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要塞都市 その4 〜 コンカルノー 〜 [ブルターニュ地方]

 シリーズの四回目は、漁港で知られるコンカルノー(Concarneau)を訪ねます。

 

 先週、ここの漁師とオイルサーディンを紹介しましたが、今回は、湾の中の小島に作られた要塞都市(Ville close)が主役です。

Paris_Concarneau.jpg


 言わば天然のお堀に守られたお城のようなこの島がコンカルノーの起源です。

 中世の頃、ここには小さな修道院があり、キリスト教の僧侶が暮らしていました。やがて教会が建てられ、11世紀末には公爵領となり、教会を中心にしだいに発展していきます。

 要塞化が始まったのは13世紀か14世紀初頭と考えられています。英仏の対立が激化していた頃は、30年ほど英国の占領下にあったそうです。

 17世紀になり、あの建築家ヴォーバンの指揮下で、要塞は改修され強化されました。

 コンカルノーが、この要塞の外へと規模を拡大させるのは、18世紀から19世紀にかけて起こった産業革命以降のことです。

 都市の外の湾岸沿いには富裕層の家が建ち始め、都市の内部は水夫やイワシ漁の漁師が暮らす庶民的な界隈へと変わってゆきます。

 20世紀にはイワシ漁の船がいなくなり経済危機を迎えますが、多くの画家が頻繁にここを訪れたことから要塞都市は文化財の指定を受け、保存されることになります。

 下記ウィンドウの▶をクリックして番組をご覧下さい。(フランスのTV局TF1で2011年8月11日放送)(▶をクリックしても該当の映像が出てこない場合や、直接TF1のサイトでご覧になりたい方は→こちら

 

 かつて本土と要塞都市を結んでいたのは渡し船でしたが、今は橋を渡って要塞都市に入ることができます。

 

 メインストリートには観光客相手のお店が並んでいますが、ここで暮らしている人もいます。

 

 80歳になるマリテさんもその一人。この界隈でマリテさんを知らない人はいないそうです。

 

 マルテさんが入って行ったお菓子屋さんMaison du Kouign-Amannでは、その名の通り、ブルターニュ名物のお菓子クイニーアマン(Kouign-amann)(ブルターニュの言葉で「バターのお菓子」の意味)を売っていました。

 

 夏だけで一日に100個のクイニーアマンを作るそうです。

 

 250gのパン生地に同じ量のバターシュガーを加えて作るというのがこの店のレシピ。おばあさんから教えてもらったそうです。

 

 バターのお菓子というだけあって、底の方には解けたバターがべったり。

 

 本土から要塞都市へは渡し船でも行くことができます。乗船時間はわずかに1分ですが、要塞を外から鑑賞するのには最適の方法。

 

 利用するのは観光客だけではありません。2隻の渡し船が一年を通して往復しており、都市の住人やお店の人たち、さらに夏だけ働く人たちなど、たくさんの人が利用しています。

 

 港にはかつて漁で活躍した船が停泊しています。

 

 現在は博物館として、見学者に漁師の仕事を伝えています。

 

 イワシ漁からマグロ漁まで、コンカルノーの経済を支えて来たのが漁師。現在の漁師の数は1,300人ほど。

 

 最近では造船業や漁業関連の製造業、そして観光も重要な産業の一つになっているそうです。

 

 

 

******** フランス人のつぶやき *******


「今日、夏の間だけデパートで働くことになった。デパートで働くのは初めてだったので迷ってしまい、自分の売り場をお客に尋ねてしまった」

 

VDM (Vie de merde)より



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コメント 6

orange

クイニーアマンは好きでついつい買ってしまいますが、バターと糖分、
かなり多そうですね...(汗)それにしても大きなサイズもあるのですね。
とても活気がある街のように感じました。
by orange (2011-08-18 12:09) 

carotte

orangeさん
あのべったりはちょっと引いてしまいますねえ。でも、わざわざあれを見せていたということは、あれがいいんでしょうね。人によってレシピが違うようですから、日本のはあそこまでバターも砂糖も使っていないかもしれません。
by carotte (2011-08-18 21:14) 

wattana

carotte さん、パリの FAUCHON で売っていたクイニーアマンを買って食べたことがありますが、日本で売られているのと同じくらいの大きさでした。それに比べ、Maison du Kouign-amann のは大きいですね。
by wattana (2011-08-18 21:30) 

carotte

wattanaさん
私はクイニーアマンは日本で初めて食べました。10数年前のことです。直径8センチくらいの小型のものでした。それまでこのお菓子のことはまったく知りませんでした。タルトと同じで、通常の大きさのもあれば、食べやすいように小さいのを作って売っているのではないでしょうか?
by carotte (2011-08-19 09:44) 

opas10

あの渡し船はいいですね~。全くシチュエーションは違いますが、浦賀にある渡し船を思い出しました。
by opas10 (2011-08-28 12:56) 

carotte

opas10さん
あの渡し船ですね。乗ったことはありませんが、ちらっと見たことがあります。あれもかなり昔からやってるんですよね。
by carotte (2011-08-28 17:54) 

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