ヨーロッパの衛兵 その3 〜バチカン市国〜 [バチカン市国]
シリーズの三回目は、スイス傭兵が務めるバチカンの衛兵。
赤、青、黄の鮮やかなストライプの制服に身を包む衛兵の数は全部で110人。全員がスイス人。スイスの軍隊で任務に就いた後、傭兵学校で訓練を受けています。
下記ウィンドウの▸をクリックして番組をご覧下さい。(フランスのTV局TF1で2011年1月5日に放送)(▸をクリックしても該当の映像が出てこない場合や、直接TF1のサイトでご覧になりたい方は→こちら)
バチカン宮殿のメインの出入り口になっているブロンズ門は、三人の衛兵によって守られています。交代は2時間毎。
一方、信者やツーリストが良く目にする、サン・ピエロト大聖堂の衛兵は、冬の間はカラフルな制服の上に紺のコートを羽織っています。
衛兵の雇用契約は2年単位。月給は1,200ユーロほど。
ほとんどの衛兵は、2年の契約が終了すればスイスに戻り、それぞれ別の分野に進むそうです。
圧巻は、クリスマスや復活祭などの大きな式典です。
鎧を身に着け、サン・ピエトロ広場と列柱の通路を行進します。
制服の青と黄色は、第216代ローマ教皇ユリウス2世(在位1503~1513)を輩出したデッラ・ローヴェレ家の色。
ここに、次の教皇レオ10世(在位1513~1521)の出身であるメディチ家の赤が加わって、現在の三色になったそうです。
デザインはミケランジェロと言いたいところですが、実際は20世紀初頭に衛兵長を務めたことのあるJules Repondという人物によるものです。
ルネッサンス期の画家ラファエルのフレスコ画に登場するモデルたちをヒントに制作されました。
そして、制服は衛兵ひとりひとりの体型に合わせた特別あつらえ。
衛兵がその任務を終了した時、不正使用をさけるために、すべて破棄されてしまうそうです。
バチカン宮殿のブロンズ門は、午後8時きっかりに閉められます。
一日の仕事を終えた衛兵は、バチカン内の厩舎にある寮へと帰って行きます。
消灯は原則零時。階級によって遅くなります。
そして、任務期間中はバチカンの外で寝泊まりすることは許されていません。
尚、バチカンについては昨年4月に5回シリーズで紹介しています。
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******** フランス人のつぶやき *******
「今日、雨の中、バスが来るのを待っていると、目の前でバスが通り過ぎそうになった。あわてて運転手に合図をしてバスを止め乗り込むと、運転手が言った。『悪かったね、全然気がつかなかった。街路樹かと思ったよ』そう言われると、茶色の長靴に緑のコートを羽織ってたっけ」
VDM (Vie de merde)より
今の今まで、ミケランジャエロのデザインだと思っていました。
また、一つ勉強になりました。
by 島酔潜人 (2012-01-05 23:01)
島酔潜人さん
TF1のナレーションでも「ミケランジェロのデザイン」と言っているのですよ。しかし、調べてみると衛兵の制服は500年たつ間に様々に変わっていったそうです。今見ている制服はJules Repondだそうです。ずっと使われてきた帽子をやめて、今のベレー帽に変えたのもこの人!
by carotte (2012-01-06 09:28)
Jules Repond氏の功績はすごいんですね!自らが衛兵長をやっていたのも強みになっていたのでしょうか。
by opas10 (2012-01-07 14:20)
opas10さん
この方、弁護士、文筆家、政治家と多方面にご活躍だったようです。ローマ法の教授でもあったので、イタリアの文化についても明るかったのかもしれません。
by carotte (2012-01-07 20:58)