フランスの美しい通り その5 [ノルマンディー地方]
シリーズの最後は、ノルマンディ地方の都市ルーアンにあるグロ=ゾルロージュ通り(rue du Gros-Horloge)。
あの大聖堂とヴィウ=マルシェ広場をつなぐ通りです。
下記ウィンドウの▸をクリックして番組をご覧下さい。(フランスのTV局TF1で2012年6月8日に放送)(▸をクリックしても該当の映像が出てこない場合や、直接TF1のサイトでご覧になりたい方は→こちら)
通りにあるお店の方々にインタビューしてみると……
「ここは街の大通りで、歴史や伝説がいっぱいつまった通りだわ」
「大聖堂があって、大時計があって、ジャンヌ・ダルクが処刑された場所がある、そんなところはフランスにはここしかありませんよ」
通りには、木骨構造のコロンバージュ様式の建物が並んでいます。
そのほとんどが中世に作られました。変形してかしげている建物ばかり。
さきほどのお店のご主人によれば、横からちょっと押してやれば元に戻るとか。
通りの名前は、その中程にある大時計(Gros-Horloge)(上記地図の青印)から来ています。
この大時計、ルーアンの人々にとってはパリのエッフェル塔にも匹敵する存在。それに作られたのもずっと古く14世紀のことです。
ここに描かれている羊の数は40頭ほど。街は羊毛の商いで栄えたそうです。
文字盤の中央には24本の光線をはなつ太陽が描かれ、針は一本だけ。
針の先には一匹の子羊が取り付けられ、この子羊が時間を指してくれます。
この子羊、フランス語でagneau pascalと言い、モーゼが神のお告げに従って生け贄にし、その血をヘブライ人の家の扉に塗って、死の天使から子供を守ったという旧約聖書の物語に登場した子羊です。
さて、この大時計を守っているのがドミニクさん。
6世紀に渡って動き続けて来たこの時計、その構造はヨーロッパでも古いものの一つに入るそうです。
「昔は、少なくとも一日に2回は管理人がここに来て重りを動かしていました。この管理人の一人がワイヤーが切れているのを見逃したために時計が止まったことがあり、大きな責任問題になったそうです」とドミニクさん。
因に、今の大時計は電気で動いています。
グロ=ゾルロージュ通りは、フランスで最初に歩行者専用道路になった通りだそうです。1971年のことでした。
そして今回登場するお店は手芸用品店Homo Roussel。創業1864年の老舗です。(上記地図の赤印)
売っているのは、ボタン、糸、レース、針など8000種類。
レジを叩いていたのはアルベルティーヌさん91才。数十年ここで働いています。
「この界隈は昔からずっと来てますよ。通りには趣があります。買うものがなくても、向こうには大聖堂がありますから、皆ここを通ることになります」
とても91才には見えない元気なマダムでした。
モネの絵でよく知られるルーアンの大聖堂は上記地図の緑印。
ルーアンについて、文豪ヴィクトル・ユーゴは「100の鐘のある街」と言ったそうですが、実際にそれに近い数の鐘があるそうです。
******** フランス人のつぶやき *******
「今日、教室の後の席に座っていると、クラスで一番かわいい女の子が何度も後を振り返る。特に僕はイケメンでもないしと不思議に思って、ふと振り返ると、壁に時計がかかっていた」
VDM (Vie de merde)より
ルーアンの大聖堂、見にいきました。
光の変化によって違う色に染まるモネの大聖堂、改めて光と色の表現力の豊かさに感動しました。
今度行けたら、街中をじっくり散策してみたいです。
by 島酔潜人 (2012-06-11 10:02)
ちょっとご無沙汰をしてしまいました^^?
「フランスの美しい通り」駆け足でたくさん見せて頂きました。
陽光の美しい南の方もよいですが、このルーアンの街も素敵ですね。
北部フランスですが、どことなくスイスの山間の街、たとえばBern(ベルン)とかにも似た雰囲気がありますね。
う〜ん行きたいなぁ…今週末から家族で日本に居るのは私だけ…(°ω°”...
by orange (2012-06-11 13:36)
私がここを訪れた時はちょうど時計台が修理していて金属の足場がかかっており、それが残念でしたが、木骨の家が並ぶ通りから大聖堂のとがった塔が見えてとても素晴らしかったのを覚えています。ここは結構田舎の感じでしたが、素朴な感じがよかったんだなと懐かしく拝見しました。
by yuzuhane (2012-06-11 21:45)
島酔潜人さん
私が行った時は、偶然、モネの絵をそのまま大聖堂に投射するというショーをやっていて感動しました。ルーアンはあちこちに古い建物が残っていて趣のある街ですね。
by carotte (2012-06-12 11:53)
orangeさん
そうなると、orangeさんも鉄の翼に乗って脱出したいところですねえ〜。私もここ数年、日本に足止め状態。そろそろ飛びたいです。フランス北部は、やはりそれ以北の国の影響が大きくなりますね。建物を見るとそれがよく分かります。
by carotte (2012-06-12 11:58)
yuzuhaneさん
私はこの大時計の記憶がないのですよ。ひょっとしたら見ていないのかもしれません。少し傾いた木骨構造の建物が並んでいて、石畳の路地もでこぼこしていて、中世がそのまま残っているような街でした。
by carotte (2012-06-12 12:02)
ハーフティンバーの建物、確かに歪んでいました。柱の歪みは、横から押せば元に戻りますが、梁もかなり歪んでいたのは(汗)。日本ではすっかり見かけなくなった手芸用品のお店、随分繁盛していましたね。それだけ重要があるということは、フランス人はちゃんと自分で洋服の手入れをして、長く使い続けるということなのでしょうね。
by opas10 (2012-06-17 11:12)
opas10さん
柱は横から押せば本当に戻るんですね。
日本でも自分で着るものを作る人がまた増えて来たようですが、向こうの方がずっと盛んです。一度、日本でカーテンを自分で作ろうと思って生地をあちこちさがしましたが、あまり選択肢がありませんでした。いいなと思うのは全部オーダー用。自分で作る人が少ないんだと思います。
by carotte (2012-06-18 09:13)