イタリアの伝統と職人 その1 [イタリア]
今日から5回のシリーズで、イタリアの伝統に携わる職人さんたちを紹介します。
第一回目の今日は、大理石の生産地として世界的に知られるトスカーナ地方の町カッラーラ(Carrara)を訪ねます。
下記ウィンドウの▸をクリックして番組をご覧下さい。(フランスのTV局France 2で2016年2月29日に放送)( ▸をクリックしても映像が出て来ない場合はウィンドウの下の文字をクリック)
山の中に見える白い岩肌。ここは石切場。
切り出されているのは全て大理石です。
ここでの大理石の採掘はローマ時代からすでに始まっていたそうです。
現在、この石切場を経営しているのがベルナッカ親子。
「あれが私の父です。父さん、いつ頃からここで働いてるんだっけ?」と息子。
「1968年に始めたから48年になるよ」と父親。
「戦後間もなく父が大理石の掘削を始めたんだよ。私は学校を卒業すると同時に父と一緒に働き始めた。この仕事は大好きだよ」と父親。
ということはお祖父さんの代から続いてきた家業ということになります。
「今、動かしている大理石の塊は7トンくらい。これを全部トラックに乗せると33トンほどになります」とオーナー。
大理石の切り出しは、こうしてケーブルを使います。ということは、ケーブルは大理石より硬くなくてはいけません。
「これがそのケーブルです。この部分にダイヤモンドが埋め込んであります」と息子。
真っ二つにカットされた大理石。まずはその品質を確かめます。
「ここにちょっと傷があるから、それらを切り取らなくてはならない。石が小さくなってしまうけど、高品質の大理石になるはずだ」と父親。
こちらは山の麓にある町カッラーラ。
さすがに大理石の産地だけあって、あちこちに大理石が使われています。広場の石像、柱、噴水・・・。
こちらはルチアーノさんのアトリエ。有名な彫刻のレプリカが並んでいます。
「私たちは芸術家として大理石を用いて作品を制作するのです」とルチアノさん。
まずは全体を形作り、洗練された作品にするために少しずつ手を入れていきます。
「キメが細かいので、彫刻家にとってカッラーラの大理石は最良の大理石なのです」
ルチアーノさんはアトリエで教室を開いています。
中国、スペイン、ギリシャ、韓国と、生徒さんの出身国も様々です。
大理石を彫る前に粘土で模型を制作します。
「この学校は韓国てはとても有名なんです。イタリアにいるとルネッサンス時代にいるような気分がします」と韓国人の生徒。
作品は伝統的なものばかりではありません。自分の感じたままを彫刻に表現する生徒もいます。
あの石切場で切り出された冷たい石に命が吹き込まれたような感じがします。
カッラーラの大理石は、あのピサの斜塔の柱や、ミケランジェロのピエタ像やダビデ像に使われているそうです。
******** フランス人のつぶやき *******
「今日、友人のカップルが僕の誕生日を祝って彫刻をプレゼントしてくれた・・・。それは、2年前に僕が二人にプレゼントした彫刻だった」
VDM (Vie de merde)より
石切りは今でもかなり大変な仕事ですね。でも重機や強力なウォーターカッターがない時代の作業は、想像を超える大変な仕事だったのでしょうね。
by opas10 (2016-03-20 21:52)
opas10さん
ルネッサンスの時代はかなり大変だったでしょうね。大きなナタみたいなものを何度も振り下ろして切り出さなくてはならなかったでしょうから、今みたいに綺麗な直方体じゃあなかったでしょうね。
by carotte (2016-03-21 19:29)