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教会とアンテナ [地方の小さなできごと]

 フランス南部のコース=ドゥ=ラ=セル(Causee-de-la-Selle)。


 人口330人ほどの小さなこの村で、教会の鐘楼をめぐってちょっとしたいざこざが発生してしまいました。


 原因は、教会の鐘楼に取り付けられた6つのアンテナ。


 インターネット通信の改善のために取り付けられました。


 しかし、司祭が「私の許可なく勝手に取り付けた」と怒って、裁判に訴えました。

Paris_Causse.jpg

 


 下記ウィンドウのをクリックして番組をご覧下さい。(フランスのTV局France 3で2013年10月19日に放送)




 これがその鐘楼。確かにアンテナが取り付けられています。


 鐘楼と言えば、教会の顔のようなもの。アンテナは少々異質な感じがしないでもありません。


 「教会は18世紀に建てられた村のお宝ですが、文化財に指定されているわけでもありませんし、景観を損なうようなことをしたとは思っていません」と村長さん。


 村人たちの多くが、教会を冒涜したなんて騒ぎ立てるほどのことじゃないと思っているそうですが、他の場所に取り付けた方が良かったと思う人もいます。


 「たとえば・・・お城とか。あそこもアンテナを取り付けるのには良い場所ですよね」と村人。


 結局、裁判では、公共の利益を認めてアンテナを取り外せということにはならなかったものの、司祭の同意は必要だったとして、裁判費用の2,000ユーロは村が負担するようにとの判決が下ったそうです。


 村に取っては痛い出費です。


 この先、司祭と村の関係は大丈夫か?と気になりますが、裁判に訴えた司祭は、その後、村から30キロほど離れた別の教区に移動になってしまったそうです。


 そして、新しくやってきた司祭は前任とは違った考え方のようでアンテナのことは気にもしてないとか。


 村に平和が戻って一件落着。めでたし、めでたし、なのでした。

 

 

 

******** フランス人のつぶやき *******

 


「今日、同居人たちが私を怒らせて面白がっていた。何しろ私は怒ると掃除をする習性があるのだ」


 

VDM (Vie de merde)より




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コメント 4

島酔潜人

これ、難しい問題ですが、やっぱり景観を壊さない手段を考えるべきだと思います。また、日本ではもっとひどい光景をよく目にするし、誰も反対しないですね。
最近離島でよく目にするようになった風力発電設備には目に余るものがあります。
by 島酔潜人 (2013-10-25 11:31) 

cycloo

ドイツ(フランクフルト郊外のバート・ホンブルク)のアパートに住むようになって、衛星放送のアンテナを設置するときは、設置場所の許可が必要でした。その時、初めて、そういう考え方があるのかと、びっくりしたものでした。
教会の鐘楼となれば、それなりに景観の配慮が必要でしょうね。テレビのアンテナの乱立や洗濯物の乱舞など、綺麗だと思えば綺麗ですが、醜いと思えば醜いですし、近所のみなさんがどう思うかでしょうね。
その辺、ラテン系は、比較的、ゆるやかな感じがします。日本は町の美観についての意識は、もっと低いのでは。メチャクチャですね。
by cycloo (2013-10-26 11:43) 

carotte

島酔潜人さん
村の人たち、教会があまりに生活に密着していたのか、あまり気にしないでつけちゃったんでしょうね。日本は景観もへったくれもないですね。好き勝手にあれこれやってます。
by carotte (2013-10-27 10:06) 

carotte

cyclooさん
ドイツは厳しいとどこかで聞いたことがあります。確かにあのテレビのアンテナは異質ですね。かといって付けないわけには行かないから、景観を壊さないように付けるということなのでしょうね。
日本はほんとうにメチャクチャです。景観を保つなんていう発想が欠落しているのでしょう。建物の立て方も近視眼的。他とバランスを保つなんてからっきしなし。惨憺たる有り様です。嘆かわしい。
by carotte (2013-10-27 10:10) 

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