引き出しに刻印のある食器が整然と並んでいたり壮観でした。庭もあるし敷地も広くてまさに宮殿ですね。ここにかかる費用ももすごいというのはなんだか納得です。いつだか日にちは忘れましたが、パリのこうした場所が一般市民に公開になる日があると聞きましたが、市民はいちど入ってみたいでしょうね。
by yuzuhane (2012-05-16 11:40)
yuzuhaneさん
一般公開される日があるみたいですね。長〜い列が出来るとか。内装の豪華さにあらためてすごいなと思いました。ある意味、外交の窓口みたいな場所でもあるんでしょうね。こういうのを見ていると、わが方の首相官邸はどのようになっているんだろうと興味がわいてきました。
by carotte (2012-05-16 18:24)
あの金色の間は、冷静な判断を下すにはちょと不向きのような(笑)。でも気難しい相手を説得するにはよさそうです(笑)。テーブルセッティングにメジャーを使うのは、それほど珍しいことではないようです。あの大雑把なアメリカの、しかも大型ホテルのバンケットでさえ(笑)、テーブルセッティングの際にはメジャーや間隔を決めるボードみたいなものを使っているのを見かけたことがあります。
by opas10 (2012-05-20 12:43)
opas10さん
むむ、アメリカでもそうなのですね。やはりたくさんの人を招待して行われる会食となると、微妙な違いが面倒なことになってしまうのかもしれません。
金色にはただならぬ力があります。あの部屋でくらっとならない人はいないかもしれません。相手をくらっとさせといて一気に押してイエスと言わせるという作戦かも。
by carotte (2012-05-21 19:39)