故郷のキャンディ その5 [フランスのお菓子]
シリーズの最後は、以前にも紹介したことのあるシンプルなキャンディ、ベルランゴ(berlingot)です。
ベルランゴと言えば、南仏の町カルパントラ(Carpentras)かブルターニュ地方の都市ナント(Nantes)ですが、今回はナントのベルランゴを見てみましょう。
お菓子屋さんBontéの厨房を訪ねます。
下記ウィンドウの▸をクリックして番組をご覧下さい。(フランスのTV局TF1で2013年11月1日に放送)(▸をクリックしても該当の映像が出てこない場合や、直接TF1のサイトでご覧になりたい方は→こちら)
大きな銅鍋の中で煮えたぎっているのがお砂糖のシロップ。全部で30キロあります。
その温度は140℃。まかり間違えば大やけどを負いかねない危険な作業です。
これを作業台に広げたら、色付きのフレイバーを加え均等になるように混ぜて行きます。
「人間や機械は変わりましたが、砂糖、水、色付きのフレイバーで作るベルランゴは昔と変わりありませんよ」と作業員の方。
フレイバーと色の付いた生地ができたら、後は機械が伸ばしてカットしてつぶつぶのアメを作ってくれます。
このベルランゴ、イタリアのberlingozzo(焼き菓子)の作り方から派生してできたアメなのだとか。
18世紀終わりか19世紀初頭、軍隊の食事係を担当していた人物がberlingozzoのレシピをメモしてナントに帰還したのがそもそもの始まりでした。
それから150年、変わらず作られて来たのがナントのベルランゴです。
「昔から変わらず味は7種類。レモン、カシス、キャラメル、ミント、アニス、イチゴ、オレンジの7つです」と責任者の方。
小さなピラミッド型のアメは機械が作ってくれるので楽勝かと思いきやなかなかデリケートなようです。
「生地が熱過ぎると、べたべたして機械のあちこちにくっついてしまいます。かといって冷め過ぎると、固くなって機械を傷めてしまいます」
機械がカットしてくれたアメは大鍋に移されます。
そして最後に砂糖のシロップをかけられ、おめかしされます。
バスで見学にやってきたお客さま方。試食のアメを口にしたとたん、昔の味が甦ります。
「小さい頃を思い出します。お土産でよくもらったもんです」と女性。
「ベルランゴが嫌いだなんて人はいないんじゃないですか?」と別の女性。
ナントのベルランゴを見ていたら、あの缶入りのアメ、サクマのドロップスを思い出してしまいました。
******** フランス人のつぶやき *******
「今日、7歳になる息子のためにアニス風味のサラダを作ってやった。どんな反応を示すかなと思っていたら、息子が言った。『う〜む、これ、パスティスの味がする!』」
VDM (Vie de merde)より
ドロドロの飴に色つきのフレーバ-を混ぜるのはなんか楽しそうですね。機械で蛇のように伸びた飴がかわいい三角になって・・・。あちらの方には懐かしい味なんですね。7つの味の中のアニスってパスティスの材料の薬草ですよね。旅行中、アニス味のお菓子や飴を見かけることがあって、こちらでは見ないものなので、珍しいなと思いましたが、あちらではポピュラーなんですね。
by yuzuhane (2013-11-08 18:14)
yuzuhaneさん
そうですね、楽しそうですね。昔、水飴を買って棒で伸ばして遊んだのを思い出しました。日本ではお菓子にはあまり使われないみたいですが、フランスではアニスは香り付けによく使われますね。シンプルで素朴なキャンディは150年も変わらないそうですから、3、4世代に渡って食べられているのかもしれません。
by carotte (2013-11-10 00:52)
確かに、映像を見ているとサクマのトロップスを思い出しました!四角い缶入りのドロップス、最後に必ずハッカだけが大量に残るんですよね~。
by opas10 (2013-11-10 13:53)
opas10さん
ここもサクマも作り方の基本は同じですね。たまに思い出したようにサクマの缶入りを買って食べたりします。そう言われるとハッカは最後まで残ってたような・・・。
by carotte (2013-11-10 23:09)