ロワール川ワイナリー巡り その5 [ブルゴーニュ地方]
シリーズの最後は、ロワール川の向こう岸にあるプイイ=シュル=ロワール(Pouilly-sur-Loire)。
地理的にはブルゴーニュ地方ですが、ワインのくくりではロワールです。
下記ウィンドウの▸をクリックして番組をご覧下さい。(フランスのTV局TF1で2012年9月14日に放送)(▸をクリックしても該当の映像が出てこない場合や、直接TF1のサイトでご覧になりたい方は→こちら)
ロワール川を行くカヌー。漕いでいる方々はツーリストではございません。
丘に広がるブドウ園でブドウを栽培しワインを作っている皆樣方。
中の一人が指差していた場所は、中世の頃にベネディクト派の修道士がワインを作っていた場所。プイイのワインはここから発展を遂げました。
ブドウ畑は全体で1200ヘクタールほど。夕方の景色も早朝の景色も美しいそうです。
そして、ブドウ畑の中を横切っているのが高速道路。かつての国道7号線です。
夏に南仏でバカンスを過ごす人たちは、必ずこの国道7号線を車で通って行ったそうです。
あのシトロエン2CVが列を作って走っていたのかもしれません。
さきほどカヌーを漕いでいたヴァレリーさんは、17ヘクタールの畑でブドウを栽培しています。
ご本人で4代目。ワイン農家では珍しく女性です。
ドメーヌ名はSerge Dagueneau & Filles。名前の最後はちゃんとFilles(娘たち)になってます。念のため、Serge Dagueneauはヴァレリーさんのお父さんです。
前回登場した、代々長男が同じ名前で継承してきたドメーヌはAlphonse Mallot & son fillsといい、最後はfils(息子)になっていました。
今回のドメーヌは、初代が女性。1889年の生まれで、二つの戦争をくぐり抜け、夫を失くしながらも2ヘクタールのブドウ園でワインを作り続けていたそうです。
その孫にあたるのがセルジュ・ダグノー(Serge Dagueneau)さん。ヴァレリーさんの父親に当たります。
ヴァレリーさんが見せてくれたブドウの木は、フィロキセラの被害の後に植えられたもの。
60年代に撮影された白黒写真には、初代レオンティーヌさん(左)、二代目(中央)、三代目(右)が写っています。
このあたりの古いワイン農家で初代のレオンティーヌさんを知らない人はいないそうです。
「女性が馬を引いて、ブドウの木の手入れをしていましたから、当時はちょっと特異な存在だったようですが、皆から尊敬されていたようです」
日本で言うなら、肝っ玉母さんみたいな感じですね。
この地方で生産されるワインには、Puilly-fumé(白)、Pouilly-sur-Loire(白)の2つのAOCがあります。
Pouilly-sur-Loireはともかくとして、最初のPuillyには何故にfumé(煙でいぶす、つまりスモークの意味)がつくのか?
このあたりの土壌は石灰石と火打石が主な成分。その火打石を叩くと煙の匂いがするからfuméになったという説もあるようですが、実際は、ブドウが熟し始めると実の回りが白く曇ったようになり、地元の人たちがfuméと呼んだことが始まりだそうです。
なるほど、やっと謎が解けました。fuméってなんだろうとずっと思っていたのです。
近くには面白い建物もあります。
かつてはお城だったのですが、観光用の塔に作り替えられ、間もなく一般に公開されることになっています。
ここからロワール川はもとより、同業者のいるサンセールの村が見えます。
プイイの人たちはこう言っているそうです。
「(2つの村は)川で分かれていても、ワインでつながっている」
******** フランス人のつぶやき *******
「今日、会社の面接試験が文字通り煙と消えた。というのも、昨晩、その会社が火事になってしまったのだ」
VDM (Vie de merde)より
ロワールでカヌーいいですねぇ~... ワインを飲みながら漕ぎたいなぁ~!
by 島酔潜人 (2012-09-19 10:46)
広大なブドウ畑に光が美しく当たっていましたね。私にはワインの名前を見てもちんぷんかんぷんですが、名前を見ヒュメがどういうことなのか考えてしまうというのは言葉がわかっていらっしゃるからこそですね。なるほどそういう意味があったのかと興味深く拝見しました。言葉がよくわかっていたら外国に旅行にいった際きっと違う感動が味わえるんだろうなと感じました。
by yuzuhane (2012-09-19 21:21)
島酔潜人さん
美味しいワインを飲み過ぎて、蛇行運転にならないようにお気をつけ下さい!^^
by carotte (2012-09-19 23:53)
yuzuhaneさん
fuméはスモークサーモンのときも使うんですよ。saumon fuméです。ワインで薫製の味というのもなかろうになあと不思議だったのです。この番組を見て納得しました。
冬の間は荒涼としたブドウ畑が、夏はこんなに美しい風景になるんですねえ。
by carotte (2012-09-20 00:01)
carotte さん、おはようございます。
Puilly-fumé(白) の名称の由来については、ワインの専門書に書いていあった「火打石のような香りもあり、それが fumé (燻製)がついた由来」というのをずっと信じていました。Puilly-fumé(白)は何度も飲んだことがありますが実は、‘‘燻煙’’ または火打石のような香りを感じたことはないので、鼻が悪いんだなと思っていました。日本でも、名前の由来、発祥の地などで、ちょっと首をかしげたくなる説明を見たり、聞いたりすることがあります。
by wattana (2012-09-20 07:53)
wattanaさん
土壌に火打石が含まれているので、私にはよく分かりませんが、ワインの味にもその影響があり、そのような香りがすると言う人もいるようですよ。ただ、名前の由来となると火打石ではないそうです。地元の人はblanc-fuméと呼んで痛そうです。それにしても、火打石の香りっていったいどんな香りなんでしょうね。
by carotte (2012-09-20 09:26)
あの白黒写真は60年代だったのですか!もっと古い時代なのかと思っちゃいました。そういえば農家の人は、夏はバカンスどころじゃないですよね。みなさん、収穫が終わった時期にゆっくりお休みを取るのでしょうか。
by opas10 (2012-09-23 11:32)
opas10さん
白黒写真で60年代なんですよ。つい最近のことのようですが、もう50年以上も前なんですよね。ワイン農家の人が唯一休めるのは冬くらいかなと思っていると、冬は冬でやることがあるとかいろんな資料に書かれてあります。年中なにかしらやることがあるらしいですよ。
by carotte (2012-09-24 09:09)