イタリアの伝統と職人 その4 [イタリア]
シリーズの四回目は、イタリア南部アマルフィ海岸の小さな町ヴィエトリ・スル・マーレ(Vietri sul Mare)を訪ねます。

下記ウィンドウの▸をクリックして番組をご覧下さい。(フランスのTV局France 2で2016年3月3日に放送)(▸をクリックしても映像が出て来ない場合はウィンドウの下の文字をクリック)
ユネスコの世界遺産にも登録されている景勝地アマルフィ海岸。
その東端にあるのがヴィエトリ・スル・マーレです。
レモンの産地として知られていますが、一歩町に入ると目を奪われるのが陶磁器。
ルネッサンスの時代から、聖ジョヴァンニ・バチスタ教会のドームも、建物の玄関や壁も、こうして陶磁器に覆われています。
海岸のベンチも陶磁器でできています。
ジョヴァンナ・ソリメーネさんはこの町で一番大きい窯元を経営しています。
「この建物の外壁は父が担当しました。直径20センチの円筒が2万個も使われています。一つずつ、すべて手で埋め込まれています」とジョヴァンナさん。
うわあ〜、これは大変な仕事ですね。
さて、こちらがジョヴァンナさんのお店です。
ジョヴァンナさんには10人の兄弟姉妹がいます。
そして子供が二人。甥っ子や姪っ子は全部で27人。これがソリメーネ一族というわけです。
ソリメーネ一族の作る陶磁器の特徴は、鮮やかな色合いとシンプルな図柄。
どんな風に作られているのか工房を訪ねてみましょう。
こちらが陶工のルチオさん。経験に裏付けされた高い技術を持つ職人さんです。
「陶土は柔らかい原料です。そして素晴らしいことに、こうして自在に形を変えてくれます。創作意欲を高めてくれますよ」とルチオさん。
そして、芸術部門担当のティアンカルドさんは、モチーフを求めて町へ散策に出ます。
「いつも心惹かれるのがこの光と自然の色です。そして、イカやタコなどの海の生物もモチーフとして使います」
そのモチーフを陶器に再現するのが絵付け師です。
「この魚のモチーフはヴィエトリ独特のものです。こうして一枚ずつ手で絵付けしますから、長い経験がないとできない仕事です」と絵付け師。
「この二枚は全く同じ図柄のお皿に見えます。でもよく見ると少し違っているのに気がつきます。それもそのはず、一枚ずつ手書きですから微妙に違っているんです」
あのお皿を焼くと、こんな風に仕上がります。ちょっと欲しくなりますね。こんなお皿が並んていたら食卓がぐっと明るくなりそうです。
「祖父の家にはいつもこんな陶磁器が置いてありました。家族の、そしてこの地域の宝物なんです」と女性客。
ヴィエトリ・スル・マーレでは、美しい風景の中で、今日もまたカラフルな焼き物が作られています。
******** フランス人のつぶやき *******
「今日、誕生日プレゼントに姉が陶器の貯金箱をくれた。私は嬉しかったので貯めていたお金をその中に入れてみた。そして姉に尋ねた。『この貯金箱の鍵はどこにあるの?』すると姉が言った。『失くさないようにと思って、貯金箱の中に入れといた』」
VDM (Vie de merde)より
建物の外壁すごかったですね~、2万個作るだけでも大変なのに埋め込んじゃうんですから!!素朴なようで計算しつくされた味のある絵柄に魅了されました。
by opas10 (2016-03-20 22:22)
opas10さん
あの外壁は本当にすごいですねえ〜。手で埋め込んだというから驚きです。シンプルで味のある絵柄がなかなか魅力的でしたね。
by carotte (2016-03-21 23:14)