メイド・イン・フランス3 その3 [メイド・イン・フランス]
シリーズの最後は究極のメイド・イン・フランス。
フランスのおばあちゃんたちが作ったニットの数々。いずれも子供向けです。

下記ウィンドウの▸をクリックして番組をご覧下さい。(フランスのTV局TF1で2012年10月26日に放送)(▸をクリックしても該当の映像が出てこない場合や、直接TF1のサイトでご覧になりたい方は→こちら)
レジーヌさんもモニクさんも若い頃からずっと編み物をしてきました。
それぞれ、テレビを見ながら、猫の相手をしながら、今も編み続けています。
お二人とも現役を引退して年金生活ですが、こうして出来上がったニットはネットで販売されています。
得意の編み物で一ヶ月に200ユーロ〜400ユーロ(20,000円〜40,000円ほど)の副収入を得ています。
月々の年金の半分ほどになる時もあるそうです。
とは言っても、レジーヌさんもモニクさんも自分でネットショップを開いているわけではありません。
このおばあちゃんたちの能力を活かしているのが、パリにあるMamy Factoryという会社。
電話でおばあちゃんたちと話をしていたのが創業者のステファニーさん。
数ヶ月前に、手作りのニットをネット販売することを思いつきました。
自社のデザイナーのデッサン画と毛糸と細かな注意書きを同封して、全国に散らばるおばあちゃんたちに送り、それに従って編んでもらいます。
出来上がったところで会社あてに完成品を返送してもらい、それをネットで販売するというシステムです。
会社は完成品一つに付き20ユーロ前後で買い取るそうです。
この会社に納品しているおばあちゃんたちは全国に30人ほどいます。
「年金生活のかたわらのんびりと働いてもらうことができますし、年金で足りない部分をこの仕事で補ってもらうこともできます。ラベルには作った人の名前を印刷しています。そうすることで一般のお店の商品と違って自分だけのものという感覚を味わってもらえます」
ニットは0歳〜3歳までの子供が対象です。価格は60〜100ユーロ。
セーター、ベスト、コート、パンツ、靴下など種類も豊富です。
そして、店舗はなくネット販売だけだそうです。
ビジネスモデルとしてちょっと面白いですね。
******** フランス人のつぶやき *******
「今日、娘の同級生たちが家にやってきた。私はちょうどセーターを編んでいる真っ最中。すると同級生の一人がやって来て言った。『うちじゃあ、おばあちゃんが編み物するよ』私はまだ33歳でございます」
VDM (Vie de merde)より
叔母が毛糸屋でセーターを編んでくれたので、子供の頃は手編みのセーターを着てました。でも、その頃は既製品がかっこよく思えて、こんなの着たくないとダダをこねていたことを思い出しました。今から思えば贅沢なことです。
今は、大量生産の安い衣料品が出回ってますが、こういうハンドメイドのものを長く着続けたいですね。
by 島酔潜人 (2012-11-08 20:33)
一方は特技を生かしてゆるい感じで、一方はそんな隙間のような人材の能力を生かして…双方にとってメリットがあるんでしょうね。たしかに新しい形ですね。
大量生産でない手作りの良さが生かされるのは素敵なことです。
by yuzuhane (2012-11-08 21:17)
島酔潜人さん
手編みのセーターの方が数倍も価値がありますね。でも、子供の頃はそのことがよく分からないのですよね。既製品と手編みでは着心地と暖かさがぜんぜん違います!その辺りがこのビジネスがうまく行っているところかもしれません。
by carotte (2012-11-09 10:14)
yuzuhaneさん
双方が持ちつ持たれつでうまくいっているんでしょうね。それにしても材料とデザインをまとめた「製作キット」を送って仕事をしてもらうなんてなかなか面白いアイデアですね。おばあちゃんたち、丁寧な仕事をするそうですよ。
by carotte (2012-11-09 10:18)
とても元気の出る話ですね。好きなことをやって、それが小遣い稼ぎになるのだったら、生甲斐になりますね。
by アヨアン・イゴカー (2012-11-10 09:25)
農産物でも有機農法で育てたものは生産者の顔が見える売り方をしていますが、それをアパレルの世界に応用するとこうなるんでしょうね。オートクチュールと競合せず、おばあちゃんの手作りが売りになる子供用品に特化したあたり、この創業者なかなか目のつけどころが鋭いです。
by opas10 (2012-11-11 12:08)
アヨアン・イゴカーさん
これだとお年寄りでも特技を活かしてがんばれますね。きちんとした労働の対価あるからなおさらです。
by carotte (2012-11-11 22:15)
opas10さん
私も子供用に特化したことが良かったんだと思います。大人用となると仕上げに時間がかかるし、サイズの問題も出てきてしまう。そこへいくと幼児用は小さいサイズで、しかも個人のサイズの違いがそれほど大きくないですね。それに手作りというのもしっくり来ます。
by carotte (2012-11-11 22:20)