ヴォーバンの要塞 その3 [フランスのお宝]
昨日は、ものすごい睡魔に襲われ、ブログの更新できずでした。
それはさておき、今日はシリーズの三回目です。
フランス・アルプスの南端にあるモン・ドファン(Mont-Dauphin)を訪ねます(下記地図の緑印)。
ここの特徴は、要塞の中が村になっていること。
下記ウィンドウの▸をクリックして番組をご覧下さい。(フランスのTV局TF1で2013年9月11日に放送)(▸をクリックしても該当の映像が出てこない場合や、直接TF1のサイトでご覧になりたい方は→こちら)
命綱に支えられ、大きな石垣を移動する男性。
ロッククライミングやっているわけではありません。石垣に生えた木を切り取っているのです。
「このまま放っておくとどんどん根が伸びて要塞が破壊されてしまうんだよ」とジャックさん。
周囲3キロの要塞に生えた木を半月かかって刈り取って行きます。
切り取った後の木の株にニンニクをひとかけ詰めておくと芽が出るのを防げるそうです。
回りを見渡すと岩のごろごろした山ばかり。
要塞が作られたのは1693年のことでした。ここはイタリアとの国境近く。
「ここは理想的な場所だったのです。なにしろ3つの渓谷を見渡すことができましたからね」と村長のジルベールさん。
要塞の壁に作られた塔は見張り台です。
この要塞が作られてから間もなくして、条約で国境が引き直されたため、ここが戦いの前線になることはなかったそうです。
要塞の中には大きな溝があちこちに作られています。ここに入り込んで身動きができなくなった敵を壁の上から攻撃します。
ここには火薬庫もありました。重たそうな扉は当時のものだそうです。
ここに84トンの火薬を保管していました。
その土手の上では畑を耕す音が聞こえてきました。
菜園を作っている真っ最中。タダの菜園ではありません。昔の品種の野菜ばかりを育てています。
「これはインゲン豆です。白地に天使の形の模様がついています。ヴォーバンが暮らしていた時代に食べられていた野菜を作ってみたら面白いんじゃないかと思ったのです。それに昔の品種が姿を消してしまうのを止めることもできますからね」とエマヌエルさん。
そして、要塞の中にあるのが村。人口は145人。
静かな村の昼下がり。と思いきや、子供たちがスクールバスに乗って戻って来たとたん騒がしくなりました。
「皆顔見知りですし、互いに子供の面倒をみたり仲良くやっています」と女性。
回りの岩山ゴロゴロの風景からは想像できないようなのんびりとした生活がここにはあるようです。
******** フランス人のつぶやき *******
「今日、スーパーで、レジの若い子が品物を見て恐る恐る訊いて来た。『こ、これは何ですか?』『アーティチョークよ』と私。「ああ、そうですか」その若い子はしばらく考え込んで、また訊いて来た。『あ、あの、これは果物ですかね?それとも野菜ですかね?』」
VDM (Vie de merde)より
石垣に生えた木は、ニンニクで押さえこむんですか!ドラキュラ除けにもなって一石二鳥なのかもしれません(笑)。ここの地形は、確かに軍事的な要衝です。今にして思えば、地理って極めて軍事戦略と密接に関係している教科だったのですね!!
by opas10 (2013-09-23 12:57)
opas10さん
そうなんですよ、ニンニクで押さえ込むらしいんですよ。ニンニクで芽が出なくなるなんて初めて聞きました。
日本は海に囲まれているのでわりに戦略的地理(?)が単純ですね。そのせいか守りが手薄な感じがします。一方、フランスやその他の大陸側の国々は要所要所にこういう施設を作っているんですよね。
by carotte (2013-09-26 15:14)