フランスの美しい通り その1 [ミディ=ピレネー地方]
今日から、フランスの各地にある“通り”を一つずつ訪ねます。
第一回目の今日は、フランス南西部の都市トゥルーズにあるトール通り(rue du Taur)。キャピトル広場とサン=セルナン聖堂をむすぶ南北に伸びる通りです。
下記ウィンドウの▸をクリックして番組をご覧下さい。(フランスのTV局TF1で2012年6月4日に放送)(▸をクリックしても該当の映像が出てこない場合や、直接TF1のサイトでご覧になりたい方は→こちら)
トール(Taur)という名前は、サン=セルナン(聖セルナン)の殉教伝説からきています。
ローマの統治下にあったトゥルーズで、西暦250年頃、福音を行っていたサン=セルナンに、ローマ人の神官たちが雄牛一頭を皇帝に献上するようにと言ってきます。(雄牛は仏語でトロー(taureau))
これを断ったサン=セルナンは雄牛に縛り付けられ、怒り狂った雄牛はそのまま町を暴れ回り、最後にロープが切れて、息絶えた聖セルナンの亡骸がこの通りに横たわっていたと言います。
それがちょうどノートル=ダム教会の前(上記地図の青印)だったそうです。
もちろん教会はこの出来事の後に建てられました。
そのファサッドは14世紀のもの。れんが造りで要塞のようにも見えます。壁に作られた鐘楼はこの地方独特の様式。
中も独特の色合いです。
「静かで、少し薄暗い教会ですが、誰もがここに入って来られるようにとの配慮からです。私はこの教会がとても好きです。なにしろ、先祖代々ここに通っていますからね」と男性。
この通りは、サンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路に含まれています。
巡礼者が訪れるのがサン=セルナン聖堂(上記地図の赤印)。さきほどの殉教者サン=セルナンを偲んで建てられました。
なにやら巡礼者が壁に作られた足型に手を置きお祈りをしているようですが、この足型、旅行者の守護聖人クリストフォロスのもの。
クリストフォロスは、イエス・キリストを背負って川を渡ったと伝えられています。
巡礼の皆さんは、ここで旅の無事を祈っていたのですね。
トール通りを彩るのは宗教だけではありません。甘いお菓子もあります。
お菓子屋さんRégals(上記地図の緑印)のおすすめは、トゥルーズ地方のお菓子Fénétra(フェネトラ)。
メレンゲにアーモンド・パウダー混ぜ、レモンとあんずの皮の砂糖漬けを加えて焼いたお菓子です。
その起源はローマ時代までさかのぼります。ローマ人がお葬式の時に作って食べたお菓子だそうです。
最後に、通りのどこかの小さな路地を入って鉄格子を開けると、昔の佇まいを残した美しい中庭に出ます。
建物は中世の頃からのもので、かつての裕福な一族(又は領主)の邸宅だったそうです。
******** フランス人のつぶやき *******
「今日、通りを歩いていると、お年寄りにこう言われた。『まあ、もうすぐお母さんね。すてきだわ。で、何ヶ月???』12ヶ月。ダイエットを始めてから」
VDM (Vie de merde)より
carotte さん、Régals のサイトを見ました。ネットショップではお菓子だけでなく、いろいろな商品を販売していますね。そこで、映像をもう一度見ました。ハッキリとはわかりませんでしたが、実店舗にもトゥルーズ人形などが陳列販売されているように見えました。観光客向けアイテムなんでしょうか?
by wattana (2012-06-09 07:30)
wattanaさん
ここはお土産屋さんと化しているのかもしれませんよ。ナレーションではあの女性のことを、この界隈で最後のパティシエールと言っているようなので、基本はお菓子屋さんということのようです。
by carotte (2012-06-09 08:31)
明るい日差しの下、渋い色合いの建物が並んでいる景色は美しいですね。最後に出てきた中庭がまた秀逸でした。何の脈略もなく小堀遠州がアタマに浮かび(笑)。
by opas10 (2012-06-10 11:36)
opas10さん
「風流」ってことですかねえ〜。
トゥルーズはまだ行ったことがないのですが、街全体がこんな感じの色合いらしく、別名「ローズ色の街」と言われているそうです。中庭は良かったですね。
by carotte (2012-06-10 21:48)