シードルで育つ牛 [ノルマンディー地方]
経営難のフランスの畜産農家。なかなか利益が上がらないのが大きな問題です。
例えば、スーパーでステーキ用の肉を一枚買ったとします。そのお金はどのように分配されるのでしょう?
まずスーパーが27%を、屠殺業者が21%を取ります。残りの47%が生産者に行くことになります。
しかし、これがすべて経費で消えてしまい、さらに平均で7%の赤字になるとか。
屠殺業者は必要経費を払っても1.6%の利益を手にすることができます。
スーパーは逆に1.2%の赤字。しかし、他の製品でカバーすることができます。
で、結局、畜産農家だけが損をするという状況が続いているというわけです。
対策としてはやはり値上げしかないということで、66%のフランス人が値上げもやむなしと答えているそうです。
そんな苦境に立つ畜産農家ですが、他とは違う、より美味しい牛肉を生産しようと工夫を凝らしている農家もあります。
日本の神戸牛はビールを飲ませていると聞いて、それならウチはシードルだ!とノルマンディーの農家では牛にシードルを飲ませているそうです。
下記ウィンドウの▸をクリックして番組をご覧下さい。(フランスのTV局TF1で2016年2月28日に放送)
映像が途切れ途切れになってしまう皆さん。どうも映像の読み込みと再生の速度がうまく噛み合ないのが問題のようです。解決策として、本編が始まったところで一旦ポーズボタンをクリックし再生を止め、映像を読み込むまでしばらく待ちます。ある程度映像を読み込んだところで、もう一度再生ボタンをクリックすると途切れずに見ることができるようになります。少し手間ですが試していただけると幸いです。
クラシック音楽の流れる中、牛たちが黙々と干し草を食べています。
そういえば、クラシック音楽を聴かせると牛乳の出が良くなるという話を聞いたことがありますが、食肉用の牛にもいいことがあるのかしらん。
さらにこの牧場ではノルマンディ地方の特産シードルを牛に与えています。
アルコール度数3%のシードル15リットルを毎日こうして干し草と一緒に食べさせています。
というのも、牧場の経営者グザビエさんは副業でオーガニックシードルを生産し、毎年2万本を出荷しているのです。
他からわざわざ取り寄せなくても自前で牛に与えることができます。
そして畜産業で何かあってもこの副業があれば乗り切ることができます。
こうしてシードルで育てられた牛の肉はおいしいと評判です。そのため高級品として高値で取引されます。
「多くの畜産農家がやり方を考え直しています。つまり、クオリティーの高い肉を生産することに力を入れ始めました」と生鮮食料品の取引会社の方。
グザビエさんの生産する牛肉は近隣のレストランに納品されています。
「お客さんに評判がいいんですよ。よく注文されるのですが、春になるまで待ってくださいとお願いすることがあります」とシェフ。
牛が生まれて、シードル入りの干し草を食べさせ、ちょうどいいくらいに育つ頃に出荷となると年中食べられるというわけではなさそうです。
それにしてもシードルで育った牛の肉はどんな味がするのか気になります。
******** フランス人のつぶやき *******
「今日、妻との賭けに負けて、これから2週間は食器洗いを担当することになった。妻は、一枚のお肉を焼くのに2つのフライパンを使い、人参を切るのに少なくとも三本の包丁を使った」
VDM (Vie de merde)より
どこの国でも畜産業者は苦しいのでしょうか、その中でもブランド牛の生産で付加価値を付ける工夫。マーケティングは、業界や国を超えて収益を上げるものなのですね。
by opas10 (2016-03-20 20:41)
opas10さん
原因はやはり飼料の高騰じゃないでしょうかね。どこも大変みたいです。ここは質を上げて他との差別化をしようということになるんでしょうね。
by carotte (2016-03-21 19:12)