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コー地方の小さな旅 その2 [ノルマンディー地方]

 シリーズの二回目は、前回のヴル=レ=ローズ(Veules-les-Roses)(下記地図の青印)を海岸線沿いに40キロほど南西へ移動した町フェカン(Fécamp)(下記地図の赤印)。


 ここには宮殿のようなリキュールの製造所があります。

Paris_Paysdecaux.jpg

より大きな地図で コー地方 を表示
 

 下記ウィンドウのをクリックして番組をご覧下さい。(フランスのTV局TF1で2012年5月23日に放送)(▸をクリックしても該当の映像が出てこない場合や、直接TF1のサイトでご覧になりたい方は→こちら



 グラスの中で揺れていたのがここで作られているリキュール。


 ベネディクティーヌ(Bénédictine)という名前がつけられています。


 この液体、ゴージャズな建物Palais Bénédictineの中で作られています。


 言ってみればネオ・ゴシック&ネオ・ルネッサンス様式のこの建物は、19世紀末、ベネディクティーヌの製造・販売で一財産を築いたアレクサンドル・ル・グランによって建てられました。


 ベネディクティーヌのルーツは、16世紀初頭にフェカンの修道院の僧侶が作った薬酒にあると言われています。


 この地域に生育している薬草を使って作られたとか。


 その製造方法は時の流れとともに忘れ去られてしまいましたが、1863年、当時ワインの仲買人だったル・グランが、偶然、これを記した書物を発見します。


 この書物を元に再現されたのが現在のベネディクティーヌです。


 と女性が説明していましたが、薬酒を作ったと言われる僧侶の存在は確認されておらず、当時のフランス国王フランソワ一世が好んだという事実も確認されていないそうです。


 どうも作り話の匂いが………。ただし、修道院には薬草を使った薬の本が残っており、ル・グランはそれを使ってベネディクティーヌを製造したのではないかと考えられています。


 りっぱな“宮殿”は、ル・グランの強い希望を取り入れながら設計されたせいか、西洋の伝統建築でありながらもどことなく風変わりで架空の国の建物のような感じもします。


 現在ここは、醸造所であり博物館でもあります。


 醸造所の中は様々なハーブの香りでいっぱいです。


 150年前から使われている蒸留器の中に27種類の薬草が入れられ、できた蒸留水は4種類のアルコールに混ぜられます。


 この時は蒸留が終わり、使い終わった薬草を取り出しているところでした。約10人の作業員がここで働いています。


 「ベネディクティーヌを作る時は、バニラ、シナモンなどの香りで一杯になります」と作業員のジャン=ジャックさん。


 できたお酒は8ヶ月間かけて混合され、その後、蜂蜜やサフランがくわえられ樫の木の樽の中で熟成されます。


 すべての行程が終わってベネディクティーヌが出来るまでに2年かかります。


 使われている薬草について内容は明かされません。何が入っているかは飲んでみなければ分かりません。


 現在、毎年350万本が出荷され、そのうちの四分の三が輸出用だそうです。


 ル・グランが製造・販売を始めてすぐに、各国でこのコピー商品が出回ったそうです。その数、800種類!


 机に並べられていたのがその模造品の数々。


 男性が手に取って説明してくれているのが本物です。


 まずはビンの形状が他とは違っています。また、フェカンの許可証やフェカン修道院の院長の名前が刻印されています。


 また、広告もさかんに行われました。そして、木箱に入ったグラス付きの商品も売り出されたそうです。


 テラスでは見学者の皆さんが試飲を楽しんでいらっしゃいました。


 「香辛料が上手くアルコールに溶け合っていますね」


 「飲んだとたんに口の中に香りが広がって味わい深いです」


 ここには一度行ったことがありますが、試飲をしなかったことが返す返すも悔やまれます[もうやだ~(悲しい顔)]


 

 

  

 

******** フランス人のつぶやき *******

 

 

「今日、パーティから帰る途中、お巡りさんに酔っぱらいに間違われました。アルコールは一滴も飲んでなかったけど、ハイヒールのせいで上手く歩けなかったのです」

 

VDM (Vie de merde)より



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コメント 10

soraaane

お試しでいただく機会が、1度だけ(^^ゞ
凄い昔の話なので、おいしかった記憶だけが残っています♪
by soraaane (2012-05-31 11:46) 

orange

不老長寿を願う気持ちはいずこも同じですね。
そして今も昔も…修道院がとても重要な役割を果たしていましたね。
圧力釜からかき出される薬草の量が凄いですね。
ちょっと上のリンクをクリックしてみたくなりました^^。
by orange (2012-05-31 12:48) 

carotte

soraaaneさん
おお、試飲されたことがおありですね。
日本でも飲めるようなので、私もいつか必ず.....。^^
by carotte (2012-06-01 09:56) 

carotte

orangeさん
釜の中から出て来た薬草の湯気がすごかったです。香りも相当すごいでしょうね。お酒は百薬の長ともいいますから、薬草が入っているとなおさらですよねえ〜 ^^
by carotte (2012-06-01 09:58) 

yuzuhane

すごいお城のようなところで作られたお酒は、模造品がたくさん出回るほどのものなんですね。かきだしていた薬草は、大量でした。何が使われているんでしょうね。そのブレンドこそがカギなんでしょうね。…全然関係ないですが、最初に出てきた女性、ものすごい早口だったようですが…何を言ってるかはまるでわかりませんが、人によって話し方が違うのは感じました
by yuzuhane (2012-06-01 23:25) 

carotte

yuzuhaneさん
ちょっと成金趣味的な建物なのですよねえ。お酒になにかしら重みを持たせたかったのかもしれません。でも、そのとおりに評判になってしまいましたからすごいですね。最初に出て来た女性は、ル・グランが薬酒の作り方を発見した経緯を手短に説明していたのですが、こういう話し方の人、いますねえ〜。

by carotte (2012-06-02 09:11) 

opas10

何とも不思議な建物ですね~、いろいろな様式が混在していてちょと混乱してしまいました(笑)。薬用のリキュール、フランスの養命酒ってところでしょうか。ニセモノがいっぱい出回るということは、それだけブランドが強いということで、大したものです。でも試飲をされなかったcarotteさま(笑)。
by opas10 (2012-06-02 15:20) 

carotte

opasさん
ゴシックか?と思うとそれだけじゃなさそうで、変わった建物ですよね。実物はもっと強烈でキラキラしていたような印象です。薬草が入っていると言われるとどうしても養命酒の味が記憶の底から甦ってきますね。 ^^
お客さんが試飲しているのを見ていると後悔の念が........。
by carotte (2012-06-02 21:55) 

wattana

carotte さん、おはようございます。
ベネディクティンというリキュールがあること、初めて知りました。Bénédictine 社のホームページを見ていたら、Bacardi Global Brands Limited によって管理されているとなっていました。ということは、Bénédictine 社は、Barcardi Group の会社ということなでしょうね。
by wattana (2012-06-03 07:15) 

carotte

wattanaさん、おはようございます。
どうもそのようですよ。バカルディでwikipediaにも出てますね。ラム酒が主力のスピリットの会社のようです。
サイトでカクテルの作り方がいくつか紹介されていて、美味しそうに見えます。
by carotte (2012-06-03 09:26) 

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