エシャロット戦争 [フランスのグルメ]
この方、どなただと思います?→こちら。
あの方にそっくり。目の周りの白い感じといい、でっぷりしたお腹の具合といい、うまいこと化けました。
ニューヨークのパブリック・シアターでの余興の一コマ。
この方、お察しの通り女優のメリル・ストリープです。
さすがですねえ〜。何の役でもこなしちゃいます。
さて、本日はエシャロットのお話です。
日本でエシャロットと言えば、らっきょうみたいな野菜を思い浮かべますが、本物のエシャロットは、玉ねぎを5分の1くらいに小型にした野菜で、玉ねぎより強い香りがします。
日本料理にはあまり使われませんが、フランス料理にはよく登場します。
フランス産のエシャロットは肉料理やサラダに薬味として人気があります。
しかし、このところ伝統的なエシャロットに赤信号が灯っています。
というのも、最近出回っている新しい品種に市場を乗っ取られかねない状況になっているからです。

下記ウィンドウの▸をクリックして番組をご覧下さい。(フランスのTV局France 2で2016年6月7日に放送)(▸をクリックしても映像が出てこない時はウィンドウの下の文字をクリック)
映像が途切れ途切れになってしまう皆さん。どうも映像の読み込みと再生の速度がうまく噛み合ないのが問題のようです。解決策として、本編が始まったところで一旦ポーズボタンをクリックし再生を止め、映像を読み込むまでしばらく待ちます。ある程度映像を読み込んだところで、もう一度再生ボタンをクリックすると途切れずに見ることができるようになります。少し手間ですが試していただけると幸いです。
Bretagne : la guerre de l'échalote
これがそのエシャロットです。
見た目は右も左も同じですが、ナイフで輪切りにしてみると違いがはっきりわかります。
左はこれまでフランスで作られてきた伝統のエシャロット、右はオランダ産の種子で育ったハイブリッドのエシャロット。
伝統のエシャロットはこうやって球根から人の手で栽培・収穫されますが、ハイブリッドの方は大量生産で行われます。
「伝統のエシャロットは生産者にとっては割高です。1ヘクタールに植え付けを行うのに平均で100時間かかります。そしてちゃんと育つようにしてやるためにさらに50時間がかかります。だからこそ質のいいエシャロットができるんです」と全国エシャロット部会の会長さん。
ハイブリッドの方はどうやら種子から栽培して大量に収穫されるらしい。よってより安く、大量に消費者に提供できるわけです。
その結果、輸出に影響が出ているそうです。
「2000年頃はアメリカに5,000トンを輸出していました。今では1,000〜800トンほどにまで減少してしまったんです」
これはちょっと痛いですね。
そこで生産者は “本物のエシャロット” を表すロゴマークを作って差別化を図ることにしました。
そして、玉ねぎの亜種のようなエシャロットを “エシャロット”と呼ばないようにと訴えています。
こちらはミシュランの星付きレストラン。もちろんこのチェフは伝統のエシャロットしか使いません。
「これはエシャロットのコンフィ、これはソース、こっちはスライスしてカリカリに焼いたものです」とシェフ。
このシェフにハイブリッドのエシャロットを渡してみると・・・。
「これは玉ねぎの匂いですよ。エシャロットじゃない!どうしてこれがそんなに売れるのかわからないね。これははっきり言ってこれは玉ねぎです!」
う〜む、エシャロットもなかなか奥が深いもののようです。
******** フランス人のつぶやき *******
「今日、病院に駆け込んだ。というのも、泣かないで済むように目をつぶって玉ねぎを切っていたら指を切ってしまったのだ」
VDM (Vie de merde)より
輪切りにした切り口を見ると、確かに全く別物ですね。でも実際にどれだけ違うのか、エシャロットが身近じゃないと感覚的にわからないものですね。ニラとホウレンソウくらい違えばわかるのですが(笑)
by opas10 (2016-06-11 19:35)
opas10さん
日本でエシャロットっていうと、あのラッキョウみたいものになってしまうし、お料理であまり使われないから馴染みがないんですよね。フランス料理の作り方をよく見ると、みじん切りのエシャロットをバターで炒めた後、さらにみじん切りの玉ねぎを加えて炒めることが多いので、やっぱり玉ねぎとは違う風味があるんじゃないかと思います。
by carotte (2016-06-15 17:08)