アルピニストの墓地 [ローヌ=アルプ地方]
10月31日の夜の渋谷は、何やら不穏な空気が漂っていました。
午後9時過ぎくらいに電車の乗り換え通路を歩いていると、聞きなれない音も聞こえてくる。しかも交差点の見渡せる窓辺にはずらっと人が並んでいる。
お察しの通りハロウィンです!
これは一刻もぐずぐずしてられないと、とっとと電車に乗って帰ってきました。
渋谷の交差点、どうしてこんなことになってしまったのか・・・嘆かわしい。
それはさておき、10月31日の翌日の11月1日は、カトリック教徒にとって聖人と殉教者を記念する「諸聖人の日」です。
この日、フランスではお墓詣りに行く習慣があります。
そこで本日は、フランス・アルプスの山々を望む、少し変わった墓地を訪ねることにしましょう。
下記ウィンドウの▸をクリックして番組をご覧ください。(フランスのTV局TF1で2017年10月31日に生放送)
映像が途切れ途切れになってしまう皆さん。どうも映像の読み込みと再生の速度がうまく噛み合ないのが問題のようです。解決策として、本編が始まったところで一旦ポーズボタンをクリックし再生を止め、映像を読み込むまでしばk、mらく待ちます。ある程度映像を読み込んだところで、もう一度再生ボタンをクリックすると途切れずに見ることができるようになります。少し手間ですが試していただけると幸いです。
ここは標高1400メートルのところにある、サン=クリストフ=アン=ノワザン(Saint-Christophe-en-Oisans)の墓地。
谷を隔てた向こうにあるのは万年雪をたたえた岩山の数々。
その岩山にも負けない力強い墓石が並びます。ここはアルピニストのパンテオンともいうべき場所。
アルプスで活躍した偉大な登山家や山岳ガイドおよびその忍耐強い妻たちが眠っています。
「これは1909年のエクラン峠の雪崩で亡くなった方のお墓です。アルピニストの草分け的人物でした。それからこちらは二人のイタリア人登山家のお墓です。雪山で滑落して亡くなりました」とロジェさん。
ロジェさん、この墓地のことなら何でも知っています。
ある墓石には “山が彼の死であるなら、山はまた彼の命でもあった” と刻まれています。
数々の険しい山々に挑んだ登山家にふさわしい墓石が並びます。
今のような優れた装備のない時代に、ピッケルやロープを頼りに岩山を登っていったようです。
「ここに葬られた人々はいつまでもアルプスの山々を見つづけることができるんです」とロジェさん。
アンドレさんは毎年11月1日になると、山岳ガイドだった父親のお墓参りにやってきます。
亡くなったのは1942年の登山中のことでした。その時アンドレさんはまだ7歳だったそうです。
「登山家の客と一緒に雪山を登っている時に、クラバスに落ちて亡くなりました」とアンドレさん。
ここには、1877年に標高3900メートルの鋭鋒ラ・メイジュの登頂に成功したピエール・ガスパールも眠っています。
ジェラールさんはそのひ孫にして、今では数少ない山岳ガイドの一人です。
「今、私たちがお客様を山に案内して素晴らしい景色を楽しんでもらえるのは、ここにいる先駆者のおかげなんです」
村人から大切にされている墓地のようです。
******* フランス人のつぶやき *******
「今日、祖父と祖母を乗せて車で今晩泊まるホテルを探していた。カーナビが 『目的地に到着しました!』と言った。我々はお墓の前にいた・・・」
VDM(Vie de Merde)より
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