サンティアゴ・デ・コンポステラ その5 [サンティアゴ巡礼]
シリーズも最後になりました。スペイン側の巡礼路をど〜んと飛ばして、巡礼者はいよいよ終着地サンティアゴ・デ・コンポステラに到着します。折しも今日7月25日は聖ヤコブの日です。
つらく長い道のりを経てこの大聖堂に到着した巡礼者は、幸せと加護を願いながら聖ヤコブの像に口づけます。そして、その遺骸が眠るという棺に祈りを捧げます。
コンポステラから約16キロほど南に下ったところにパドロン(Padròn)という町があります。
ここに聖ヤコブ教会がありますが、聖ヤコブがスペインで初めて福音をしたのはこの町だったと伝えられています。そして、この教会の祭壇の下には、聖ヤコブがパレスチナからこの町まで乗ったとされる小舟が舫であった石が祀られています。
余談ですが、パドロンは唐辛子の産地で知られているそうです。
12世紀頃からヨーロッパの中心都市になったサンチャゴ・デ・コンポステラ。ここで行われるbotafumeiroの儀式(大きな香炉に香を焚きブランコのように揺らす)は有名ですが、特別な礼拝式の時や、今年のように聖ヤコブの日である7月25日が日曜日になる年なら毎日、この儀式が行われるそうです。
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毎年、百万人近くの巡礼者がこの地に集まるそうです。ここまで来るにはうまく自然と折り合っていかなくてはなりません。雨の中を町も村もないような道を延々と歩かなくてはならない日もあります。神と向き合い、自分の生き方を考えるよい機会になったという巡礼者もいます。コンポステラに到着した時の喜びが笑顔になる人もいれば涙になってしまう人もいます。
各巡礼地でスタンプを押してもらった巡礼カードを担当の窓口にもっていけば、巡礼を成し遂げた証明書であるCompostelaを発行してもらえます。ただし、このためには、少なくともコンポステラの手前100キロから歩くか馬で来るか、または少なくとも手前200キロから自転車で来るかしていなければならないそうです。たとえ、ヘルシンキからコンポステラ手前100キロのところまで歩いても、その後、疲れて車に乗ってしまえば、Compostelaはもらえません。なんだかちょっと理不尽な感じもしますが.......。
サンティアゴ・デ・コンポステラ その4 [サンティアゴ巡礼]
シリーズの四日目は、パリが起点となる「トゥールの道」です。ここでは、ピレネーを超えてスペインへと向かう巡礼者の様子を紹介します。
巡礼者がフランスで最後の休息を取るのがサン=ジャン=ピエ=ド=ポール(Saint-Jean-Pied-de-Port)(下記地図のA地点)。「ル・ピュイの道」「リモージュの道」「トゥールの道」を歩いて来た巡礼者は皆、この村のサン・ジャック門を通ることになります。
パリ→サン=ジャン=ピエ=ド=ポール(約780キロ)
サン=ジャン=ピエ=ド=ポール→ロンセスバーリェス(Roncesvalles)
(スペイン側B地点)(約30キロ)
サン=ジャン=ピエ=ド=ポール
(Saint-Jean-Pied-de-Port)
サン・ジャック門
三つの川の合流地点にあるこのバスク地方の小さな村の人口は約1,500人。城壁のある村です。城壁は宗教戦争やスペインとの戦いに備えて12世紀に作られました。その後、要塞の建築で有名な人物ヴォーバンによって強化されました。
ここから峠を越えてスペインに入り、最初の休息地がロンセスバーリェスです(中程の地図のB地点)。この地域は、かつてフランク王国の国王だったカール大帝が兵を進め戦場となったことで有名ですが、今では巡礼者の宿泊地になっています。150人の巡礼者を収容できる大規模な宿泊施設もあります。この中にははるばる日本やカナダからやって来た人もいます。
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日本人の女性が、ピレネーを超えるのに9時間かかってしまったと言っていました。やはり厳しい道のりです。
サンティアゴ・デ・コンポステラ その3 [サンティアゴ巡礼]
シリーズの三日目は、サント=マドレーヌ大聖堂で有名なヴェズレーから出発する「リモージュの道(ヴェズレーの道)」。この巡礼路は一番宗教色が強いかもしれません。
ヴェズレー
(Vezelay)
パリ→アヴァロン(Avallon)(列車で約3時間)
アヴァロン→ヴェズレー(バスで30分)
サント=マドレーヌ大聖堂では毎朝7時のミサの終わりに、希望者があれば、出発前の巡礼者に神の祝福を授けるというのが伝統になっています。
丘の上に大聖堂のファサドが見える
出発して間もなく、聖ヤコブが自分の守護神だというブラジルからやってきた66歳の男性に会いました。今回で7回目の巡礼です。歩いていると最近友人を亡くしたショックも少しずつ和らいで行くそうです。しかし、ヴェズレーからサンティアゴ・デ・コンポステラまでは1,680キロもあります。旅はまだまだ始まったばかり。
巡礼者は長い旅を続けながら様々な町や村を知ることになりますが、ヴェズレーから2キロほどのところにある村サン・ペール(Saint-Père)もその中の一つ。ここには13世紀作られたブルゴーニュ地方の見事なゴシック様式の教会があります。
また、ヴェズレーを始めいくつかの町には、巡礼についてのアドバイスをしてくれるセンターもあります。長時間歩くのはスポーツと同じ。常に水を補給することを忘れてはいけないそうです。結局、一度水を飲むと必ず次も飲みたくなる、まるでドラッグみたいなものだという巡礼者もいます。
自転車で巡礼する人もいます。山を上ったり降りたりのフランスは楽ではなさそうです。ヴェズレーの丘の北側の斜面にあるラ・コルデルの礼拝堂には、巡礼者のつらい心境がつづられているノートがあるそうです。
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ヴェズレーはこの巡礼路の起点ですが、このヴェズレーまで歩いてくる巡礼者もいます。
重いリュックを背に、暑い日差しの中を、さらに山を越えスペインへ向かいます。