メイド・イン・フランスの日用品 その4 〜鍋〜 [メイド・イン・フランス]
シリーズの最後は、料理に使う鍋。
工場のあるヴォージュ県ル・ヴァル=ダジョルを訪ねます。人口は4,200人ほど。
鍋製造工場de BUYERの創立は今から180年ほど前の1830年。
代々ドゥ・ビュイエ家(de BUYER)が経営してきました。現在で六代目になります。
下記ウィンドウの▶をクリックして番組をご覧下さい。(フランスのTV局TF1で2011年10月13日に放送)(▶をクリックしても該当の映像が出てこない場合や、直接TF1のサイトでご覧になりたい方は→こちら)
この地に工場ができてから引っ越しは一度もありません。180年、ずっとここで鍋やフライパンを作り続けてきました。
新しく導入された機械もあれば、昔から使い続けている機械もあります。
マリニーさんがここの工場で働き始めたのが19歳の時。そのキャリアは40年以上にもなります。
そして、父親も祖父もこの工場で働いていたそうです。
工場は150年に渡って、近隣に暮らす100所帯ほどの生活をささえてきました。
五代目にあたるエルヴェさんは、国際競争に生き残ったことを誇りに思っています。
「私が経営を担当し始めた頃は、同業者が52社もありましたが次々に工場を閉じて、今は4社しか残っていません。長年続けているということが名声につながりました」
世界80ヶ国以上に輸出するほどの工場となった今、製造ラインは近代化が進んでいますが、銅鍋は今でも人の手で作られます。
ここで作られた鍋やフライパンは、世界の料理人に高い評価を受けています。また、プロ以外の一般家庭にも人気です。
毎年2万人がいいものを求めてル・ファル=ダジョルを訪れるそうです。
「テフロン系のフライパンはもういい加減イヤになりました。ここでちょっといいものを買おうと思ってます」
「ここでいいものを売ってると聞いてからは毎年来てるよ」
「来るたびに、質のいい鍋やフライパンが購入できて満足です」
会社はこの20年で売上を4倍に伸ばしているそうです。地域経済を担う頼もしい中小企業です。
そして、ここもあのオイルランプを作っている会社と同じくEPV(Entreprise du Partimoine Vivant)(今も創業を続けている中小企業を対象にした国宝)に指定されているそうです。
ちょうどお鍋の話になったところで、来週からはまたグルメの話題に戻ります。
******** フランス人のつぶやき *******
「今日、新しいフライパンを試してみることにした。ガスに火をつけ、フライパンを置き、油をたらすと、もくもくと煙が立ちのぼり、焦げた匂いが辺り一面に漂い始めた。あわてて火を止めフライパンの裏を見ると、剥がし忘れたシールが灰になってこびりついていた」
VDM (Vie de merde)より
carotte さん、おはようございます。
この de BUYER の工場、プレス機など今では見ることができない機械があるので、見学してみたいですね。日本でフランス製鍋と言うと、ル・クルーゼ、ストウブになるのでしょうが、デ・バイヤーの片手深鍋などはフランス料理店でよく見かけます。
by wattana (2011-10-24 09:20)
wattanaさん、こんばんは。
機械のことはよく分からないのですが、最初に出て来た2つが古そうですね。残ったのは4社と言っているので、もう一つはTefalのSEBグループになるんでしょうかね。de BUYERは使ったことがありませんが、ル・クルーゼはよく使っています。煮込み料理がすごくおいしくできあがります。ル・クルーゼはTF1の番組に何度となく登場しました。
by carotte (2011-10-24 21:00)
180年も生き残っているということは、精密金属加工と磨きの技術が優れている会社なのでしょうね。数年前に、日本の鍋・食器製造業が集まる燕三条で町工場の見学をした際、以前にcarotteさまがおっしゃっていたipodの裏ブタの磨き加工の話も伺ったことがあります。一見ローテクな金属加工も、技術を磨けば付加価値が格段に上がるんですよね。
by opas10 (2011-10-30 11:40)
opas10さん
こういう技術はあまり目立ちませんが商品の質の決め手にもなりますよね。あのiPodの裏ブタへのジョブスのこだわりはすごかったらしいですね。ちょっと病的なまでのこだわり.....。ますます「天才」かと思ってしまいます。
by carotte (2011-10-30 17:00)