牛の大移動 [オーヴェルニュ地方]
5月も今日を入れてあと二日で終わります。
茶色の茎だけだった紫陽花に、いつの間にか緑の葉っぱが生い茂り、そろそろ花が咲き始める頃となりました。
梅雨入りももう間近。
さて、フランスの山岳地帯では、冬の間、山の麓の牧場で過ごしていた牛たちが、天然の草を求めて山に大移動する時期になりました。
この大移動、ちょっとしたお祭りのようになっています。
カンタル県の小さな村アランシュ(Allanche)を訪ねます。
下記ウィンドウの▸をクリックして番組をご覧ください。(フランスのTV局TF1で2017年5月29日に放送)
映像が途切れ途切れになってしまう皆さん。どうも映像の読み込みと再生の速度がうまく噛み合ないのが問題のようです。解決策として、本編が始まったところで一旦ポーズボタンをクリックし再生を止め、映像を読み込むまでしばらく待ちます。ある程度映像を読み込んだところで、もう一度再生ボタンをクリックすると途切れずに見ることができるようになります。少し手間ですが試していただけると幸いです。
村のメインストリートを行く牛の群れ。
先週末に行われた牛の大移動の様子です。
出発前には、僧侶が牛たちに祝福の儀式を行っていました。日本なら神主さんが無事を祈ってお祓いをするところです。
「このカウベルの音が好きなんです。我々の魂であり心なんです。それに山の中でその美しさがさらに際立ちます」と僧侶。
こうして始まった大移動。700頭の牛が1日かけて山へと移動していきます。
この様子を一目見ようと沿道に集まった人々。
牛も何やら感じ取っているのか、沿道の人に向かって「モウ〜」。
「牛たちは堂々としてましたね。素晴らしいです」と女性。
「牛が振り向いて私たちを見たりしてワクワクします。しっかり写真も撮りましたよ」と別の女性。
その牛もリボンやベルをつけておめかしです。栗色の毛もツヤがあって美しいですね。
この牛たち、サレール種(salers)の雌牛だそうです。
ピンクのTシャツを着て牛の世話をしているのがシャルロットさん。
父親や他の親族と同じように、牛を飼育してチーズを作っています。
「今日はこの地域の農家がここに集まりました。伝統を守ってしっかりやりとげなくてはなりません」
主催者の調べによると、大移動を見るために4万人の人が集まったそうです。
「これはオーベルニュ地方の、そしてカンタル県のエンブレムなんです。農家の人たちはとても誇りに思っていますよ」と男性。
アランシュから50キロほどのところにあるのが、「フランスで最も美しい村」の一つサレール(Salers)。
牛の品種はここから来たのか?それとも牛の方が先か?
「最後のSは発音しません。まあ、皆さんに来ていただけるのならどちらでもいいのですが、“サレール” というのが正しい名前です」と村人。
エンブレムと言うだけあって、この村ではサレール種の牛のグッズが山のように売られています。
「Tシャツや衣類は大変喜ばれています。よく売れてますよ」とお店方。
一方、ジルさんはこれから数ヶ月、ここで20頭ほどの牛たちを放牧することになっています。
「サレール種の牛は丈夫で忍耐強かったので、農作業をするのに使われていました」とジルさん。
今では乳牛として飼育されていますが、飼育は割りに楽だそうです。
「夏の間は放牧しておけば育ちますから経費もかかりません」
新緑の草原を走り回る牛たち。自然の色の組み合わせが美しいですね。
******* フランス人のつぶやき *******
「今日、車を運転しながら電話をしているとお巡りさんに携帯を没収されてしまった。電話の相手は別のお巡りさんだったのに。何しろ、うちの牛が逃げ出して高速道路を走っていたから・・・」
VDM(Vie de Merde)より
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