カウベル作り [アキテーヌ地方]
暖かい季節になって、そろそろ牧場ですごしていた牛や羊たちが天然の草を求めて山に大移動する時期になりました。
山で過ごす牛に必要になるのが、首から下げるカウベル。
フランス南部、スペイン国境に近い小さな村で、このカウベルを手作りする工房があります。
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映像が途切れ途切れになってしまう皆さん、どうも映像の読み込みと再生の速度がうまく噛み合ないのが問題のようです。解決策として、本編が始まったところで一旦ポーズボタンをクリックし再生を止め、映像を読み込むまでしばらく待ちます。ある程度映像を読み込んだところで、もう一度再生ボタンをクリックすると途切れずに見ることができるようになります。少し手間ですが試していただけると幸いです。
村のそばを流れるのはポー川。遠くには雪をかぶったピレネーの山々が見えます。
山の麓にある工房を訪ねました。こちらはカウベル職人のモリスさん、84才。そのうちの60年をこの工房で過ごしてきました。
この平ったい金属板をハンマーで叩きながら形作っていきます。仕上がるまでには長い時間と根気が必要です。しかも、いい音色になるように作り上げなくてはなりません。
これが出来上がると、次は息子さんのニコラさんの登場。この型に入れて焼き上げます。
この工房、10世代に渡って一族に引き継がれてきました。ニコラさんが10代目。作り方は創業当時と変わらないそうです。
鋼のカウベルをこの粘土の型にいれて高温で焼くと黄銅と混り合うとか。
1000℃に熱せられた窯の中に2時間ほど入れたら取り出します。中から出てきたベルはあの聞き慣れた音を出すようになります。
しかし、発注者の注文に合わせてこれから微調整が必要になります。どうも美しいハーモニーを奏でるように一つ一つ作らなくてはならないらしい。
最後の仕上げはモリスさんがOKを出すまで続きます。そうなるとカウベルづくりは耳もよくなくてはならないですね。
おお、そのベルを付けて牛が移動をはじめました。このカオスのような音。一頭一頭音色が違うようです。
このベルのおかげで群れの牛を見失うことなく山で放牧できるというわけです。
******* フランス人のつぶやき *******
「今日、彼に小さな鈴を渡した。私といちゃいちゃしたくなったら鳴らしてもらう。あれから6ヶ月になるが、一度も鈴がなったことがない」
VDM(Vie de Merde)より