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布を巡る旅 その5 [フランスのモノ]

 シリーズの最後は、中世の時代からアルザス地方に伝わる伝統の布ケルシュ(Kelche)です。


 小さな村ミッテルソルツにあるメーカーTissage Ganderの工場を訪ねます。


Paris_Muttersholtz.jpg

 下記ウィンドウのをクリックして番組をご覧下さい。(フランスのTV局TF1で2014年1月17日に放送)(▸をクリックしても該当の映像が出てこない場合はウィンドウの下にある文字をクリック

映像が途切れ途切れになってしまう皆さん。どうも映像の読み込みと再生の速度がうまく噛み合ないのが問題のようです。解決策として、本編が始まったところで一旦ポーズボタンをクリックし再生を止め、映像を読み込むまでしばらく待ちます。ある程度映像を読み込んだところで、もう一度再生ボタンをクリックすると途切れずに見ることができるようになります。少し手間ですが試していただけると幸いです。



 機械の上に積もった埃。


 使われなくて溜まった埃ではなく、使えば使うほどこうして繊維が埃のようになって積もるのです。使われている繊維は亜麻。


 ミッシェルさんは創業から数えて7代目。


 30年ほど前に亜麻を使った織物ケルシュを復活させました。


 19世紀の中頃から綿が亜麻に取ってかわり、アルザス地方伝統のケルシュは姿を消してしまっていたのです。


 このチェックの柄が典型的なケルシュです。


 「冬に農民が使う布だったのです。どこかの工場で大量に作られていたのではなく、各家庭で作られていました。ですから、家庭で作られなくなると同時に、姿を消してしまったのです」と女性。


 かつてアルザス地方では亜麻や麻があちこちで栽培されていたそうです。


 当時のケルシュについて書かれた資料がわずかに残っており、その作り方は途絶えることなく次の世代へと伝えられてきました。


 格子模様は昔から変わりませんが、その色は時代とともに様々に変化してきました。


 「ナプキン、クッション、カーテンなど、家の中で使う様々なものに使われてきました」


 木が主体のコロンバージュ様式の部屋にケルシュを使ったカーテンやクッション。


 これが典型的なアルザス地方の部屋だそうです。どことなく庶民的で暖かみがあります。


 ケルシュは結婚式の時や子供が生まれたときなどに作られ、長く使われたそうです。


 リリーさんのお宅を訪ねると、タンスの中に18世紀頃のケルシュが保存してありました。


 300年近くたつというのに、鮮やかな色は今も変わりません。


 ケルシュに使われている赤はカトリック、青はプロテスタントを表しているのだとか。


 「ケルシュは19世紀の終わり頃まで使われていました。高級品ではなかったので農家に取っては手頃な布だったのです。そして、すり切れて来たら修理して出来るだけ長く使っていたようです」とリリーさん。


 各家庭では、節目になる年を記念してケルシュにハート型の刺繍を施していたそうです。


 


******** フランス人のつぶやき *******

 

 

「今日、病院の待合室の壁には3462個の四角い模様が描かれてあった」

 

VDM (Vie de merde)より




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コメント 4

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yuzuhane

糸が細いからかホントすごいほこりが出ていましたね。自宅で布まで作るってすごいことだなと思いました。チェックの生地が木組みの家の雰囲気と良くマッチしてほんと温かみがありますね。
by yuzuhane (2014-02-04 18:16) 

carotte

yuzuhaneさん
わた埃がすごかったですね。昔の人は布まで自分で作っていたんですねえ。今回の番組で、アルザス地方独特の布があることを初めて知りました。なかなか暖かみのあるいい布ですね。
by carotte (2014-02-08 15:47) 

opas10

埃じゃなくて繊維の積もり方に驚きました!!麻織物のケルシュ、質素だけど温かみのある布ですね。フランス人のつぶやき、病院で長く待たされるのは、どこの国でも一緒のようで(笑)。
by opas10 (2014-02-08 20:49) 

carotte

opas10さん
ほんとに温かみのある、生活のにおいのする布でしたね。
病院で待たされてたこの方、待たされた時間も相当ですが、ご本人の根気もかなりなものです。^^
by carotte (2014-02-10 13:17) 

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