シャンパーニュ地方の旅 その5 〜セザンヌ村〜 [シャンパーニュ地方]
シリーズの最後は、シャンパーニュ地方のグルメと歴史を探しに、小さな村セザンヌ(Sézanne)を訪ねます。
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セザンヌと言っても、画家のセザンヌ(Cézanne)とは縁もゆかりもございません!確かに綴りも違っていました。
下記ウィンドウの▶をクリックして番組をご覧下さい。(フランスのTV局TF1で2011年9月30日に放送)(▶をクリックしても該当の映像が出てこない場合や、直接TF1のサイトでご覧になりたい方は→こちら)
村の人口は約5,600人ほど。まずはグルメから。
シャンパーニュ地方の名物アンドゥイエット(Andouillette)。
豚の消化器官、主に胃袋と腸を腸詰めにして茹でたもので、ハムやソーセージなどと一緒にお店で売られています。
これを使って一皿作ってくれるのがレストラン付きホテルLe Relais Champenoisのシェフ、パトリスさん(上記地図の青印)。
アンドゥイエットを焦げ目が付くくらいに焼いたら、マスタード・ソースをかけます。付け合わせは、カボチャのピュレ、一口大の野菜各種。
パトリスさんの使うアンドゥイエットは、愛好家協会が最高級と認めた5Aのラベル付き。つまり格付けがトリプルA(AAA)ならぬ、5A(AAAAA)というわけです。
見た目もおいしそうなのですが……これがかなり個性的なお味。好きな人にとっては堪えられない味だそうですが、私はちょっと苦手です。
次に、重々しい衣装で登場するのは、セザンヌのワイン農家団体の名誉会長モーリスさん。
見せてくれたのは、ブドウの葉の化石で、暁新世(今から約6,550万年前から約5,580年前)の頃のもの。
これが19世紀にこのセザンヌ村で発見されました。そんな大昔からブドウってあったんですね。
この村のブドウの歴史は古いものの、セザンヌがシャンパーニュというAOCの仲間入りを果たしたのは、ほんの数十年前のこと。
それまで普通の農業をやっていた人たちがブドウ栽培に転向してシャンパンを作り始めたのだそうです。
ピナール家Champagne Pierre Pinardも、そういう農家の一つです(上記地図の赤印)。三代に渡ってシャンパンを作り続けてきました。
初代のピエールさんは「わしはブドウばかり作って来たからなあ、今さら普通の農業に戻る気にもならん。それにもう88歳だし、耕耘機だって使えやせんさ」とおっしゃていました。
ピナール家にはご先祖の日記が残っており、18世紀にはワインを作っていました。
そして、困ったことに、ピナール(pinard)とは、俗語で、あまり質の良くない赤ワインのことを言うそうです。
なんだかとんでもない名前の方がシャンパンを作っていらっしゃるようです。が、しかし、サイトを見ると、インディー系の生産者らしく、その分野で金賞や銀賞を獲得しています。
さて、セザンヌ村には歴史を感じさせる建物があちこちに残っています。
そして、村のお宝の一つが、元修道院(現在は病院)(上記地図の緑印)の礼拝堂に飾られている5点の宗教画。17世紀の偉大な画家クロード・フランソワ(宗教名:フレール・リュック)の手によるものです。
革命時に修道院が競売に出された際、病院が丸ごと買い取ったことで、これらの名画が残ることになりました。
次回は、このシリーズには登場しなかったシャンパンの泡が出来るまでの行程を映像で紹介します。
******** フランス人のつぶやき *******
「今日、そして妊娠してからと言うもの、妻は、昼、夜、時間に関わらず何か食べています。今日は夜中の2時に起きて、アンドゥイエットに火を通し、パンにはさみ、イチゴのヨーグルトソースをかけ、サンドウィッチにして食べていました」
VDM (Vie de merde)より
2011-10-04 19:00
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コメント(10)
見た感じはソーセージのようですが、違うものなんですね(*^^)v
ああ、シャンパーニュ飲みたくなってきました(T_T)
by soraaane (2011-10-04 19:49)
アンドゥイエットってリヨンの名物なのかと思っていましたがシャンパーニュ名物なんですね。わたしも苦手ですが、好きな人にはたまらないらしいですね。主人は好物なんですが本場のもの食べたら味の違いがわかるでしょうか・・・5Aですものねえ。
by yuzuhane (2011-10-04 22:57)
のどかな、でも由緒ある村なんですね。
昔の街の風景を描いた絵が素敵でした。
う〜ん。やはりフランス語は美しいです。
by orange (2011-10-05 01:05)
carotte さん、おはようございます。
アンドゥイエット、ブーダンノワールを見るたびに、フランスと日本は食べることの歴史が違うと思います。野生鳥獣の狩猟、そして鳥獣の飼育 (家畜)による肉食が基本の食の歴史。豚1頭を頭から尻尾まで骨も血も内臓も残さないで食べる。保存するために、塩漬け、乾燥、燻煙などの加工技術が発達。
アンドゥイエット、内臓臭が強すぎるので苦手です。逆に言うと、内臓臭が弱いアンドゥイエットはフランス人にとってはアンドゥイエットではないということですね。
by wattana (2011-10-05 08:59)
soraaaneさん
中に入っているものがちょっとソーセージとは違うのですよ。この映像、とても美味しそうで、もう一度チャレンジしてみようかなと思わせてくれます。^^
by carotte (2011-10-05 09:37)
yuzuhaneさん
各地で作られているようですよ。格の高いのがいくつかあって、リヨンのもその中に入ります。今回登場したのは多分シャンパーニュ地方トロワのアンドゥイエットなんじゃないかと思います。
トロワのではなかったと思いますが、一度、私も食べたことがあります。やっとの思いで、なんとか全部食べきりました。
by carotte (2011-10-05 09:46)
orangeさん
あまり目立たない小さな村ですが、なぜかTF1が取材してるんですよ。小さいながらも歴史を感じさせるところがいいのかもしれません。フランス語はやはり音の美しさに惹かれますね。orangeさんはドイツ語が専門ですが、始められたきっかけはなにかな?なんていつも思っています。
by carotte (2011-10-05 09:54)
wattanaさん、おはようございます。
このアンドゥイエットは折にふれ登場しますね。
おっしゃるとおりで、こういう食べ物は食の違いをはっきりさせてくれます。日本人の食生活はだいぶ変わったとは言え、根本にあるのは、肉は牛や豚ではなく、魚なんだと思います。そして、フランスはその逆。
培われたものを突き詰めて行った料理の一つがアンドゥイエットですね。内蔵臭があるからこその食べ物だと思います。
by carotte (2011-10-05 10:04)
セザンヌ村の中心部は石造りの由緒ありそうな建物がいっぱい見えましたね。修道院の礼拝堂は、ゴシックを予想していたらルネサンス様式でシンプルなデザインなのが驚きでした。
by opas10 (2011-10-09 13:08)
opas10さん
映像をもう一度見直してしまいました。
小さな村ですが、本当に歴史を感じさせる建物が建っていました。礼拝堂は絵と同年代で17世紀に建てられたものだそうです。そうなるとゴシックから離れるわけですね。
by carotte (2011-10-09 17:54)