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要塞都市 その2 〜 ポール=ルイ 〜 [ブルターニュ地方]

 シリーズの二回目は、ゲランドから100キロ以上北上し、海に突き出た小さな半島にある港町ポール=ルイ(Port-Louis)を訪ねます。

Paris_PortLouis.jpg


 航空写真を見ると、半島の先端に要塞があるのが分かります。また、すこし拡大すると半島の南側に城壁のようなものも見えます。

 地形からも想像できるように、ここは古くから船着き場としての役割を担っていました。中世にはロクペラン(Locpéran)と呼ばれていましたが、1618年、時のフランス王ルイ13世が「ポール=ルイ(「ルイ王の港」の意味)」と名付けました。

 16世紀末、約9年間に渡ってこの地を占領していたスペイン人によってすでに要塞化が始まっていましたが、ルイ13世の命によりさらなる増築が行われました

 ポール=ルイは海の見張り場としては理想的な位置にあります。いち早く敵の姿を確認したら、後方に控える都市ロリアン(Lorient)に警告を送ります。

 下記ウィンドウの▶をクリックして番組をご覧下さい。(フランスのTV局TF1で2011年8月9日放送)(▶をクリックしても該当の映像が出てこない場合や、直接TF1のサイトでご覧になりたい方は→こちら

 

 要塞へは、ロリアンから出る船で向かいます。所要時間は10分ほど。地図では陸からも行けそうですが、海側から上陸すれば要塞の凛々しくも美しい姿を堪能することができます。

 

 その造形美に見とれてしまいますが、戦略的に考え抜かれた上でこのような形になったのでしょうね。

 

portlouicite.jpg

                       (Photo from Wikipedia)

 

 昔は、難所として知れ渡っており、船で上陸するなど考えられなかったようですが、今では観光客が見学に訪れたり、近隣の住人たちが海水浴を楽しんだりと、憩いの場になっています。

 

 要塞は2ヘクタールの岩盤の上に造られています。現在は、海洋博物館(Musée de la Marine)として、主に東インド会社に関するものが展示されています。シーズン中は65,000人ほどの観光客が見学に訪れるそうです。

 

 1664年にフランス王ルイ14世の命により設立された東インド会社。アジアから帰国した船からは、金、銀、香辛料、絹、陶器などがここで荷下ろしされたそうです。この頃がポール=ルイの黄金期だったのかもしれません。

 

 ルイ15世の時代には、月一回の定期便の商船が、こことニューヨークを結びました。アメリカの独立に重要な役割を果たしたラファイエットもここからアメリカへ向かったそうです。

 

 しかし、革命時には他の要塞と同様に、ここも牢獄として使われました。以来、軍事施設としての役割を終え漁港へと町はその姿を変えて行きます。リゾート地として注目され始めたのもこの頃のことでした。

 

 要塞から1キロほど内陸に入るとポール=ルイの町があります。人口は3,000人ほど。毎週火曜日には町の中心に市が立ち、日没まで人でにぎわうそうです。

 

 次回は、キャスターのジャックさんが予告していたように、サン=マロです。

 

 

 

******** フランス人のつぶやき *******


「夏休みの今日、両親の家で目が覚めた。昨晩、暑かったので部屋の窓を開けたまま寝ていたのだが、隣の鶏がやって来て、枕元に卵をひとつ産み落としていた」

 

VDM (Vie de merde)より



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コメント 6

wattana

carotte さん、おはようございます。
ポール=ルイ村の市街地の映像にCrêperie Le Jean Bart、市場の紙巻きタイプ (=原宿・竹下通りタイプ)のクレープリー屋さんなどが出てきました。ブルターニュというと、クレープというイメージがあるからでしょうね。
ところで、carotte さんのご紹介で、TF1 が放映したブルターニュの映像をいろいろ見せていただきましたが、ブルターニュが生産量シェアで他の地方を圧倒している食品のことが未だ紹介されていないと記憶しています。
その食品とは豚肉です。ブルターニュのシェアは5~6割のはずです。ちょっと古い資料ですが2007年に東京で開催されたフランス産豚肉セミナーで配布された資料がありますので、ご参照ください。
http://www.office-elevage.fr/Doctech-08/Porc-11-07/Japon/Presentation-filier-jap.pdf
by wattana (2011-08-16 08:28) 

アヨアン・イゴカー

鶏が枕元に卵を産み落としてゆく、なんと長閑な風景でしょう。
by アヨアン・イゴカー (2011-08-16 14:23) 

carotte

wattanaさん、こんばんは。
そう言われると、ブルターニュ地方で豚肉という話は一度も出てきませんね。確かに、サイトを拝見するとブルターニュ地方が生産量では群を抜いてトップなのが分かります。映像になりにくいんでしょうかね?今度、TF1の番組を調べてみます。
by carotte (2011-08-16 20:39) 

carotte

アヨアン・イゴカーさん、こんばんは。
ここは相当な田舎と思われます。^^
by carotte (2011-08-16 20:40) 

wattana

carotte さん、おはようございます。
農協の組合員である農家による養豚、生きた豚を屠畜・解体・整形する屠畜・加工場などは映像になりにくいのかもしれませんね。そういえば、2001年3月にフランスへ行った時、フランスでも口蹄疫が発生したのですが、その時はテレビのニュースで豚などの家畜の映像がよくでてきたことを思い出しました。
by wattana (2011-08-17 08:18) 

carotte

wattanaさん、おはようございます。
TF1のサイトで検索をかけてみましたが、これと言った映像はみつかりませんでした。以前、栗の粉を食べさせて豚を育てていたところがありましたが、あれはブルターニュではなかったような気がします。
例のラベルproduit en Bretagneのサイトでも商品を検索してみました。ビン入りのパテなど加工品がいくつか出てきますが、この手のものはどの地域でもありますね。ブルターニュで養豚がさかんだということは、何かほかに理由がありそうです。
by carotte (2011-08-17 10:02) 

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