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ロワール県の小さな村 その1 〜サン=ジャン=サン=モリス=シュル=ロワール〜 [ローヌ=アルプ地方]

 今日から4回のシリーズでロワール県にある小さな村を訪ねます。
 訪ねる村は全部で4つ。
Paris_Loirevillage.jpg   Loire-villages01.jpg
 第一回目は、サン=ジャン=サン=モリス=シュル=ロワール(Saint-Jean-Saint-Maurice-sur-Loire)です。
st-maurice.jpg


 なぜにこのような長い名前に???と思ったら、サン=ジャンという村とサン=モリスという村が合併したからだそうです。これなら合併しても村の名前は残ります。

 人口は1,100人足らず。

 ロワール川の中に作られた人工湖ヴィルレスト湖(Lac de Villerest)の岸辺にある村です。地図で確認しても、どこまでが湖なのかどこからが川なのかよく分かりませんが……。


 釣り人にとっては格好の釣り場。朝早くにボートを出せば、辺りは霧に覆われています。ここから数キロ南に下れば、13世紀に立てられたと言われるお城シャトー・ド・ラ・ロッシュ(Chateau de la Roche)が見えてきます。霧の中に現れる城の姿に、一瞬、中世に迷い込んでしまったかのような錯覚に陥ります。


 釣りを終えて村に戻ると、村のてっぺんにある塔が見えてきます。11世紀に立てられた塔で、ここからロワール川と湖の岸辺にある村の全景が見渡せます。


 村には保存状態のよい13世紀の教会があります。1999年に左官が外装の漆喰をはがしたところ、古い窓が見つかり、その窓に聖ヤコブの美しいフレスコ画が描かれていたそうです。


 また、村に一軒しかない商店は、食料品屋、カフェ、パン屋、郵便局など、なん役もこなし、朝の6時半から夜の12時までフル営業。村の大切な社交の場にもなっています。

 では動画をご覧ください。


 映像は→こちら

 霧の中に見えていた城シャトー・ド・ラ・ロッシュは、お天気のいい日にはこんな感じです。

Chateau_de_La_Roche.jpg

 

 13世紀頃に敵の監視と通行税の徴収のために立てられた城でしたが、川の増水により何度も被害を受け、17世紀頃から数世紀に渡って放置されたままになっていました。1900年頃にある企業家がゴシック様式に改修しセカンドハウスとして使っていましたが、1930年代になり、ロワール川ダム化計画で湖の底に沈む可能性が出て来たため、建物は略奪の憂き目にあい、より傷みは激しくなります。しかし、最終的にはこの地域のコミューンによってタダ同然で買い取られます。


 ロワール川のダム化は1984年に完成し、これによりヴィルレスト湖が生まれます。城は水中に没することにはならず、現在は島の上に立っています。1996年にさらなる修復が行われ今の形になりました。




******** フランス人のつぶやき *******

「今日、湖の岸辺で釣りを始めてから5日目になる。ここはキャンプも釣りも禁止。私は密かにテントを張り、火は焚かず、迷彩服を着て、隠れていた。夕方6時、すぐそばに若者7人がやってきて、やおらテントを張り、キャンプファイアーを囲んで、ギターやアフリカの太鼓をたたきはじめた

[がく~(落胆した顔)]

VDM (Vie de merde)より


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コメント 8

orange

周囲に現代を感じさせるものがないので、確かにふと
遥か中世の頃にタイムスリップしたかのような気持ちになる
でしょうね。特に霧など出ていると。
長いバケットが美味しそうでした^^。
友人が住んでいる村でもパン屋さんが車でパンを
持ってきてくれていました。
by orange (2010-11-04 00:34) 

carotte

orangeさん
天気のせいか、映像がかなりセピアカラーしてました。
それとも意図的だったのかもしれません。
バゲットはかなり長かったですね。
あのお兄さん、配達ついでにお年寄りとおしゃべりしていくらしいです。
by carotte (2010-11-04 19:04) 

wattana

carotteさん、映像に出てきた Bar Gourmandises du Donjon というお店はデリバリーサービス(イートインもできる?)がある総合食料品店(パン、ケーキ、食材など)のようなお店ですか?
by wattana (2010-11-04 19:44) 

carotte

wattanaさん
そのようです。どのような料理かは分かりませんが、食べ物も出すようです。ただし、配達は、ケイタリングサービス(お料理の配達)ではなく、単なる食料品の配達だと思います。ナレーションでは、お店まで来られない人のところにパンを配達していると言っています。
by carotte (2010-11-04 23:07) 

wattana

carotteさんの記事「牧草を求めて出発!」を読んだ時、気になったことがありました。それは何かと言うと、ラギオールのソムリエ・ナイフに関する記事をどこかで読んだという記憶があったのですが、どの本、どの雑誌なのかどうしても思いだせなかったので、とても気になっていました。
それが半年近く経った先ほど、「〔フランス〕小さな街物語」(吉村葉子・文、宇田川悟・写真、JTB発行)という本に、~ライヨール村のソムリエ・ナイフ~という項があるのを発見しました。~ロワール県の小さな村~シリーズに登場する村が載っていないかとチェックするために本棚から取り出した本です。
・・・年齢とともに記憶力が落ちるということを最近痛感しています。
by wattana (2010-11-06 08:26) 

carotte

wattanaさん
パソコンだったら検索をかければ見つかるのも早いですが、本となると自力で探さないといけないので大変です。写真も同じですね。
探し始めると大掃除のようなことになってしまったり........。図書館みたいにきちんと整理しておけばいいのでしょうけど、そうこまでは出来ませんから ^^;
でも、忘れてしまったわけじゃなく、頭のどこかには残っているということなんですね。
by carotte (2010-11-06 09:56) 

opas10

霧の中にお城が姿を現わす様子には、本当に時間の感覚がどこかへ行ってしまうような、不思議な感じがしますね。一瞬だけ映った石壁の民家の丸窓が、手掘りっぽくて歴史を感じました。
by opas10 (2010-11-07 12:04) 

carotte

opas10さん
ああいう風景が残っているんですよね。
水の中に沈まないで良かったです。
石を切り取ったあの丸窓ですね。風情があります。
by carotte (2010-11-07 14:11) 

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