マリア像撤去 [地方の小さなできごと]
「フランス共和国は宗教から独立している」フランス憲法にはそう明記されています。
昨年のクリスマス。役場にクレッシュ(キリスト生誕のシーンをミニチュアで再現したもの)を飾るのはいかがなものか?と問題になりました。
公共の場に特定の宗教に関わるものをおいてはいけないのでは?というわけです。
このクレッシュ、結局、そのまま飾られることになったようです。
しかし、今度は公園に作られたマリア像を巡って同じような問題が発生しました。

下記ウィンドウの▸をクリックして番組をご覧下さい。(フランスのTV局France 3で2015年2月6日に放送)
映像が途切れ途切れになってしまう皆さん。どうも映像の読み込みと再生の速度がうまく噛み合ないのが問題のようです。解決策として、本編が始まったところで一旦ポーズボタンをクリックし再生を止め、映像を読み込むまでしばらく待ちます。ある程度映像を読み込んだところで、もう一度再生ボタンをクリックすると途切れずに見ることができるようになります。少し手間ですが試していただけると幸いです。
レマン湖のフランス側の岸辺にある町ピュブリエ。
2011年、町の税金を使って設置されたのが、このマリア像。
当時、ピュブリエの町長さんは、この場所は静かに祈りを捧げるのに適した場所だと思ったそうです。
しかし、翌年の1月、ある市民団体によって、公共の場に町の税金を使ってマリア像を設置したのは“行き過ぎた権限の行使”だとして訴訟をおこされてしまいます。
「なんであろうと公共の場に宗教の印やシンボルになるようなものを建てるのは禁じられているはずです」と市民団体の代表者は述べています。
そしてこのほど、グルノーブルの裁判所は、“このマリア像は宗教のシンボルであり、公共の公園に建ててはならない。よって即刻撤去するべし”という裁定を下しました。
これに納得できないのは町長さんです。
「今のフランスは反テロリズムの風潮におされて少し過敏になってるんじゃないでしょうか?私たちの国はユダヤ・キリスト教の国ですよ。ちょっと立ち止まってお祈りをする場所があったっていいんじゃないですか?」
一方、市民団体の方は、これが良い判例になればと歓迎しています。
この問題、これで決着となるかどうかまだわかりません。
税金を使って建てたのはまずかったと思ってはいるものの、納得しない町長さんが上告する可能性もあります。
******** フランス人のつぶやき *******
「今日、2時間もエレベーターに閉じ込められた。しかも、私を訪ねてきた裁判所の執行官と一緒に」
VDM (Vie de merde)より
公共の場に税金を使ってというのが問題なんでしょうね。でもクレッシュもマリア像も歴史を経て一つの文化として溶け込んでいるものでしょうから…両方の言い分、それぞれわかる気もします。難しいですね。
by yuzuhane (2015-02-09 16:13)
問題になること自体素晴らしいと思います。こちらでは,どうでしょうか。
by Enrique (2015-02-10 19:55)
yuzuhaneさん
フランスは元々がキリスト教の国ですからねえ。マリア像を設置することは自然な行為だったのかもしれませんが、様々な人種が集まるようになって今までと同じではすまされなくなってきたのでしょう。なかなか難しい問題ですね。
by carotte (2015-02-11 12:04)
Enriqueさん
イスラムのスカーフが問題になったことがありましたが、今度はマリア像が問題になってしまいました。日本の場合はどうなんですかね〜。このような問題に直面したことがあまりないのかもしれませんね。
by carotte (2015-02-11 12:12)
日本の田舎では、神社の集金を町内会の仕事としてやらないといけませんが、問題になりません。公的機関で神官のお祓いも問題になりません。
by Enrique (2015-02-11 16:47)
Enriqueさん
そんなこともあるのですね。それに神宮のお祓いも問題になりませんね。一度だけ閣僚の靖国神社参りで、特定の宗教にそんなことしていいのか?と誰かが言ったことがありましたが、大したこともなく(むしろ違った意味での問題の方が大きかった)、終わってしまいました。
by carotte (2015-02-12 15:00)