ローカル線の小さな旅2 その2 [オーヴェルニュ地方]
シリーズの二回目は、フランス中央山岳地帯の南部にある峡谷を走るローカル線です。
ロゼール県のランゴーニュ(Langogne)(下記地図の青印)とオート=ロワール県のランジャック(Langeac)(赤印)を結ぶ列車は、ロワール川の支流であるアリエ川(Allier)に寄り添うように走っていきます。
下記ウィンドウの▸をクリックして番組をご覧下さい。(フランスのTV局TF1で2016年8月2日に放送)
ランジャックの駅。峡谷を走る列車にお客様方が乗り込んできます。
車内はこんな感じ。賑やかですね。
まず現れたのが小さな村サン=ジュリアン=デ=シャズ(Saint-Julien-des-Chases)(オレンジ印)。
そして、アリエ川の向こう岸に見えるのがサント=マリー=デ=シャズ礼拝堂(紫印)。13世紀に建てられた教会です。
この列車、ガイドさんが車内放送で見どころを教えてくれるようです。
「まもなく、峡谷の左手、高いところにお城が見えてきます」
列車はガイドさんの説明に合わせて時速10?30キロに調整しながら走るそうです。
「人や車が入れないようなところを走って、美しい景色が楽しめるのでとても楽しいです」と男性。
「小さな村をいくつも通って走るのがいいですね。それに峡谷の素晴らしい眺めが満喫できます」と女性。
アリエ峡谷にアクセスできるのはこの鉄道だけ。建設されたのは1860年のことでした。
中央山岳地帯を通ってパリと地中海を結ぶという壮大な計画のもと建設されたそうです。
山の中にレールを引くとなると大変な工事だったに違いありません。
トンネルを数は51、鉄橋の数は16本にも及びます。
「当時はトンネルを掘るのはツルハシでしたから気の遠くなるような作業でした。5000人から6000人の作業員が工事に関わったと言われています」と観光協会の方。
この列車は1960年代のものです。鉄道愛好家たちによって修復されました。
「古い車両でこうして走れるのは嬉しいことです。この列車に乗れば歴史を感じることができます」と運転手のパスカルさん。
パスカルさんは古い車両の保存のために活動する協会の会長さんです。
「速度を上げたり緩めたりしながらのんびりと走る列車に乗るのはいい気分ですね」と男性。
「結局、人間は何も変わらずに生きてるような気がします。年をとった気がしないですよ」と女性。
いくつものアーチが支える鉄橋を走る列車の姿は絵になります。
******** フランス人のつぶやき *******
「今日、人生で初めて優しく男性に起こしてもらった。とは言っても、男性は車掌さん。列車の中で眠り込んでしまったのだった」
VDM (Vie de merde)より
ミュラのコルネ [オーヴェルニュ地方]
9月も下旬になって秋めいてきたとはいうものの、まだまだ日差しは夏。15分も歩けば汗ばみます。
本格的な秋は10月になってからということのようです。
さて、ラグビーのワールドカップ、日本チームの活躍は週が明けてもニュースになっていましたね。自国のチームが勝つとやっぱりうれしいです。
一方、フランスはイタリアに勝って勝ち点4をゲット。順調な滑り出しです。
優勝こそしていないものの、これまで3回決勝まで行っています。
前回は1点差でニュージーランドに優勝を持って行かれてしまっただけに、今回こそはと期待が高まります。
さて本日は、相撲とサッカーを足して二で割ったような激しいスポーツとは一味も二味も異なる、可愛らしいビスケットのお話です。
下記ウィンドウの▸をクリックして番組をご覧下さい。(フランスのTV局TF1で2015年9月21日に放送)
スランス中央山岳地帯の南に位置する小さな村ミュラ(Murat)では、先週末、コルネ(cornet)と呼ばれるビスケットのお祭りが開催されました。
玉子、バター、砂糖、小麦粉、ラム酒を使った生地を鉄板の上に丸く垂らしたらオーブンに入れます。
焼きあがったらこんな風に丸めて冷まします。
こうして40年も前からコルネを作っているのがパティシエのセルジュさんです。
「オーブンから出した直後は熱々で柔らかいですよ。柔らかいうちに丸めて型に立てておくと少しずつ硬くなるんです」
この丸めた形が牛の角のようにみえるところからコルネという名前が付けられました。
そして、中にできた空洞の部分にクリームやフォワグラのムースなどを入れていただきます。
2,000人にも満たない小さな村に大勢の人がコルネを味わいに訪れたそうです。
週末だけで17,000個のコルネが売り切れました。
「母が作ってくれたチュイルというお菓子を思い出しました」と女性。
チュイルはこんなお菓子です→こちら
「小さな村にとって大切なのは名物があることです。コルネと言えば、ああ、そうだミュラ村だ!となるわけです」と男性。
このコルネ、“ミュラのコルネ”で商標登録してあるそうです。
こちらの出店では別のパティシエが親子でミュラのコルネを作っていました。
作り方は代々父から息子へと受け継がれてきました。
「味や食感は昔からずっと変わっていません。カリッとして口の中でとろけますよ」と息子のパティシエ。
子供たちも美味しそうに並んで食べていました。
******** フランス人のつぶやき *******
「今日、ビスケットを食べながらテーブルをスポンジで拭いた。ビスケットをパクリ、スポンジをスイ〜。ビスケットをパクリ、スポンジをスイ〜。ビスケットをパクリ、スポンジをスイ〜。スポンジをパクリ、ビスケットをスイ〜」
VDM (Vie de merde)より
フランスの最も美しい村2 その4 [オーヴェルニュ地方]
シリーズの四回目は、フランス中央部オーヴェルニュ地方の小さな村サン=フロレ(Saint-Floret)を訪ねます。(下記地図の黄印)。
下記ウィンドウの▸をクリックして番組をご覧下さい。(フランスのTV局TF1で2014年4月17日に放送)(▸をクリックしても画像が出て来ない場合は、ウィンドウの下の文字をクリック)
映像が途切れ途切れになってしまう皆さん。どうも映像の読み込みと再生の速度がうまく噛み合ないのが問題のようです。解決策として、本編が始まったところで一旦ポーズボタンをクリックし再生を止め、映像を読み込むまでしばらく待ちます。ある程度映像を読み込んだところで、もう一度再生ボタンをクリックすると途切れずに見ることができるようになります。少し手間ですが試していただけると幸いです。
サン=フロレはクーズ・パヴァン川の流れる渓谷にある人口300人足らずの小さな村です。
この日は、ツーリストの団体が観光に訪れていました。現役をリタイアして悠々自適の皆さまがたです。
一緒に村のお宝を拝見することにしましょう。
鍵を開けて入ったところは、13世紀に建てられたサン=フロレ城の天守閣。
ゴシック様式の天井には、“トリスタンとイゾルテ”の物語を描いたフレスコ画があります。
ガイドの方がおっしゃっているように、外の様子からだけでは中にこれほどの傑作があるとは想像もできません。
「僕はいろんなお城を見てきましたが、こんなに素晴らしい壁画を見たのは初めてです」と男性。
こんなお宝のある村ですが、一度は消えかけたこともありました。
1944年、6月30日、レジスタンスへの報復としてドイツ空軍が行った空爆で、40戸の家が破壊され、村人20人が犠牲になりました。
この中にマギーさんのお祖父さんもいたそうです。
マギーさん、現在、サン=フロレの村長を務めています。そして、村の改造計画を推進しています。
「子どもたちのための遊戯室ができる予定です。そして、村の歴史を伝える記念館も作る予定です」とマギーさん。
村を支える人たちの中には、ここで生まれ、ここで暮らし、ここで働くことを選んだ、リンゴ農家のジョエルさんのような人もいます。
「村とは切っても切れない絆があるんです」
そうかと思えば、創作の場を求めて外からこの村にやってきた人もいます。
それが彫刻家のジャン=ポールさん。
「ここには、空気、水、色、季節があり、生きるために必要なものすべてがあります」
この村にはミネラル水が湧き出ているそうです。その水が天然の彫刻を作り出しています。
「ちょっと鍾乳洞のようでしょう。冬には水が凍ってつららになっていますよ」と科学者のステファヌさん。
ミネラル水の研究をしているそうです。
丘の上にあるのはシャステル教会。教会のそばにはお墓があります。
昔、ここで暮らしていた村人たちは、岩の中に穴を掘って遺体をおさめていたそうです。その跡が今でも残っています。
様々なお宝のあるサン=フロレ。観光するのに数時間は必要だそうです。
******** フランス人のつぶやき *******
「今日、ロウソクの明かりでシャワーにかかった。ロマンチック???とんでもない。ひとりぼっちで、停電の中、暖房もなく、お湯の代わりに水・・・」
VDM (Vie de merde)より
ミステリーゾーン その4 [オーヴェルニュ地方]
シリーズの四回目は、フランス中部オーヴェルニュ地方の小さな村ヴォース(Veauce)を訪ねます(下記地図の黄印)。
人口はなんと40人ほど。しかし、観光客を引き止めるには十分に魅力的なお城があります。
下記ウィンドウの▸をクリックして番組をご覧下さい。(フランスのTV局TF1で2013年11月7日に放送)(▸をクリックしても該当の映像が出てこない場合や、直接TF1のサイトでご覧になりたい方は→こちら)
アーチの門をくぐってしばらく歩くと、お城がみえてきます。中世の趣を残したヴォース城です。
ここに登場するのがルーシーという名の亡霊。
ルーシーは若くて美しい召使い。
貧しい貴族の娘で、ギ・ドゥ・ダイヨン公爵の目にとまりお城勤めをすることになりました。16世紀頃のお話です。
ある日、公爵が戦争で城を出発すると、嫉妬に駆られた公爵夫人はルーシーを塔の牢屋に閉じ込めてしまいます。
ルーシーはそのまま飢えと寒さと恐怖の中で死んでしまいます。そして、夜になると亡霊となって現れるのでした。
お城の保存会の方が、亡霊が現れたと言う場所と牢屋を案内してくれました。
薄暗い小部屋の窓には枯れ葉と蜘蛛の巣。嫌が応にも不気味なムードが漂います。
実際、かつてのお城の所有者たちは何かがいると感じたそうです。
1980年代にはルーシーの話が注目を浴び、フランスのラジオ局が取材に訪れて大きな話題になったりしたようです。
「私は亡霊を見たわけでもありませんし、信じているわけでもありませんが、こんな話で盛り上がるのは楽しいことだと言うべきでしょうね」と保存会のジャン=クロードさん。
人口40人という小さな村には似つかわしくないりっぱなお城ですが、11世紀に建てられ、19世紀までに何回か改築されています。
3つの塔があり、それを結ぶ一本の廊下があり、ルーシーが夜な夜な現れると言われているのがこの廊下です。
しかし、科学的に亡霊がいると証明されたわけではありません。
うわさ話に尾ひれがついて、ついに亡霊にまで発展していったのかもしれません。
次回はアルザス地方のミステリーゾーンを訪ねます。
******** フランス人のつぶやき *******
「今日、バカンスで祖母と一緒の部屋に泊まることになった。祖母は毎朝5時半に起きる。そんな時間に起こされたらいやだなと思っていたら、とんでもなかった。祖母は寝てる間中いびきをかくので私は夜通し眠れない。眠れるのは5時半になってからだった」
VDM (Vie de merde)より
フランスの最も美しい村 その1 [オーヴェルニュ地方]
今や150あまりの村が「フランスの最も美しい村」に登録されているそうですが、今日からそのうちの5つを5回のシリーズで訪ねます。
第一回目の今日は、フランス中央山岳地帯カンタル県の小さな村サレール(Salers)。
村には、15世紀から16世紀にかけて立てられ、文化財に指定されている建物が数多く残されています。
下記ウィンドウの▸をクリックして番組をご覧下さい。(フランスのTV局TF1で2013年4月22日に放送)(▸をクリックしても該当の映像が出てこない場合や、直接TF1のサイトでご覧になりたい方は→こちら)
21世紀とも思えない村の佇まい。中世で時間が止まったように見えます。
村の人口は300人ほどですが、訪れる観光客の数は年間40万人にもなります。
「サレールは牛とチーズで有名ですからねえ」と村人。
サレール種の牛とその牛乳で作られるチーズはよく知られています。
しかし、観光客を引きつけるのはそれだけではありません。古い石造りの建物が魅力的です。
この辺りは昔は火山地帯。溶岩からできた石が豊富でした。多くの建物がその石で出来ています。
「ここは良いところですよ。眺めも素晴らしいです。ストレスなんてありませんから長生きできますよ」と村人。
お話によると、この村には105歳、102歳になる高齢者がいらっしゃるようです。
訪ねたのはMaison de la Ronade(ロナード家の家)と呼ばれる村で一番古い建物。1356年に立てられました。
ロナード家は、代々サレールの裁判所に司法官を輩出してきた家柄。
この家には今でもロナード家のご子孫がお住まいになっているとか。その方が部屋を案内してくれたフィリップさん。
展示室には、昔、この地方の女性がかぶっていた帽子や宝飾品の数々が並んでいました。
そして村の市場。特産品の有名なチーズ “サレール”が並んでいます。
「このチーズは牧草だけを食べた牛の乳で作られています。主にサレール種の牛ですが、それだけというわけではありません」とお店の方。
牧場ではサレー種の牛が大切に育てられていました。
昔からのやり方で、子牛と一緒に育てられるそうです。
もともとは農作業のために農家に飼われていた牛ですが、今では乳牛として、また食肉用の牛としてよく知られています。
チーズはハードタイプで非加熱圧搾。こうして週に一回ひっくり返すそうです。熟成期間は少なくとも90日。長くて1年ちょっと。
そして雄牛は、年に2回、競りが行われます。参加者はどの人も真剣な表情でした。
******** フランス人のつぶやき *******
「今日、雨の中を道に迷って3時間も車を走らせた。村から村へと道を尋ね、やっと自宅の前にたどり着いた時、今まで眠っていたカーナビが突然目を覚まししゃべり出した。『GPSに接続・・・・・目的地までの距離は・・・・目的地に到着しました』」
VDM (Vie de merde)より
ル・ピュイ=アン=ヴレ [オーヴェルニュ地方]
フランス中央山岳地帯の南部に位置するオート・ロワール県の県庁所在地ル・ピュイ=アン=ヴレ。
サンティアゴ・デ・コンポステーラへの巡礼路の一つであり、有数の観光地でもあります。
今日はこの町を訪ねます。
下記ウィンドウの▸をクリックして番組をご覧下さい。(フランスのTV局TF1で2013年2月10日に放送)(▸をクリックしても該当の映像が出てこない場合や、直接TF1のサイトでご覧になりたい方は→こちら)
県庁所在地でありながら、人口は19,000人ほど。
坂に出来た町には二つの大きな岩山がそびえ立っています。
その一つに赤茶けた色の大きな聖母子像が立っています。1860年に、クリミア戦争で使われたロシアの大砲から作られました。
中には螺旋階段があり、ちょうど星形の冠の所まで上がることができます。
もう一つの岩山には、サン=ミッシェル礼拝堂(Chapelle Saint-Michel d'Aiguilhe)があります。
高さ82メートルの岩山に設置された268段の階段を上がると、美しい礼拝堂のファサードが出迎えてくれます。入り口を入ってすぐの天井には、巡礼者を守ってくれる神の手が描かれていました。
礼拝堂が建てられたのは10世紀。岩山から掘り出された美しい彫刻のようにも見えます。
さて、坂の多いピュイ=アン=ヴレの町では郵便屋さんがちょっと大変そうです。坂をのぼったり下ったりしながら郵便物を配達するそうです。それにしては体格のよさそうな方でした。
町の広場では日曜日に市が立ち、この地方の特産品を味わうことができます。
まずはアルティゾン(Artison)と呼ばれるチーズ。牛乳から作られた非加熱圧搾タイプ。ダニをチーズの回りにくっ付けて熟成させるという独特な作り方です。ダニは回りだけを食べて中までは入り込まないそうです。
もう一つの名産品がレンズ豆。AOC付きです。この火山地帯で作られた豆はでんぷん質が少なく火の通りがいいそうです。
町の博物館Hôtel Dieuはかつて病院だったところ。昔の薬や薬を作るための道具が保存されています。
銅の鍋は花の香りのついた水を作る道具です。薬剤の保存されているたくさんの引き出しの中から出て来たのは牡鹿の角。下痢止めに使ったようです。
台湾から来たという観光客が写真に納めていたのが、丘の上に立つノートル=ダム大聖堂。ユネスコ世界遺産の一つです。
黒いマリア像はフランス革命で燃えてしまった後に復元されたもの。これを見に来る観光客は年間10,000人ほど。
そして、ここには世界に一つしかない装置が施されています。床板が上がって、新しい入り口が見えてきました。
坂の頂上に作られた大聖堂は、入り口と内陣の高さがちょうど一階と二階分くらい違っているようです。外から入って来た人がスムーズに内陣へと進めるようにしたのがこの第二の入り口です。
一度だけここに行ったことがありますが、入り口の作りが少し複雑になっていたような記憶があります。こんな仕掛けになっていたのですね。
大聖堂の入り口から眼下に見える町の風景が印象的でした。
******** フランス人のつぶやき *******
「今日、医大生になったばかりです。ものすごいプレッシャーで押し潰れそうになっていたところ、手紙を配達してくれた郵便屋に思わず涙がこぼれた」
VDM (Vie de merde)より
秋の訪れ [オーヴェルニュ地方]
明日は秋分の日。しかし、まだまだ暑い日が続きますね。30℃以上の日がなくなってくれるとだいぶ楽になるのですが、なかなかなくなってくれません。
そんな日本ですが、フランスでは秋の味覚のセープ茸の収穫が始まりました。
下記ウィンドウの▸をクリックして番組をご覧下さい。
ここは、中央山岳地帯のマルジュリッドと呼ばれる地域。
霧の中をエリックさんがセープ茸を探しにやってきました。服装からして完全に秋。
大きなセープ茸がみつかりました。森の中を目を凝らしながら歩き回っていると見つかるそうです。
この地域ではシーズン中、数トンのセープ茸が収穫されるとか。
自宅で食べてしまう人もいますが、大きな収入源になっている人もいます。
「自分たちでは食べきれないほど穫れた時は、こうやって売るんですよ」と男性。
だいたい1キロで7ユーロほどが収穫した人のお財布に入るそうです。ということは、ちょっとしたお昼代くらいにはなりそうです。
キノコと言えば、いちばんポピュラーなのがオムレツ。美味しそうな一皿になっていました。
そして今日はもう一つ涼しい映像を。
下記ウィンドウの▸をクリックして番組をご覧下さい。(フランスのTV局TF1で2012年9月20日に放送)(▸をクリックしても該当の映像が出てこない場合や、直接TF1のサイトでご覧になりたい方は→こちら)
こちらも中央山岳地帯。オーベルニュ地方に初霜です。
この日の朝はマイナス3℃まで気温が下がりました。
突然の初霜だったようです。涼しいというより寒いといった風情。美しい風景です。
山を下りると市が始まっていました。この時の気温は5℃!
寒さに慣れているせいなのか、皆さん淡々とした表情です。
お肉屋さんによると、今までは野外でバーベキューだったのが、煮込み料理へと変わっているそうです。
カフェには出勤前のコーヒーをテラスで飲む人もいます。
予報によると、午後からは晴天で気温は20℃まで上昇することになっているそうです。
******** フランス人のつぶやき *******
「今日、3℃しかなかった部屋の温度を上げることができた。とは言っても、暖房を入れたわけではありません。ヘアドライヤーのおかげ。今、11℃まで上昇」
VDM (Vie de merde)より
春の味覚のキノコ [オーヴェルニュ地方]
フランスの大統領を決める決選投票がいよいよ始まりました。
サルコジ、オランド両氏はすでに投票をすませたようです。
午後5時の時点で投票率は約72%。一回目よりやや上回っているそうです。
24時間ライブ放送を行っているネットTV局BFMTVは、今日はその24時間すべてを大統領選の特別番組にして放送しています。興味のある方は→こちらをご覧下さい。
結果が分かるのは日本では7日の早朝になりそうです。
さて、本日の話題は、春の味覚のキノコです。
キノコと言えば秋ですが、今日紹介するキノコは春が旬。フランス料理に良く登場するモリーユ茸です。
なかなか簡単に手に入るものではないらしく、1キロ30〜50ユーロの高値で取引されているそうです。
フランス中部カンタル県の小さな町のキノコ狩りに付いて行ってみましょう。
下記ウィンドウの▸をクリックして番組をご覧下さい。(フランスのTV局TF1で2012年4月28日に放送)(▸をクリックしても該当の映像が出てこない場合や、直接TF1のサイトでご覧になりたい方は→こちら)
森の中へと入って行くアランさんとダニエルさん。
もう20年も前からモリーユ茸を穫っています。
貴重なキノコとなれば、穫れる場所は仲間にも秘密です。ユリーユ茸がたくさんあればあるほど、友人は少なくなるとか。
道なき道を入ってしばらくすると、小さいのがみつかりました。
アランさんの説明によると、同じモリーユ茸でもいくつか種類があるようです。
アランさんが右手に持っている方が高級品に入るモリーユ茸です。
左手のは少し形が違っていますが、こちらもそれなりにおいしいそうです。
傾斜のある森の中を歩き回ってキノコを探し出すのは一仕事。
ダニエルさん、尻餅をついてしまったみたいです。
しかし、なかなか見つからないからこそ、見つかった時の喜びもひとしおです。
2時間ほど歩き回って収穫したモリーユ茸は、生クリームのソースとあえていただきます。
お二人とも満足げでした。
******** フランス人のつぶやき *******
「今日、お騒がせな投票日になってしまった。投票用紙に候補者の名前を書こうとボックスに入ってカーテンを閉めたとたん、スチール製のボックスがものすごい音を立てて倒れて来たのだ」
VDM (Vie de merde)より
フランスの湯治場巡り その1 [オーヴェルニュ地方]
今日からフランスの各地にある湯治場を訪ねるシリーズを始めます。
第一回目の今日は、フランス中部アリエ県の湯治場ブルボン=ラルシャンボー。
下記ウィンドウの▸をクリックして番組をご覧下さい。(フランスのTV局TF1で2012年4月16日に放送)(▸をクリックしても該当の映像が出てこない場合や、直接TF1のサイトでご覧になりたい方は→こちら)
フレスコ画とタイルで装飾のほどこされた見事な建物は、ブルボン=ラウシャンボーの湯治施設。文化財の指定を受けています。
その温泉は古代からリューマチに効くことで知られていました。源泉の温度は55℃。
「編み物もできないくらいだったのが、ここに来てこのとおり。あまりの回復ぶりに驚いてますよ」と湯治中の女性。
湯治の一つがスチームを使った療法。
「ここに来たばかりの時は、歩くこともできなかったのが、今は、少なくとは1時間は歩けるようになりました」と全身スチームの男性。
手だけをスチームの中に入れるのもあります。
「こうしていると手が楽になります。曲がっていた指もまっすぐになりますよ」と女性。
ベッドでの治療は温湿布。痛みを和らげます。
「3週間、静かな環境で治療を受け、休養を取った後は、もう薬のお世話にならずに済みます」と女性。
中央山岳部の地下奥深くにある火山台地で暖められたミネラルの豊富な地下水がここの源泉です。
「結局、温泉治療は経済的なんですよ。ここで3年ほど治療すれば、薬の量を減らすことができますし、仕事を休んだり病院に行く回数も減らせます」とリューマチの専門医。
かつてこの地域はブルボン家の領地でした。
ブルボン家のお風呂と言ってもいいくらいのこの温泉には、昔から多くの人が湯治にやって来ていたようです。
その中には、ルイ14世の愛人モンテスパン侯爵夫人や、書簡作家セヴィニェ侯爵夫人、さらには18世紀から19世紀にかけて活躍したフランスの政治家タレーランもいたそうです。
タレーランはHôtel Montespanに滞在してリューマチの治療に来ていたそうです。
ホテルのご主人が見せてくれたのが、タレーランが滞在した部屋。
湯治客は、午前中に施設で一通りのケアを受けたら、午後はこの地方のグルメを味わい、観光に出かけます。
ブルボン=ラルシャンボーはかつては城塞都市でした。19世紀にほとんどの城塞が崩されてしまいましたが、3つの塔がかろうじて残されています。
そして、サン=ジョルジュ教会には、サン=ルイの息子が十字軍で持ち帰った聖遺物が納められているそうです。
聖遺物とは、キリストがかぶっていた荊の冠の棘の一本。ガラスの中に納められていました。
もう一つは、キリストの磔刑に使われた十字架の木で作られた十字架です。
ここにはギターの工房もあります。
「あまり知られていない職業ですからねえ。こうやって湯治客の皆さんに興味を持ってもらえるのは光栄です」と職人さん。
確かに、こんな生活を何日が続けていたら、心身ともに健康になりそうです。
******** フランス人のつぶやき *******
「今日、下着姿でバスルームいる娘に言った。『やっぱりDNAねえ。体型が私とそっくり』娘はもう30分も前から泣きっぱなし......」
VDM (Vie de merde)より
カンタル県の温泉の出る村 [オーヴェルニュ地方]
フランス中南部カンタル県のショード=ゼグ村(Chaudes=Aigues)は、人口1,000人ほどの、山に囲まれた小さな村。これといって人目を引くようなものはありませんが、熱い温泉がこの村のお宝です。村の名前のショードは「熱い」という意味。
温泉の湧き出ている場所は30カ所ほどありますが、中でもパルの湯(source du Par)が最も有名です。
下記ウィンドウの▶をクリックして番組をご覧下さい。(フランスのTV局TF1で2010年6月23日に放送)(▶をクリックしても該当の映像が出てこない場合や、直接TF1のサイトでご覧になりたい方は→こちら)
勢いよく流れ出るお湯。どれくらい熱いのか知りたくなるのが人情。でも、油断するとやけどしかねません。地下5キロから湧き出るお湯の温度は82度。
15世紀に書かれた文書から、当時、病に苦しんでいた人たちがこの村に湯治に訪れていたことが確認されています。
効能は、主にリューマチや変形性膝関節症。
村にある肉屋さんは六代にわたって同じ家族が経営してきた老舗です。できるだけ良い肉をお客さんに提供するというのがモットー。分厚いお肉はTボーンでしょうか?
保養に欠かせないのはお湯だけではありません。おいしい料理もその一つ。
登場したのはレストランSerge Vieira。開店からほどなくしてミシュランの星一つを獲得しました。なにしろこのシェフ、2005年の料理の世界選手権でボキューズ・ドールを獲得した方のようです。
ここは村の高台にある中世のお城クフール城(Château de Couffour)を改築して作られたレストラン付きホテルです。
最初に城が造られたのは14世紀頃。革命時から19世紀までの間は手入れもされず放棄され傷みが激しく、2008年になってやっと修復が行われ今に至っています。そして、城の塔は文化財に指定されているそうです。
このレストランにあの美味しそうな牛肉を提供していた牧場も登場しました。
村の各通りには、800年も前から守護聖人の像が掲げられています。こうしておけば安心して暮らせるということでしょうか?
そして、古い共同洗濯場も残っています。もちろん温泉のお湯を使います。
なんだかもったいない気がしますね。日本だったら、共同浴場になるところです。
しかし、温泉を使うようになったのは1929年とわりに最近のことだそうです。源泉からここまでに2つの貯水槽を通り、ここへ到着するころには62度ほどになっているとか。主に毛糸を洗濯したそうです。
唐突に登場した赤い鉄骨の高架橋ガラビ橋は、1884年、あのエッフェルの会社が造ったもの。村の近くを流れるトゥルイエール川を40キロほど北上したところにかかっています。列車が走っているところを見ると今も現役のようです。
この村の温泉は湯治のためだけではなく、住居の床暖房にも利用されています。
あるお宅の床のタイルをはがしてみると、下を温泉が流れていました。このおかげで、年間2,000ユーロ(約24万円)ほどの節約になっているそうです。
最後に登場したカフェ。壁の絵は200年も前のもの。あまりの保存状態の良さに驚きです。そして、カウンターで用意されていたミドリ色の飲み物は、あのアブサンでした。(アブサンに興味のあるかたは過去記事をどうぞ→こちら)
今回も上記地図に番組に登場した場所に印をつけました。時間と興味のある方はストリートビューでお楽しみください。
******** フランス人のつぶやき *******
「今日、高級イタリア料理店で食事をした。お皿の中のパスタの数を数えることができたのは、今日がはじめてだった」
VDM (Vie de merde)より