校舎 その1 [フランスのお宝]
今日から5回のシリーズで、フランスの学校の建物を紹介します。
現代の校舎といえば、鉄筋コンクリートにサッシの窓ですが、このシリーズに登場する校舎は長い歴史をもち、少々古いですが美しい建物ばかりです。
第一回目の今日は、ブルターニュ地方の都市レンヌ(Rennes)にあるリセ・エミール=ゾラ(lycée Emile-Zola)(日本風に言えばエミール=ゾラ高校)を訪ねます。
下記ウィンドウの▸をクリックして番組をご覧下さい。(フランスのTV局TF1で2015年4月13日に放送)(▸をクリックしても該当の映像が出てこない場合はウィンドウの下の文字をクリック)
映像が途切れ途切れになってしまう皆さん。どうも映像の読み込みと再生の速度がうまく噛み合ないのが問題のようです。解決策として、本編が始まったところで一旦ポーズボタンをクリックし再生を止め、映像を読み込むまでしばらく待ちます。ある程度映像を読み込んだところで、もう一度再生ボタンをクリックすると途切れずに見ることができるようになります。少し手間ですが試していただけると幸いです。
歩くとギシギシ音がする板張りの長い廊下。
この廊下を支えているのがアーチ型の柱のある回廊です。
ナポレオンの肝いりで1802年に初めてのリセが9校創設されました。そのうちの一つがこのリセ・エミール=ゾラです。
校舎は当時のもの。中に入ってみましょう。
ここは科学の授業が行われる教室です。生徒の座る机には落書きがいっぱい。
窓の外にも落書きが・・・。
そこには、LÉON 1914と彫られています。
「一緒に棕櫚の葉が描かれているところから、レオンという生徒がバカロレア(一口に言ってしまえば大学入学資格試験のようなもの)に合格したのを記念して彫ったのでしょう。そしてこのレオン君は、第一次世界大戦戦没者記念碑にもその名が刻まれているのです」とこのリセの元教師。
バカロレアに受かったものの、大学に行くこともなく戦争で命を落としてしまったようです。
さて、古い校舎の中には、古い教材も残されています。
「ここにある古い実験器具は今でもちゃんと機能します」と物理化学の元教師ジェラールさん。
ジェラールさん、実際に実験を披露してくれました。
金属の板に白い砂を巻いてバイオリンの弓で弾くと、幾何学模様が現れました。
他にも不思議な道具がいろいろ保存されているようです。
リセには創設の時から礼拝堂が隣接されていました。
しかしフランスの学校は非宗教が原則です。
長く使用されなかった礼拝堂は、その後の修復で、外の構造を変えることなく内部を二つに分けることになりました。
そして、美しいステンドグラスのある上階が図書館として生まれ変わったそうです。
古い建物を修復しながら使い続けると、こういうことも起きるのですね。
******** フランス人のつぶやき *******
「今日、バカロレアの英語の面接試験で気を失った。緊張によるストレスだって?とんでもない。天井の壁が剥がれて頭に落ちてきたんだ」
VDM (Vie de merde)より
ロマネスクなアーチが非常に美しい学校ですね。図書館のステンドグラスも非常に印象的です。第一次世界大戦は欧州が主戦場だったので、多くの若人が命を落としたとは聞いていますが、こうした事実を知るにつけ戦争の痛ましさを感じます。そしてもし自分の身内がレオンのようになるとしたら、と考えると、日本は「普通の国」になるのが本当に良いことなのか、疑問を感じるのでした。
by opas10 (2015-05-08 22:43)
opas10さん
古い建物だけあって様々な歴史が残っているようです。今の政権運営が続くと、間違いなくこれと同じようなことが起きると思います。いろいろ条件を付け加えても結局は戦場に行くことを目的としてますよね。阿部さんは日本をそういう国にしたいんでしょう。大変心配なことです。
by carotte (2015-05-14 12:02)