週末はヴォージュで [パリから週末旅]
日曜日は恒例の週末旅。今回はフランス北東部ヴォージュ山地を旅します。
パリからは高速列車とローカル線を乗り継いで約3時間ほど。
今回訪ねるのは、”ヴォージュのブルーライン(Ligne bleue des Vosges)” と呼ばれる場所。
下記ウィンドウの▸をクリックして番組をご覧ください。(フランスのTV局TF1で2018年11月10日に放送)
映像が途切れ途切れになってしまう皆さん。どうも映像の読み込みと再生の速度がうまく噛み合ないのが問題のようです。解決策として、本編が始まったところで一旦ポーズボタンをクリックし再生を止め、映像を読み込むまでしばらく待ちます。ある程度映像を読み込んだところで、もう一度再生ボタンをクリックすると途切れずに見ることができるようになります。少し手間ですが試していただけると幸いです。
1914年、第一次世界大戦が勃発した当時、アルザス地方は、その40年前からドイツ領になっていました。山並みがブルーの線を描いているように見えるあたりに国境線があり、これが “ヴォージュのブルーライン” と呼ばれています。
フランス軍は、1871年のフランクフルト講和条約で失ったアルザス地方を取り戻そうとしましたが容易なことではありませんでした。
標高956メートルほどの頂に登ってみましょう。アルザス地方だけでなくライン川の向こうまで見渡すことができます。当時の攻防の様子がわかるような気がしてきます。フランス軍はドイツ軍が使っていた鉄道を爆撃していたそうです。
麓に下りてみると戦いの跡が今も残されていました。
「左側にはドイツ軍、右側にはフランス軍。両軍は25〜30メートルほど離れて対峙していました」とガイドのジルベールさん。
第一次世界大戦のシンボルとも言える塹壕の跡が残っていました。その塹壕の中に何やらさび付いたR2-D2のようなものが・・・。
「この中にはフランス軍の電話交換手が座っていました。そしてあたりを見張っては、起きたことを逐一上司に連絡していたのです」
中はこんな感じ。
「確かにここからは360℃見渡せるようになってますが、身動きできませんね。それにかなり寒い」と旅人。
しかもこの鉄のボックスには弾痕の跡がいつもありました。幸い貫通はしなかったようです。
またフランス軍は山の頂まで木製の屋根付き塹壕を掘っていました。ドイツ軍の方はもう少し頑丈な塹壕を作っていたようです。この戦いで1万人が命を落としたそうです。
この悲惨な戦いの慰霊のために作られたのがMemorial Hartmannswillerkopfです(青印)。このアールデコ調の記念館に入ってみましょう。中央には彫刻家アントワーヌ・ブールデルの作品が飾ってあります。
2014年のオープン以来、数多くの人々が見学に訪れています。館内ではフランスの視点とドイツの視点の両方から第一次世界大戦をわかりやすく紹介しているそうです。
100年ほど前までは戦場となっていたブルーラインも今はこんなのんびりした風景に変わっています。
放牧された乳牛から作られているのがマンステールチーズ。ここはFerme-auberge du Kohlschlag(オレンジ印)。3世代にわたってチーズ作りが続いてきた農家です。
「1キロのマンステールを作るのに8〜10リットルの牛乳が必要です」とエロワさん。
熟成期間は21日間ほど。その間、二日おきにひっくり返し、塩水で洗います。施設内にはオーベルジュがあり、地元の料理をいただきます。
お腹がいっぱいになったら腹ごなしに山道をサイクリング。ヴォージュ山地で最も高い場所グラン・バロン(Grand-Ballon)に向かって走ります(緑印)。もちろん電動アシストなので楽々です。
「この道は第一次世界大戦の時にフランス軍が作ったものです。全長約25キロほどあります」とガイドさん。
頂上まではまだ数百メートルあるようですが、これくらいにしてそろそろ今晩の宿Luxhofへ向かいましょう(赤印)。村の教会の斜向かいにある、18世紀の家を改築した民宿が今晩の宿。広々としたお部屋の窓の下を小川が流れています。朝食付きでたったの49ユーロ。
翌朝は、近くの岩山へ。ここにも大戦の跡が残っていました。
「この岩山をフランス軍から奪還するためにドイツ軍は4時間の間に約25,000発の砲弾を撃ち込んできたんです」とガイドさん。
25,000発とはすごいですね。雨あられとはこのことか・・・。
そしてこの岩山には全長50メートルほどのトンネルが掘られていました。
さて、第一次世界大戦を振り返る今回の旅の費用は、戦場跡見学が8ユーロ、記念館の入場料が5ユーロ、食事が23ユーロ、自転車のレンタル料が半日で13ユーロ、宿泊代が49ユーロ、岩山見学が10ユーロで、締めて108ユーロ(約14,000円)でした。
******* フランス人のつぶやき *******
「今日、私は中学でドイツ語の教師をしている。ホロコーストの話をしていると生徒の一人が手を上げていった。『先生、ローコーストって、費用が高くない時に使うんじゃないですか?』」
VDM(Vie de Merde)より
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