ローカル線の小さな旅2 その5 [プロヴァンス地方]
シリーズの最後は、プロヴァンス地方を走るSLを紹介します。
地中海の都市ニース(下記地図の青印)と内陸の都市ディーヌ=レ=バン(Dignes-les-Bains)(赤印)を結ぶ列車が “松ぼっくりトレイン(Train des Pignes)” です。
そしてその間の20キロほどを蒸気機関車が走っています。
下記ウィンドウの▸をクリックして番組をご覧下さい。(フランスのTV局TF1で2016年8月5日に放送)
こちらがその蒸気機関車。
93歳という高齢にもかかわらず、しっかりとした足取りで駅に入ってきました。
しかし、あまり重労働はできません。夏の間の週末だけ、松ぼっくりトレインの、ピュジェ=テニエ(Pujet-Théniers)(緑印)とアノ(Annot)(オレンジ印)間の20キロを走ってくれます。
出発前に燃料の石炭を積み込みます。
「石炭の量は1トンほどです。これで20キロほどを上ったり下ったりしながら走ります」と男性。
心なしが顔が石炭で少し黒ずんでいます。お仕事大変ですね。
そして、お客様を乗せる前に点検とお掃除が欠かせません。この方々、鉄道好きのボランティアの皆さんです。
「貨物車と客車の両方がありますが、先にできたのが客車でした。これは1911年製で、生まれはスイスです」
100年以上も前の車両とは思えないほどきれいです。修復と維持には大変な費用と労力がかかったに違いありません。
14歳のマチュー君は夏休みの大半をこの作業に費やするそうです。
「冬休みはこの列車の修理を手伝います。夏になってお客さんに僕たちを努力の跡を見てもらえると嬉しいです」
その車両は乗客で満員です。毎年10,000人以上を乗せてプロヴァンスの山道を走ります。時速は40キロほど。
「特色のある列車ですね。20世紀初頭の雰囲気を味わえますよ」と女性。
「僕と同じようにこの列車も高齢ですが、この走りは若々しいですね。乗り心地はいいですよ。煙や臭いがありますが、それはそれでいい経験になります」と男性。
機関車の中はどうなっているかと言えば・・・大忙しです。
定期的に石炭をくべなくてはなりませんし、運転もハンドルを握っていれば大丈夫というわけにはいきません。
「80トンほどの重さがありますから、発車の時がちょっと大変です。早め早めに対応しなくてはなりません」と運転手。
ヴァール川に沿って走る蒸気機関車。
途中にある村アントルヴォー(Entrevaux)(紫印)に途中下車して散策です。
立派な門構え。昔はきっと繁栄した村なのでしょう。
「路地や階段状に並ぶ家々が素敵です」と女性。
「ちょっとした心温まる発見がありますよ」と男性。
村の広場には暑さを癒してくれる水場もあります。そしてお食事もできるお店も。
「人でごった返すコートダジュールより静かでのんびりできていいですね」と男性。
そんな村々をつなぐ蒸気機関車は10月頃まで走ることになっているそうです。
******** フランス人のつぶやき *******
「今日、シャワーにかかっていたら、何も見えなくなるくらい風呂場が湯気でいっぱいになったので、天窓を開けた。その瞬間、大きな雪の塊が裸の僕の上に落ちてきた」
VDM (Vie de merde)より
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