海から少し奥まった町村 後編 [ラングドック=ルシヨン地方]
シリーズの最後は、地中海沿いのエロー県の都市モンペリエから内陸部に入った山の中の小さな村を訪ねます。
この地方独特のガリック(garrique)と呼ばれる、灌木のしげる乾燥した石灰質の台地に出来た村々です。
その魅力は、歴史を感じさせる古い石造りの家々。
下記ウィンドウの▸をクリックして番組をご覧下さい。(フランスのTV局TF1で2012年8月16日に放送)(▸をクリックしても該当の映像が出てこない場合や、直接TF1のサイトでご覧になりたい方は→こちら)
最初に登場した時計の塔があるのはピュエシャボン(Puéchabon)(上記地図の青印)。
教会や城塞を中心に円を描くように作られた村です。
この地方には30ほどの村がありますが、だいたい同じような造りになっているそうです。
そして、レ・マテル(Les Matelles)もそのような村の一つ(上記地図の赤印)。
赤いジャケットのアントワーヌさんは元特殊部隊の兵士。
「兵士として世界中をあちこち行かされたがね、疲れることここに帰って休んだもんさ。他と違って何百年という歴史のある村だ。ここにいると守られているようで安心するんだよ」
アントワーヌさんが愛してやまないというこのレ・マルテル村から数キロのところにあるのがミュルル村(Murles)(上記地図の緑印)。
「モンペリエからは15キロほどしか離れていませんが、この村はみごとに昔のままですよ」とブルーのシャツの村長さん。
2004年までこの村の通りには名前が付けられていなかったそうです。
行政機関や公共機関に、このままでは郵便物がちゃんと届けられない、住民のデータ管理もできない、とやいのやいのと言われて、やっと村人が通りに名前をつけるのを承諾したのだそうです。
村長さんのお話では、かなり頑固なお年寄りがいらっしゃったようで、抵抗し続けていたそうです。
村の人口はどのくらいかと言うと、300人足らず。
三桁になると、通りの名前なくしては、やはりちょっと不自由な事態が発生するかもしれません。
ここから北西へ40キロほどのところにあるのがサン=ジャン=ドゥ=ビュエージュ(Saint-Jean-de-Buèges)(上記地図の黄印)。
ふもとをブエージュ川が流れています。
村の眺めはまるで中世そのもの。中心に立っているお城は12世紀頃に建てられました。
塔の向こうには断崖絶壁の巨大な岩山がそびえたっています。
現役を引退したジョセフさんがお城の塔に案内してくれました。
このお城、廃墟と化していたのを、ジョセフさんを含む関係者の努力でここまでに復元されたもののようです。
「この村の歴史に愛着があるんだよ。ここには魂がある。古い石の中から魂が湧き出てくるんじゃよ」とジョゼフさんが熱く語ってくれました。
塔からの村の眺めは、時間を飛び越えて現代に甦った中世のようでした。
******** フランス人のつぶやき *******
「今日、娘が歴史について質問してきた。『昔、奴隷はどんな仕事をしていたの?』家の掃除や子供の世話や、買い物をしたり食事を作ったり、と答えていると娘が言った。『それって、ママと同じだね』」
VDM (Vie de merde)より
モンペリエには乗り換えで駅に立ち寄ったことがありますが、あそこからわずか15キロ離れたところにこんな古い風情の村があるんですね。とても素敵なところだと思いました。お年寄りの方ばかり登場されていましたが、こんな時が止まったような歴史ある村でゆっくり暮らすのは格別でしょうね。お城もいい感じで印象的な場所でした。
by yuzuhane (2012-08-22 13:42)
yuzuhaneさん
モンペリエは都会ですね。少し山側に入った村々は、特にこれといって派手なものがあるわけではないのですが、この鄙びた感じが印象に残りました。この地域は趣のある村が点在しているようです。モンペリエのベッドタウンになりかけている村もあるそうですが、この雰囲気だけは変わらないで欲しいです。
by carotte (2012-08-23 08:20)
サン=ジャン=ドゥ=ブエージュのお城からの眺めはホントに中世そのままですね。数百年も眺めが変わらないなんて、日本ではありえないです!人々の暮らしもずっと変わっていないのでしょうね。そして番組の後に流れていた衛星チャンネルのCANAL+のCM,最初は意味が分からなかったのですが、たしかにサッカーでゴールを決めた後のポーズ(笑)
by opas10 (2012-09-01 13:08)
opas10さん
あのCANAL+のCMはしつこいほどに出てくるんですよ。この頃やっと他のCMが入るようになりましたけど、一時期はこればっかりでした。しかも30秒もあるのです。>< 見ているだけで膝がすりむけそうになっちゃいます。
最後の村のお城からの眺めはすごかったですね。ああいう古い建物が残ったままのところで暮らすというのはどういう気分なのでしょうね。
by carotte (2012-09-01 23:51)